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2018年08月

ポートエレン 30年 1979-2010 Old & Rare 52.6%

カテゴリ:
PORT ELLEN
OLD & RARE
Aged 30 years
Distilled 1979 Dec
Bottled 2010 Jun
Caske type Refill Hogshead
700ml 52.6%

グラス:テイスティンググラス
場所:KuMC @BAR サンドリエ O氏
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:スモーキーでシャープな香り立ち。塩気と乾燥した貝類、ピートの土っぽさ、蜂蜜レモンやグレープフルーツのワタ、ジンジャー、干し草のような樽由来の要素がアクセントとして一体になっている。

味:とろりとしたマイルドな口当たり、だが合わせてスパイシーな刺激もある。麦芽風味とバニラクリーム、ソルティクラッカー。ボディはミディアム程度でピーティーなフレーバーがじわじわと。余韻はドライでほろ苦く、柑橘のニュアンスと乾いたウッディネス。焦げたピーティーさを伴い長く続く。

香りのシャープさに対し、味はスパイシーな刺激こそあれど、マイルドな角の取れた口当たりが熟成を感じさせる。また、樽感は程よく、酒質との一体感がある。少量加水すると口当たりの柔らかさが引き立つ。


長熟カリラをスペイサイド寄りにしたような個性が、いかにも長期熟成のポートエレンらしさとして感じられる1本。リフィルのアメリカンオークと思しき樽構成は、レアモルトやオフィシャルのリミテッドリリースの樽をそのまま育てたシングルカスクというキャラクターでもあります。

ポートエレンの70年代後半の香味はシャープでスパイシー、80年代に比べてピーティーさは穏やかで、バランスのとれたものが多いように感じます。
今回のボトルにある柔らかさや、アクセントになっている樽感は熟成年数や樽の違いによるもので、なかでもレモンやグレープフルーツの黄色系の柑橘のニュアンスが樽由来の要素として多様さと、香味のバランスに繋がっています。
いやーいい樽、選ばれてますね。これは美味しいポートエレンだと思います。


そういえば話は変わりますが、ポートエレン再稼働のニュースは既に皆様ご存知とは思います。
しかしその熟成庫にはラガヴーリンの熟成に使われているそうで、蒸留を再開してもどこで熟成させるつもりなのか疑問に感じていたところ。(ディアジオなので本土の集中熟成庫がありますが。)
これは伝聞ベースの話ですが、そもそもポートエレンの内部は原酒の熟成スペースのみならず、倉庫や何らかの業務スペースで間貸しをしており、まずは今敷地を利用している事業者と調整を始める必要がある模様。そしてうまくまとまったら、蒸留所を改修して再稼働ということなのだそうです。

少なくとも2018年再稼働はないでしょうし、新生ポートエレンのニューポットが産まれるのは、まだまだ先になりそうですね。

若鶴酒造 ムーングロウ 10年 リミテッドエディション2018

カテゴリ:
MOON GLOW
Blended Whisky
Aged 10 years
Limited Edition 2018
700ml 43%

グラス:オープンナップスピリッツ アンビアント
場所:Bar ハリーズ 高岡
時期:開封後2-3ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:酸味のあるナッティーさ、乾いた草、奥には華やかなオーク香。微かな乳酸系のニュアンスが若さを感じさせる。徐々にスモーキーなアロマも開いてくる。

味:ややフレッシュな口当たり。スパイシーでドライな樽感、微かに蜂蜜、レモン、じわじわと粘土質を思わせるようなピートフレーバー。余韻はピーティーでスモーキー、樽感はあまり強くないがドライな舌あたりが特徴的。

多少の若さを伴うが、全体的にはバランスがいいブレンデッド。ピートフレーバーがネガティブさを抑えていい仕事をしている。ストレートで。


若鶴酒造(三郎丸蒸留所)がリリースする、ブレンデッドウイスキー、ムーングロウの第二弾。昨年のファーストリリースはピーテッドモルトを仕込んできた三郎丸蒸留所本来のキャラクターとは異なる、バーボンオーク系の華やかなタイプであったところ。
今回は使われた原酒の熟成年数が多少下がりつつも、ピーティーさに加え、若いモルトのフレッシュさやグレーン由来の程よい甘みが感じられる、バランスの良い1本に仕上がっています。

