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2018年07月

963 ミズナラウッドフィニッシュ 17年 セカンドフィル 福島県南酒販 46%

カテゴリ:
963 BLENDED MALT WHISKY
MIZUNARA WOOD FINISH 
2nd Fill
Aged 17 years
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後数日以内
評価:★★★★★★(6)

香り:少しツンとした刺激、一瞬湿気ったような酸味を伴うが、すぐにバーボンオークのオーキーなアロマ。淡くミズナラを思わせる香木香にりんごのコンポート、蒸した栗、バニラのニュアンスが時間経過で前に出てくる。

味:オーキーでウッディな口当たり。序盤はややビターだが、次第にとろりとした粘性を伴う甘み、林檎やパイナップル、黄色系の果実味も感じられる。
余韻にかけてはほのかにクリーミーな甘み、白桃缶のシロップを思わせるような要素を含み、軽やかにウッディで長く続く。

ハイランドやスペイサイド系の原酒を思わせる穏やかな構成。若さを感じない適度な熟成感で、樽感はバーボンオーク主体だが、淡いミズナラのアクセントがフルーティーさを後押ししているように感じる。飲み方はストレート以外に、ロック、ハイボールも悪くない。


福島県南酒販から、夏のギフト向けに発売された963シリーズの最新作。
バーボン樽熟成のブレンデッドモルトをミズナラ樽で数ヶ月間後熟したものですが、ベースとなる原酒の香味がミズナラ樽由来の香味とうまくマッチ。近年高騰著しく、高嶺の花となってしまった同樽熟成ウイスキーの香味に近い構成となっているのがポイントです。

この963MWF17年は、昨年11月にもリリースされており、その際に使われたのはミズナラの完全な新樽。それを6月から9月頃まで、1年のうち最も暑い時期にフィニッシュに用いたことで、数ヶ月間でありながら結構しっかりと樽由来の香味が出ていました。(※写真左がファーストリリース、右がセカンドリリース。表ラベルは同一、裏ラベルが微妙に異なる。)

対して今回は引き継ぎとなるセカンドフィルに、ベース原酒はおそらくほぼ同じ系統のものを2月から5月、冬から春にかけて後熟。当然、樽から出るエキスの量が異なるため、ミズナラ感は多少淡くなっていますが、むしろファーストリリースの樽感が雑というか多少煩くも感じていましたので、樽に拘らずウイスキーの全体で見れば洗練されたような印象も受けます。
価格は前作から据え置きの1万円。2作目ということでファーストリリースを超える衝撃とはなりませんでしたが、これはこれで扱いやすく美味しいウイスキーなのではないでしょうか。


(ファーストリリース(左)とセカンドリリース(右)。ファーストリリースのほうが色濃く仕上がっている。)

今同じ系統が2作続いたわけですが、こうして見るとバーボン樽原酒とミズナラ樽の組み合わせは相性の良さを感じます。
香味としては、香木を思わせるニュアンスなど、アメリカンホワイトオークとミズナラの木材が持つ方向性の違いは当然ありますが、共通の要素がない訳ではありません。
ざっくり整理すると、バーボン樽はAとBの香味要素があり、ミズナラ樽はCとDを持つとするなら、このAとCがニアリーイコールなので、フィニッシュよって市場が求めるミズナラ樽熟成に近い原酒に仕上げられる可能性。

ミズナラはエキスの出が良いとも聞きます。新樽入手後いきなり10年単位の熟成を狙うより、フィニッシュで樽感を慣らしていくのも理にかなっています。
勿論樽は生き物、必ずこのようになるとは言い切れませんが、小規模生産のクラフト蒸留所の商品開発の方向性としては、参考になるリリースとも思うのです。

ケンゾーエステート 紫鈴 rindo 2014 ナパヴァレー

カテゴリ:

KENZO ESTATE
NAPA VALLEY
Rindo 2014
750ml 15.2%

香り:熟したベリーやカシス、ナパのカベルネらしいふくよかで甘酸っぱい濃厚な果実感。香りに混じる樽香は、カカオを思わせるタンニン、微かにハーブや鉛筆のようなニュアンスも混じる。

