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2018年09月

サントリー ローヤル 1990年代流通 43% 干支ラベル申年

カテゴリ:
ROYAL
SUNTORY WHISKY
Release 1991-1992
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後3ヶ月程度
場所:自宅
評価:★★★★★ ★(5-6)

香り:甘く熟成したウッディーな樽香、続いて干草や乾いた穀物感。蜂蜜とドライアプリコット、カシューナッツ。徐々に香りが落ちていき、ドライなニュアンスが強く感じられるようになる。

味:飲み口はスウィートで林檎のコンポートやケーキシロップのような甘みに加え、ほのかな香木感を伴うオークのウッディネス。軽やかな穀物感も合わせて感じられ、口当たりはしっかりしているが、ボディはやや軽い。 
余韻はほろ苦く、すっきりとしてドライなフィニッシュ。 

香味とも現行品より品の良い熟成したモルティーさが、文字通りのトップドレッシングとして感じられる。しかし各香味の繋がりには若い原酒の荒さが若干あり、特に中間から余韻にかけてが少し弱い。
ロックはそうしたボディの弱さが目立つが、ハイボールはすっきりとした中に華やかなオーキーさが感じられる。また、意外に水割りが悪くない。


サントリーから毎年干支毎にリリースされている干支ボトル。申年のローヤルは1992、2004、2016が該当しますが、今回のローヤルは1995年に12年表記が発売される前、旧酒税法改正後の1991年ごろに発売された1本です。

この当時、バブル崩壊とブームの終焉で国内のウイスキー消費量が減り出したことと反比例するように、サントリーのブレンデッドの品質は2000年代初頭にかけて響を筆頭にピークに向かう時期。
ローヤルも同様で、ボディが妙に軽かったり、ウッディな樽香が浮ついていた旧酒税法時代に対し、この時代のものはだいぶバランスが取れてきています。

特に特級表記ジャパニーズの大半に感じられた、独特の香味の薄さがなくなったのが大きいですね。ああ、やっとウイスキーになってきたなと。
この辺りから2000年代中頃くらいまでのローヤルは、響ほどのレベルはないですが普段使いにもってこい。おそらく単純に原酒の使用比率と質が上がった結果だと思うのですが、新しい酒税法の整理では特級区分は品質を落とすことも出来た中で、逆に骨格がしっかりしてきているのは、純粋にメーカーの総合力が向上した結果とも感じています。

ちなみにローヤルの裏ラベルには、15年熟成の山崎原酒を効かせた旨の記載があり、確かにそのニュアンスはトップノートで感じることが出来ます。この後リリースされるローヤル15年に通じる香味でもありますね。
また、前述でも触れたように原酒の質としてはグレーンの質が上がったのでしょう。8〜10年くらいの熟成とは思いますが、完全ではないものの単に薄くならず全体の香味を繋いでいます。
60's表記のある1980年代以前流通のローヤルから飲んでくることで、ブレンデッド作りには良質なモルトとグレーンが欠かせないのだという、ある種当たり前のことを実感させてくれるのです。

リンクウッド 39年 1973-2011 GM 43%

カテゴリ:
LINKWOOD 
GORDON & MACPHAIL
Aged 39 years
Distilled 1973
Bottled 2012
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:個人主催テイスティング会
評価:★★★★★★★(7)

香り:柔らかくリッチな甘み、キャラメル、林檎のカラメル煮を思わせる角の取れたエステリーさ、濃く入れた紅茶のようなウッディさを伴うふくよかなアロマ。

味:マイルドな口当たり。カラメル系のオールドシェリー感、枝付きレーズン、イチヂクの甘露煮。ボディは平坦気味だが、香り同様の柔らかいエステリーさが、樽香と共に鼻腔に届いてくる。
余韻はウッディーでドライ、焦がしたカラメルのほろ苦さ、柔らかいが舌に染み込むタンニンを伴って長く続く。