ムーングロウには、三郎丸が改修工事前に仕込んだ20年以上熟成の原酒がキーモルトとして使われています。しかし第1作目と2作目の味わいは、ブレンドの方向性を差し引いてもピートレベルに明確な違いがあります。
前作のムーングロウは、オークフレーバーの中に若干の溶剤感と針葉樹のような、旧三郎丸蒸留所の原酒に感じられる癖が混じり、ピートフレーバーはライト。それが今作は、余韻にかけてピーティーな香味が存在感を出してくるのです。

この要因として考えられる一つが、当時の仕込みです。旧三郎丸仕込みの原酒をいくつか飲むと、あまりピートが強くないものが混じっています。
改修工事前は密造時代を思わせるような手作業で作っていたわけですから、糖化、発酵の段階でうまくピート成分を抽出することができなかったのかもしれません。
しかし蒸留所を改修し、新しいマッシュタンを導入したところ、よりハッキリとピーティーなニューメイクを仕込むことが出来るようになった模様。今年の仕込みのそれは、昨年と比較しても酒質がさらに良くなっていました。


詳細は別途記事にする予定ですが、ピーティーでボディにしっかりと厚みと麦由来の甘みがある、お世辞抜きに将来が期待出来る三郎丸のニューメイク。
この原酒を育てて、これまで若鶴酒造がリリースしてきたウイスキー以上のものを絶対作ってみせますよとマネージャーの稲垣さん。
今作のムーングロウはファーストリリースより好みでしたが、それ以上のものが数年後に誕生することを楽しみにしています。

ジャパニーズウイスキー「響」のフェイクボトル報道に思うこと

カテゴリ:
いつか話題になるだろうと思っていた、ネットオークションにおけるジャパニーズウイスキーのフェイクボトル。その逮捕者が出たというニュースが、本日配信されています。

中身は別のウイスキー 偽「響30年」販売容疑で逮捕(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL8P41T0L8PONFB006.html

自分がウイスキーを本格的に飲み始めた2010年頃、フェイクボトルと言えばスコッチでマッカランやスプリングバンク、あるいは陶器瓶のラガヴーリンなど、海外から買い付けるような一部のレアなボトルに限られていました。
代表的なものが、昨年ニュースにもなった100年前のマッカランとかですね。
国内ではマッカラン30年ブルーラベルが話題になるくらいで、よほど高額なものでなければフェイクづくりは割に合わないというのが定説だったとも記憶しています。

ところが、近年のジャパニーズウイスキーブームを受けて、まずはイチローズモルトのフェイクと思しきボトルがヤフオクなどで見られるようになり。スコッチモルトも高騰し始めた結果、近年リリースでもフェイクを疑われるボトルが徐々に増えていました。
そして極め付けが、今年発表された白州、響の休売ニュース。海外からの買い付けで流通価格の数倍という価格高騰を引き起こした結果、メルカリやヤフオクの所謂転売系の出品物に明らかにフェイクと思しき響17年以上が混じり始めたのです。(メルカリの方が多い印象。)
それは散見というほどの数はないものの、事件化することは時間の問題だったようにも思います。


疑わしきは・・・ということで、この場でWEB上に出品されている(されていた)ボトルを名指しすることはできませんが、例えば最近メルカリやヤフオクで見かけた響で、明らかに怪しかったモノの特徴は以下の通り。

①開封済みである。
②液面が通常より高い。
③撮影の影響を差し引いても、色が濃いor薄い。
④ラベルが張り直されたような跡がある。
⑤キャップシールのデザインが異なる。

はっきり言って、上述のレアなオールドボトルのそれと比べると殆どは雑なフェイクであり、個別に解説するまでもありません。ラベルをルーペで拡大したり、キャップシールを一部切り取ってコルクの状態を確認しないと認識出来ない精巧なフェイクに比べれば、あまりにも稚拙。
現時点ではキャップシールまで複製して詰め替えているようなケースは少なく、①、②、③がセットになっていたりで、笑いのネタにすらなるレベルです。

他方、④や⑤は解説の余地があるので少し述べていくと、まず④は最安価の響ジャパニーズハーモニーのラベルを剥がし、響17年以上のグレードのラベルを調達(あるいはプリント)して貼り直した、所謂ニコイチと思われるものです。
響はボトルのカットがグレード毎に変わるのと、ウイスキーの色合いもジャパニーズハーモニーと17年以上では異なるため、注意して見ればわかるのですが・・・。以前あったこの怪しい出品物は、残念ながら落札されていました。
また、⑤については、今回ニュースになっているケースが該当すると思われるもの。響のキャップシールは現行品だと斜めにカット(30年は垂直)が入り、HIBIKIなどの印字があるのですが、それらが全くないのっぺらぼうなモノがありました。