味:リッチでフルボディ。注ぎたては特に余韻にかけて若干のアルコール感を伴う強さがあるが、香り同様の果実味はジャムのように柔らかく、程よくウッディでタンニンが染み込むように長く続く。この余韻の強さが、デキャンタや時間経過で開く包容力のある熟した果実の甘みとのバランスをとって、いい仕事をしてくれる。 
評価の高いナパを、じっくり家飲み出来る機会に恵まれました。
カプコンの代表取締役である辻本憲三氏が創業・オーナーを務めるワイナリー"ケンゾー・エステート"。「より多くのお客様に、より最良のワインを」をモットーに、開墾が始まったのが1998年。ファーストリリースが行われる2008年までには10年の歳月を要しましたが、それはその間一度育った全ての葡萄の木を引き抜き、畑をリセットするなど世界最高峰のワインを目指すためのチャレンジ故だったそうです。
掻い摘んで書きましたが、このストーリーだけでもウイスキーにおける竹鶴政孝氏に通じるものがあるというか、読み応えのある内容なので、合わせてメーカーWEBページも参照頂ければと思います。

そのワイナリーのフラグシップブランドが、今回のテイスティングアイテムであるRindo"紫鈴"です。
ぶどう畑に鈴なりに実る、葡萄の紫色をイメージしたとする銘柄は、同ワイナリーで作られる品種を複数用いて収穫からボトリングまで手がけるエステートワイン。2008年のファーストリリースは即完売するなど、高い評価を受けています。

2014年の品種比率は、カベルネソーヴィニョン53%に、メルロー25%、カベルネフラン10%、プティ・ヴェルド10%、マルベック2%。それを20ヶ月の樽熟成の後、1年間の瓶熟。
この中でも主にカベソー由来と感じられる熟した果実味は、濃厚かつ淀みなく丁寧な作りが伺えるだけでなく、余韻にかけてのタンニンがボルドー的な要素を連想させる。樽香もいいアクセントで、端的に言って旨いワインですね。繊細さもありつつ軸はしっかりしてるので、熟成させても面白そう。
また、この日は夏野菜でトマトソースのドリアを作ったのですが、料理との相性もバッチリでレベルの高いワインです。

この熟した果実の香味は、ウイスキー好き並びにワインに馴染みがない方でも琴線があるように感じます。
ただ。。。なんというか旨いは旨いんですが、自分の場合はワインの経験値の少なさも手伝って、違いが感じづらいというか。ナパの基本キャラクター路線故に普及価格帯のコスパの良いものと、ついつい比べられてしまうのが難しいところかなとも感じます。

そう、数々のこだわりと評価故、このワインは結構良いお値段してしまいうのです。
まあウイスキーやその他の酒類においても同様の状況はあるので、ワインに限る話ではないですが。このワインを平常心で飲めるようになる、そんな立ち位置に行けるように仕事を頑張り、最高峰を目指してチャレンジするのが人生の目標の一つになるのかもしれません。

トマーティン(トマーチン) 12年 1980年代後期流通 43%

カテゴリ:
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TOMATIN
Blended Scotch Whisky
Aged12 years
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
評価:★★★★★(5- )

香り:ややツンとしたアルコール感、乾いた穀物や干草を思わせるアロマ、ほのかに植物のえぐみを伴う。スワリングしているとグレーン由来のバニラを思わせる甘みも感じられ、時間経過で品の良い甘みの麦芽香が強く感じられる。

味:マイルドでほろ苦い麦芽風味に加え、ふ菓子やおこしを思わせる甘み中心的。乾いた植物、サトウキビ、ほのかにスモーキーさが余韻にかけて感じられる。余韻は少々荒さを伴う刺激と淡いピートフレーバー、ビターで長く続く。

まさにハイランドベースのブレンド。ベースとなるモルトがあまり強くないためか序盤はグレーン感が多少目立つ。12年表記にしては、特に香りに多少荒さを感じる一方、過去にはラスト1/3くらいになって、マイルドで素朴な香味への変化があった。ハイボールは薄めでさっぱりと。クセの少ないウイスキーを求める方に。


トマーティン蒸留所がリリースする、シングルモルトと同名という紛らわしいブレンデッドウイスキー(笑)。構成原酒はトマーティンが中心のようですが、ブレンデッドであることに変わりはありません。
飲み始めの頃、横浜の酒屋で見かけて「お!特級シングルモルトやん!」と購入した後でブレンドだったことに気がついた、なんて話は懐かしい思い出です。