まさにGMシェリーという樽感のあるボトルだが、それ以外にエステリーな熟成感も感じられ、スペイサイドらしい酒質をベースに整った仕上がりとなっている。
これからの季節で本領を発揮する美味しいシングルモルト。


2010年以前からボトラーズに手を出していた飲み手にとって、間違いなく馴染みのある味わいの一つが、このリンクウッドです。久しぶりに飲みましたが染み込むようにふくよかな味わいで、心落ち着きますね。

当時、日本市場に流通していたボトラーズはGM、ダンカンテイラー、OMC、シグナトリーあたりが大半を締めており。なかでもGMから量産されるこの緩いカラメルソースのようなシェリー感のあるモルトは、ダンカンテイラーのピアレス香と合わせてボトラーズを代表するキャラクターだったと思います。

この手のシェリー感のボトルは安定して美味しいのですが、加水とバッティングであることも手伝って、どうしても没個性的というか、同じ傾向の味に仕上がる傾向があったと思います。
当時のリリースでは、リンクウッド以外に、ストラスアイラ、モートラック、グレングラント、ロングモーンの蒸留所ラベルと、マクファイル(マッカラン?)が筆頭。
それが徐々に姿を消し、今回のボトルのように価格帯をあげたラインナップが出回り始めます。(ビンテージもスペックもこれまで流通してたものとほぼ同じなんですが、不思議に値段が上がるマジック。。。今じゃもう手が出ません。)

新しいリリースは価格こそ高かったですが、上述のGMらしいシェリー感を備えつつ、そこまで圧殺でないうか、熟成した酒質に由来すると思しき香味も感じ易かったように思います。
今回のリンクウッドも、該当する香味に加え、熟成したモルティーさ、フルーティーな熟成香が渾然となって短熟ではありえない味わい。
詳細は不明ですが、これまでよりも混ぜる数を減らして樽を厳選した結果、酒質部分が潰れにくくなったのかなと予想しています。

ヘブンヒル 15年 1990年代流通 50%

カテゴリ:
OLD HEAVEN HILL
Aged 15 years
Bottled in bond
1990's
750ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:エステリーでツンとした香り立ち。クラッカーのような穀物感と乾いた草っぽさ、合わせてメープルシロップ、チェリーリキュールを思わせるメローな甘みが感じられる。

味:メローでコクのある口当たり。序盤はマイルドだが徐々に力強く、干し草とシロップ漬けチェリー、ブラウンシュガー、熟したバナナ。香り同様のニュアンスからドライでウッディな余韻に繋がる。

香味とも干し草のようなニュアンスを多少感じるが、熟成バーボンの濃厚な甘みに赤い果実風味の混じる豊かな樽香、何よりボディを支えるコクが全体のバランスに繋がっている。


自分にとっては懐かしいボトル。それ以上にバーボン好きにとっては感慨深さを感じるであろう、火災消失前のヘブンヒルです。
流通時期は丸紅さんの住所と、ボトルの表記などから1990年代前半から中頃。逆算して蒸留時期は1970年代後半から1980年ごろ、ということになります。

ヘブンヒル蒸留所は、現在も稼働し続けているバーボンウイスキーの代表的な蒸留所の一つですが、それは1999年にシェンレー社所有のバーンハイム蒸留所を買収してヘブンヒル・バーンハイムとして生産を継続した、全く別の蒸留所と言えるもの。
元々あったバーズタウンの蒸留所は、1996年の落雷に端を発した大火災で焼失しており、バーボンの平均的な熟成期間で考えれば、現在流通しているヘブンヒル銘柄、並びにヘブンヒル生産とされる銘柄の大半がバーンハイム産となっています。


(ヘブンヒル大火災の様子。60度強のアルコール満載の熟成庫は、一度火がつけば爆発するように炎上する。そのため各棟は間隔をあけて建てられているが、この火災により、蒸留設備と44棟中7棟の熟成庫(約90000樽)が全焼したという。画像引用元はこちら)

上述の通り、このボトルがリリースされた当時は旧ヘブンヒル時代。バーボンの流通は安定しており、熟成した原酒が安価に提供された結果、今回のボトル筆頭に多くの銘柄に美味しい熟成バーボンがありました。