そして、このような市場状況が続くと確実に増えてくるのが、先に述べた「精巧なフェイク」です。
既に高額なジャパニーズウイスキーの空き瓶が、オークションなどで数万単位の価格でも落札されており、その行き先は純粋なコレクターだけとは思えません。
キャップシールを複製して詰め替えされると、少しでも液面の高さ、色合いをごますように見える写り具合のような、怪しいところがあれば購入しないという予防策を取る以外に手はないのです。

これまで海外から調達されてしまったオールドボトルのフェイクは、泣き寝入りするしかなかったケースが殆どであるように思います。現在は逆に、海外の愛好家がジャパニーズのフェイクを掴んでしまったという悲しい話もあります。
しかし現行品で国内となれば、明確なフェイクは責任の所在を辿ることはある程度まで可能であると思います。

今回のケースは、まさに氷山の一角。容疑者らが悪意を否定している状況(偽物と知ってたけど、騙す気はなかったって、弁明にならんがな。。。ってか何入ってたんだ)ですが、少なくとも逮捕者が出たことで、フェイクの出品に歯止めがかかってくれることを期待したいです。

マッカラン10年 1980年代流通 40%

カテゴリ:
IMG_8180
MACALLAN
YEARS 10 OLD
1980's
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:黒砂糖と揚げドーナッツのような香ばしく甘いアロマ、トーンの高い鼻腔への刺激に続いて、奥にはアロエのような青い植物感、シロップの甘み。

味:若干荒さはあるがコクのある甘みを感じる口当たり。黒蜜、粉末カカオをまぶした生チョコレートやアーモンドの香ばしさとほろ苦さ。中間は平坦気味だがレーズンを思わせる甘酸っぱさと徐々にピリピリとした刺激も感じられる。
余韻はほろ苦く、程よくドライなウッディネス。カラメルソースや熟成したクリームシェリーを感じる深い甘みも伴って長く続く。

深い甘みのあるシェリー感が備わっているが、香りは度数以上に強いアタックがあり、若さゆえか酒質と樽は完全に融合しているわけではないと感じる。他方、樽の良さがそれを補ってバランスは悪くなく、全体を通しては深みのあるシェリー樽熟成モルトに仕上がっている。

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流通時期から見て、おそらくマッカランが1974年に自社のクーパレッジでスパニッシュオークの樽を作り始め、その樽が使われ始めた初期の頃の原酒と思しき1本。
タンダー がらしっかりとした 感は 、現行品シェリーカスクとの大きな違い。テイスティングの通り加水でありながら酒質の強さも感じる点は、 元々マッカランの酒質はフルボディでパワフル、それこそ加水であれば20年前後の熟成が望ましいキャラクターからすれば個性が出ているとも言えます。
それは多少荒くはありますが、黄金時代と呼ばれる60年代の片鱗も備わっています。

(1990年代後半から2000年代流通のマッカラン10年。ラベルがやや垢抜けた印象、味わいも多少洗練されシェリー感はライトになったが、まだ方向性は変らない。)

話は変わりますが、今年に入りマッカランは新しい蒸留棟の工事を完了し、さらなる量産体制に入ったのは有名な話。これまで生産をしてきた旧蒸留棟は、今後稼働を休止するそうです。
この蒸留所は地上ではなく地下に作られ、遠目にはただの丘にしか見えないというユニークというか、未来的な外観。設備そのものも蒸留所とは思えないミュージアムのような配置となり、その生産量これまでの約1/3増で、約1500万リッターという原酒に対して、どれだけマッカランの象徴たるシェリー樽を確保できるかは疑問が残ります。

【参照】ウイスキーマガジンジャパン:マッカランの新しい蒸留所が完成(前編・後編)

樽の確保について、マッカランは相当力を入れているという話でもあるのですが、2000年代後半の肩張りボトルに変わってからシェリー感の変化は大きく、量産による影響が如実に現れている状況と言えます。ファインオークのように、バーボン樽を用いたり、ダブルカスクのように複数の樽材を用いるものが今後益々増え ていくのだとも思います。
加えて年々軽くなる酒質も、かつての厚みのある麦とシェリー樽が融合したようなキャラクターから見て、さらにライト化が進むのでしょう。
自分としてはそれを飲む前から否定するつもりはないですが、急激な変化に対して誰もが割り切れているかというと、難しいように思います。