過去のリリースを調べると、トマーティンのブレンドは元々BIG-T名義で、シングルモルトはTOMATIN名義でリリースされていました。ところが1980年代に入った頃、もう一つの銘柄として蒸留所と同名のTOAMTIN Scotch Whiskyが誕生。このトマーティン・ブレンデッドは現地ではほとんど流通していないようです。
同時期、トマーティン蒸留所はウイスキー業界冬の時代の影響を受けて経営が悪化し、1986年には日本の宝酒造が買収したわけですが、流通時期とこれらの事象から、ひょっとすると宝酒造が日本向けに発注したものではないかとも推測しています。

さて、トマーティン・スコッチウイスキーはスタンダードの5年トールボトル、上位グレードの12年角瓶から構成。Big-Tのトールボトルも同時期に並行して販売されていますが、どちらもハイランドタイプで個性が穏やか、原酒構成はほぼ同じだと感じられます。
ただ、1970年代はのBig-T12年角瓶は、濃厚で独特なシェリー感が備わっており、個人的に評価が高いオールドブレンド。リユース市場でもあまり見かけないボトルですが、機会があれば角瓶同士で飲み比べてみるのも面白いと思います。


余談:宝酒造はTOMATIN蒸留所の呼び方を"トマーチン"とし、のちの正規代理店としてシングルモルトを輸入販売することとなる国分は、"トマーティン"表記でシングルモルトの扱いを開始したため、日本ではブレンデッドはトマーチン、シングルモルトはトマーティンという整理がされていた時期があったようです。
最近はトマーチンが終売となったためか、トマーティンで統一されていることが多いものの、宝酒造のWEBページにはトマーチンの名残がちらほらとみられます。

カリラ 1966-1995 GM センテナリーリザーブ 40%

カテゴリ:
CAOLILA
GORDON & MACPHAIL
CENTENARY RESERVE
Distilled 1966
Bottled 1995
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:サンプルテイスティング@マッスルK
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:しっとりとしたスモーキーさ。黒土とレザー、乾いた魚介のアクセントうピート香に、ベリーシロップや黒砂糖の甘みが漂う濃厚かつ妖艶なシェリーが融合。ヨード系の薬っぽさ、時間経過で徐々に焦げた木材のようなニュアンスも感じられる。

味:まろやかでスウィート、コクのある口当たり。黒蜜、カカオチョコレート、あるいはダークフルーツケーキのしっとりとした甘みとほのかな酸味。そこに香りと同系統のピートフレーバーや古酒感がある。
余韻にかけては序盤の芳醇な甘みを引き継ぎつつ、スモーキーでエッジの立った塩気と舌の上にウッディなタンニンを伴い長く続く。

完成度の高いアイラシェリー。40%という構成を感じさせない香味の存在感とボディの厚み、果実味を備えたGMシェリー感、オールドピートとそれらの加水による一体感。文句のつけようがない構成で、開封後から時間を経てさらに開いてきた。

GM社創業100周年記念としてリリースされたボトル。何種類かリリースされていて、モートラック、ハイランドパーク、ベンリネス、バルブレアあたりがあったでしょうか。中でもハイパは美味かった記憶があるのですが、あまり注目していなかったので全体の詳細は不明。。。

そのカリラは、1972年から1974年に行われた、大規模改修前にしてフロアモルティング採用時代の仕込み。1974年以降の70年代から80年代前半は、比較的多くのテイスティング機会に恵まれましたが、1960年代は流石に少なめ。しかし1974年のカリラが透明感が増してクリアでピーティーな味わいがあるのに対し、1960年代はコクとアイラらしいフレーバーで、異なる酒質を持っている印象も受けます。

今回のボトルは、そこにGMらしいカラメル系の濃厚なオールドシェリーが加わっているわけですが、多少あったであろうピートフレーバーの荒さがシェリー感と加水で整地され、経年と共に整った仕上がりが感じられるのが魅力。で、ただしっとり系かと思わせて余韻にはシャープな塩気も感じられる。いやーいい仕事してますね。
時間経過で奥にあった果実味やピートが開いてきた感もあり、この秋から冬にかけての変化が楽しみです。

なお、今回のテイスティングサンプルはウイスキー仲間のマッスルK氏から頂きました。
同氏に限らず貴重なウイスキーを経験する機会に恵まれており、本当にありがたい限りです。
自分の舌がご期待に添えるかはわかりませんが、グラス、環境、そして体調とも、極力整えてテイスティングに挑みたいと思います。