当時のヘブンヒルの特徴は、加水リリースでもしっかりとコクのあるメローな甘みと軽い穀物感という印象。今回のボトルもその特徴が出ており、ハイプルーフ故のリッチな味わいでコスパも良好で、文句なしのリリースだったと記憶しています。
そんな長期熟成バーボンが姿を消したのもこの火災の影響と言われていますが。。。たしかに焼失した90000樽と、バーンハイム買収までの約4年間が与えた影響は少なくはなかったでしょう。他社からの原酒買取に加え、ストックを消費してその間を切り抜けたことは想像に難くなく、その後の各銘柄のラインナップに影響を与えたとしてもおかしくありません。

オールドヘブンヒル、ヴァージン、イエローオブテキサス、ベリーオールドセントニック・・・などなど、かつてのヘブンヒル産で姿を消した、15年以上熟成の長熟バーボンは片手で足りず。やはりこの時代のボトルを飲むと、懐かしさと失われた味わいに感慨深さを感じてしまうのです。

以下余談。
そう言えば、ヘブンヒル蒸留所から火災前の1989年、1990年蒸留の原酒を使った27年熟成・バレルプルーフのバーボンが、この秋に限定リリースされるみたいですね。
なんの記念なんだかいまいちわからないのですが、27年というとリリースされたバーボンの中では、知る限り最長熟成にあたるスペックではないでしょうか。価格も某国産品ほどぶっ飛んでないので、BARに入るなら飲んでみたいです。

ハイランドパーク 17年 ザ・ライト 52.9% 2018年リリース

カテゴリ:
IMG_8573
HIGHLAND PARK
THE LIGHT
17 Years old
Single malt scotch whisky
700ml 52.9%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後3ヶ月程度
場所:BAR Gosse
暫定評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ドライな香り立ち。はじめはあまり香りが立たない。干し草や削った針葉樹、トーストしたパン、じわじわとドライオレンジっぽい甘みや淡いスモーキーさを伴う。

味:軽くドライな口当たりから乾いた麦芽風味、蜂蜜と洋梨のペースト、微かに古樽のしっとりしたウッディネス。後半から余韻にかけてほのかにスモーキーで、合わせてオーキーなフルーティーさが充実。熟したパイナップルと干し草、近年寄りのトロピカルフレーバーを伴ってリッチなフィニッシュが長く続く。

香り立ちが度数に対して広がりを感じないものの、味わいの熟成感、そして余韻にかけて充実するフルーティーさに見るべきところがある1本。 ボディは穏やかで、高い度数を感じさせないオフィシャルらしいまとまりの良さがある。


日本では先月8月20日にリリースされた、ハイランドパーク17年 The Light。(テイスティングは現地流通品。発売は5月、28000本の限定品)
前作の17年 The Darkがヨーロピアンオークシェリー樽での熟成だったのに対し、今回はリフィルアメリカンオーク樽を使った原酒での構成。香味から察するにこれはバーボンホグスヘッドと、複数回使用したオールドシェリー樽のプレーンカスクでしょうか。そこに微かに新緑の色合いを帯びたボトルカラーと合わせて、オークニー島の春から夏の季節をイメージしたリリースとのことです。

この手のアメリカンオーク樽を使ったリリースと言えば、直近では神話シリーズのアイスエディション17年があります。
前回は冬をイメージする"アイス"に使って、今回は"春から夏"とか、180度の方針転換はさておき。。。
そのキャラクターは、エステリーな熟成香にピーティーさがしっかりと感じられたアイスエディションに対し、The Lightはピートフレーバーよりも、余韻にかけての華やかさとトロピカル系のフルーティーさが魅力と言える構成に仕上がっています。