先に触れましたが、マッカランは1970年代のシェリー樽自社生産開始など、生産工程の切り替えが、のちのリリースで一つの節目として語られることが多くあります。
そういう意味で、今回の新しい蒸留棟の完成は、マッカランが切り替わったという節目として将来的に語られていくのでしょう。例えるならブローラとクライヌリッシュのように、全く違うものなんだと割り切れるきっかけにもなるのではないかと考えています。

軽井沢 11年 ビンテージ 1994 シングルカスク 62.8% BAR無駄話にて

カテゴリ:

KARUIZAWA
VINTAGE 1994
Aged 11 years
Single Cask Malt Whisky
700ml 62.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR無駄話
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:パワフルで 鼻腔を刺激する香り立ち。ややハイトーン、乾いた草、そして煉瓦のような土っぽさとピート香。バニラ、ほのかにグレープフルーツのような柑橘系のアクセント。

味:とろりと粘性のある口当たり、ハイプルーフらしく強いアタックと荒いウッディネス。麦芽風味、ドライオレンジ、じわじわとブラウンシュガー、かりんとうを思わせる香ばしい甘み。余韻はスパイシーでドライ、でがらしのお茶のような渋みを伴う乾いたウッディネス、焦げたようなピート香が長く続く。

開封後の時間経過でこなれた印象はあるものの、パワフルでアタックの強い、言い換えれば荒さのあるモルト。リフィルシェリー樽らしくシェリー感は淡く、ピートフレーバーがしっかりと感じられる。少量加水するとシェリー樽由来の個性が前に出てバランスは多少改善される。


先日に引き続き、BAR無駄話でのテイスティングから軽井沢ビンテージシリーズです。
これも懐かしいボトルですね。2010年に軽井沢蒸留所を見学に行った際、まさかこんなことになるとは夢にも思わなかったワケで。。。買い占めておけば軽井沢成金だったよねなんて話は、当時からのウイスキー愛好家にとって、今やちょっとした酒の肴だとも思います。

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(かつての軽井沢蒸留所併設売店。山のように積まれる軽井沢Vintageと、1ショット5000円で試飲できた1968年蒸留40年熟成。おそらくリフィルシェリーカスクでの熟成と思うが、原酒、樽、そして熟成環境が噛み合い、フルーティーでまろやか、これまで飲んだ中で一番美味しい軽井沢だと記憶している1本。なお、価格は当時で1本10万円・・・。)

以前の投稿でも触れていますが、軽井沢のモルトはお世辞にも作りが丁寧というわけではなく、パワフルで荒々しく、ピーティーさも強い、言い方を変えれば長期熟成向けの原酒と言えます。
しかし、長期熟成に向かない日本の環境と、そこに濃厚なシェリー樽が多く使われていたことから、シングルカスクではどうしても荒さが残る傾向が多かったように思います。加えて1990年代あたりからは樽が安定せず、ファーストフィルのものでも荒くエグいだけでナンジャコリャというものがしばしば・・・。

今回のようにリフィルタイプのものは樽感でマスクされない分、樽由来のえぐみは控えめですが酒質の傾向が出ていますね。ボトリングから10年以上、そして開封後時間が経過していることなどからこなれてはいますが、元々は一層荒々しい味わいだったのではないかと。
そんなわけで、軽井沢のモルトはブームに反して率先して飲むことは無いため、今回久々に飲めたことで懐かしさと、軽井沢の酒質の部分の変化を味わうことが出来ました。

さて、BAR無駄話さんで夜通し飲み、そのまま1泊させていただいた翌日。朝食を挟んで行われたのはブレンダーズキットを使ってのオリジナルブレンドづくり。午前中のほうが香りがとりやすいって言いますしね(笑)。
キリンのキットは比較的最近のものですが、サントリーのはだいぶ昔のそれ。キリンのグレーン3種とサントリーのピーテッド原酒など、通常ありえない組み合わせです。

この日は午後から友人主催の別なウイスキー会があったため、ブレンドづくりも程々に、後ろ髪引かれつつも移動して梯子酒。後は飲む、食う、そして何故か打つという道楽の限りを尽くしたわけで、言わずもがな素晴らしく充実した週末となりました。

それにしても、狭いウイスキー業界では大概は知人の知人くらいの枠に収まるとは言え、直接会ったこともない自分を自宅に招待頂き、こうして貴重なお酒を経験させて貰える・・・。趣味が繋ぐ縁というのは、本当に人生を豊かにしてくれますね。

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