夏本番 タリスカー10年で楽しむ ペッパーソルトハイボール

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実売3000円代という価格帯を考慮すると、言うことは何もない。いや、流石MHDというべきでしょうか。タリスカー10年は、ハウススタイルと美味しさを両立させたクオリティの高いオフィシャルボトルだと思います。
熟成はリチャードオークを交えたサードフィルあたりの樽が中心と推測。近年多く見られるバーボンオークのフルーティータイプではない、酒質ベースの香味に淡い樽香がのっているため、スモーキーフレーバーなどの個性が感じやすいのもポイントです。

タリスカー10年の飲み方で代表的なものは、やはりハイボール。そのレシピは、販売元たるMHDが推奨のハイボールに黒胡椒を挽いたスパイシーハイボール(別名、タリソーペッパー)。そして当ブログでも推奨している目黒発祥、四川山椒(藤椒)を挽いて爽やかな柑橘系の香りとビリビリとした刺激を加えた痺れるハイボール(シビハイ)が、愛好家の間でも認知されていると感じています。


元々タリスカーは余韻にかけてスパイシーな香味があり、それが酒質由来の要素で柑橘のニュアンスや、樽やピートフレーバー由来の要素で黒胡椒を思わせる香味が故、黒胡椒や山椒との親和性が高かったわけです。

ただスパイシーハイボールは食中酒としての相性は文句のつけようがないものの、それ単品で飲むと個人的にはちょっと胡椒の香味が強すぎるかなという印象も。そのため、胡椒以外のものを加えて足りないものを補えないか探求した結果。。。今年のバーショーのジョニーウォーカーブースにヒントを得てたどり着いたのが、"タリスカー・ペッパーソルトハイボール"です。


作り方はタリスカーを冷凍庫でキンキンに冷やすところから始まります。
今回は写真のようにグラスの縁に塩をつけるため、通常のハイボールの手順でステアが出来ないので関西式ハイボールの作り方を採用します。あるいは別容器で氷を加えてステアして、ウイスキーを冷やしてから移すという方法も可です。

まずはグラスのフチを濡らし、ソルティードックのように塩をつけていきます。使う塩は特に指定はないですが、にがりの味が少なく、粗挽きじゃない方が口当たりは良いですね。
そしてグラスに冷やしたタリスカーを注ぎ、こちらもよく冷やしたソーダを使って割っていきます。
先に書いたように、通常のハイボールなら常温のウイスキーに氷を加えてステアで温度をさげますが、今回それをやると塩が吹き飛んでしまいます。
ソーダ割りにした後、そっと氷を加えてもOKですが、やはりウイスキーもソーダもキッチリ冷やしておく方が出来は良く。最後に黒胡椒をミルで適量粗挽きすれば完成です。

一口飲むとタリスカーソーダの爽やかでスモーキーな飲み口に、炭酸と合わせてじゅわっと溶け出る塩気とコク、胡椒の風味がマッチし、強すぎる胡椒感を程よく抑えつつ美味しさが増している。これはちょっとしたカクテルとも言える香味の相性の良さが感じられます。
(塩を加えてステアしても良いのですが、飲んだ瞬間に混ざり合う感じが美味しさのポイントでもあるので、多少手順は増えますがこの形を推奨します。)

個人的に、このスタイルのハイボールにはタリスカー10年をオススメするものの、タリスカーが使われているジョニーウォーカーや、ソルティーハイボールならオールドプルトニーなど、様々な組み合わせも楽しめます。
なお、塩分の取りすぎは当然体に悪いので飲みすぎに注意は必要ですが、いよいよ夏本番という最近の真夏日、猛暑日の中にあっては適度な塩分摂取も必要。この日はクソ炎天下の河川敷で野球をやった後。一口目の旨さと言ったらもう。。。運動後の一杯はビールやノーマルなハイボールですが、その中でこのペッパーソルトハイボールもオススメしたいですね!

TALISKER 
Aged 10 years 
700ml 45.8% 

【テイスティングコメント】 
香ばしくほろ苦い香り立ち。スモーキーで焚き木のような焦げた木材、ヨード、奥には乳酸系の若いニュアンスもあるが、スワリングしているとハチミツ梅のような甘酸っぱさも感じられる。
口当たりは若さを感じる荒さが若干あるが、それもハウススタイルの一要素として上手くまとまっている。ピーティーで燻した麦芽や焦げた木材、ほのかに酸味も伴う。余韻にかけて塩水のコク、スパイシーでスモーキー。ピリピリとした刺激を伴い長く続く。 

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