(2017年にリリースされた、ハイランドパーク17年 The Dark。オークニー島の秋から冬にかけてを表現したリリース。

こうしたリリースを飲むたびに思うのが(何度か書いてますが)、近年のハイランドパークは下手にファーストフィルなどの濃厚シェリー系にこだわる必要はないんじゃないかということ。
前作The Darkはそれなりにまとまったシェリー感がありましたが、あれは価格もそれなりですから当然と言える話。
それ以外のハイランドパークのシェリーカスクはエグかったり、硫黄が強かったり、なんだか中途半端だったり・・・少なくとも近年のリリースが流通時期で1990年代から2000年代あたりまでのキャラクターを維持できていないことは明白です。

その点、The Lightはノージングではまだ開ききってないのか「あれ?」と思いましたが、飲んでみると良いですね。
先に触れたアイスエディションしかり、同じく最近リリースされた、GMコニッサーズチョイスのハイランドパークもフルーティーで良い出来でした。半端なシーズニングシェリー樽を限定品に使うなら、それはオフィシャルスタンダードに回しちゃって、バーボン系やプレーンオーク系でリリースした方が安定するんじゃないかなぁと。
そんな簡単な話じゃないんでしょうけどね。

カンパリ ビター 1980年代後期流通ラベル 24%

カテゴリ:
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CAMPARI
BITTER
1980-1990's
1000ml 24%

最近ハマっているビター系リキュール、カンパリ・ビターのオールドボトル。
ビターオレンジにキャラウェイ、コリアンダー・・・原料は色々使われているそうですが、香味の主軸は皮ごと絞ったオレンジを思わせる香味と根菜系の苦味。香りにはハーブや漢方、あるはスパイス的な要素も混じって、とろりとした口当たりの甘みがちょっとした薬用シロップのようにも感じられます。

元々オレンジ系のリキュールが好みで、グランマニエの上位グレードオールドとか大好物なわけですが、合わせて好みなのが、じんわりと染み込むような薬草系リキュール特有の"苦味"。オレンジ系に甘み、そして強い苦味という要素が主軸であるカンパリ・ビターに惹かれるのは、極めて自然な流れだったわけです。

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現行品のリキュールの多くは、カクテルとの相性を考えてかドライ気味に造られているものが目立ちますが、オールドボトルはレシピや抽出方法が現在と違うため、現行品より香味要素が強く、甘みとコクもしっかりあるものが多い印象。
今回飲んでいるカンパリも、2007年に着色方法が切り替わっているだけでなく、やはり時代時代での違いがあります。
今回のロットは1980年代以前に比べちょっと苦味や薬っぽさが主張しすぎる部分はあるのですが、好きな人はストレートで飲んでもたしかな満足。そのまま飲むならロックにも耐えるコクと強い香味。思わず葉巻と合わせたくなってしまいます。

あるいはカンパリオレンジを作ってソーダアップすると、もはやこれはお酒ではなくジュースとして美味い領域に突入します。スプモーニにしても、爽やかな飲み口から苦味が強調されてたまらんです。
香味が現行品より強いので、比率は既存レシピに比べ多少調整が必要とは思いますが、昔のバーマンはこれでカクテル作ってたと考えると、これがクラシックな味わいなのかもしれません。

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オールドリキュールではベルモットなどの大半は20度以下と度数が低く、状態があまり良くないものもしばしば見られます。
その点、カンパリは度数が24%、モノによっては28%と高い度数に加えて糖度も高く、比較的安心して手を出せるのもポイントです。
流通量が多かったためか、1980年代くらいまでならそこそこ残っていて、しかもキナ系リキュールに比べて安価なのが嬉しい。このあたりまでならカクテルにガンガン使っても罪悪感が湧きません(笑)。

余談ですが、ビターオレンジリキュールという選択肢に目覚めるきっかけになったのが、写真のチンザノ・ビター。1960年代流通のオールドボトル。チンザノブランドは現在カンパリ傘下にあるわけですが、このボトルは甘みと苦味の一体感が段違いで既存のカンパリとは別格。
どうにか1本欲しいんですが、この手のボトルはスコッチモルトのエントリーグレード同様に、その時代その時代で消費される傾向があるため、国内ではまず見かけないのが難しいところです。

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