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2018年06月

ニッカ 宮城峡 12年 フルーティー&リッチ 55%

カテゴリ:
NIKKA WHISKY
MIYAGIKYO
Fruity & Rich
Aged 12 years
500ml 55%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:ややドライでスパイシーな刺激の強い香り立ち。乾いたウッディネス、蜂蜜、バニラやココナッツの甘く濃いオーク香。ドライアップルやパイナップルを思わせる果実香もある。

味:パワフルで粘性のある口当たり。リッチな果実味、林檎のコンポートやオレンジママレード、徐々にスパイシーな刺激が感じられ、強く広がる。
余韻はドライでハイトーン、ヒリヒリとした刺激と共にオーキーな果実味、ナッツを思わせる香ばしさが長く続く。

バーボンバレル系の濃厚な味わい。ジャパニーズらしく熟成年数の割に樽が強く確かにリッチ、アタックはその分加水でありながら強さが残っている。加水すると麦芽香に加え、林檎、ビスケット、ほのかなスモーキーさと共に酒質由来の香味が開いてくる。


2008年ごろにリリースが開始された、宮城峡蒸溜所限定のウイスキー。55%とカスクストレングスを思わせるハイプルーフですが、複数樽バッティングの加水調整済みシングルモルト。
特段説明の必要もないとは思いますが、このシリーズは発売当初12年のエイジング表記があったものが、現在はノンエイジに切り替わって、全体的に樽感と熟成感がライトな仕上がりとなっています。

フルーティー&リッチはそのシリーズの中でもアメリカンホワイトオークのはっきりとフルーティーな香味が強く、バーボンバレルを中心に原酒が構成されている印象。非常にはっきりとわかりやすく、好印象を持たれやすい構成ですね。
ただ同じ蒸溜所限定品として販売されていたシングルカスクリリースの15年や、マイウイスキーのシングルカスク10年も同様の樽構成である中で、ベクトルは同じではありますが、何故かバッティング加水の12年の方が少し荒さが目立つのは、違う樽の原酒も多少混じっている故かもしれません。

(シングルカスク15年、フルーティー&リッチ12年、カスクストレングス10年。多少の違いはあっても全てに同様の傾向がある。宮城峡らしさも強い。)

この宮城峡のバーボン樽熟成原酒は、少量加水、ハイボール、どう飲んでも安定して美味しいわけですが。。。一番のオススメが山でのアウトドアシーンに持ち込むこと。
清涼な空気と土や木の森の香り、水の音、ウッディでフルーティーな強い味わいが、同じようにストレートで飲むのとでは一味違う。
多くは感じられる要素との親和性で、アメリカンホワイトオークに由来するところとは思いますが、日本の同じような環境で育ったことも、少なからず影響していると考えると熟成の神秘を感じますね。


以下、余談。
ニッカといえば先日ブラックニッカ プレミアムからエクストラシェリーがリリースされ、もういい加減ブラックニッカのリミテッドリリースは最後だろうと思わせておいて、また9月に出るみたいですね。
今度はブラックニッカ・ディープブレンドの限定品で、エクストラスウィート 46%。新樽熟成の原酒を中心に、宮城峡と余市モルトの10年ものをキーモルトとしているそうです。
構成的にちょっと期待したい気持ちはあるものの、そろそろ「もう他ので良くない?」って思ってしまいます。。。

アンバサダー デラックススコッチ 43% 1960年代流通 特級表記

カテゴリ:
AMBASSADOR
Deluxe Scotch
1960-1970's
JAPAN TAX
48ml(760ml) 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:やや青みがかった香ばしいアロマ。ザラメの甘み、干草、乾いたオークと穀物感。思いの外単調でドライ気味。

味:スムーズでマイルド、アロエ果肉や瓜のような青みがかった甘み、ほのかにおしろい系の麦芽風味とピートフレーバー。穀物系のバニラや粘性を伴う甘みが強く、粘性を持って全体も広がる。
余韻は香ばしく、ほろ苦い麦芽や穀物のニュアンス。植物系のえぐみを伴って長く続く。

若さを感じる要素とグレーン感のあるブレンド。モルトは内陸系であまりピートが主張せず、ボディもさほど強くはない。特段状態が悪いわけではないのだが、少量加水すると香りが飛ぶだけでなく味も殆ど主張がなくなってしまう。ストレートで。


コアな愛好家には、バランタインの兄弟銘柄的な位置付けとして知られるアンバサダー。
と言ってもその誕生は、特段バランタイン社が関わっているというわけではなく、第二次世界大戦後の1940年代後半、アメリカ市場向けにTaylor & Ferguson社が誕生させた銘柄とされています。

同社は当時スキャパとグレンスコシア、そして今は亡きグレンガイルを有するBloch Blothers社と協力関係にあり、原酒の供給を受けていた模様。その後1950年代にカナダのハイラムウォーカー社が様々な企業、蒸留所を買収する中、バランタインと共に傘下へ。同一グループで、両者の原酒が融通されるようになったというのが実態のようです。

勿論、まったく同一の原酒というわけでもなく、兄弟というほど近くもなく、言わば親戚銘柄といったところでしょうか。
輸出向け銘柄であったためか、日本市場でも1970年代以降1990年ごろまでの在庫は比較的豊富。たまに見かける金のエンブレムの装飾が入ったものは1970年代以降の流通で、今回のラベルは1960年代以前の紙ラベル時代になります。
アンバサダーは1970年代流通の25年が、華やかかつ熟成感のある味わいでバランタインにも通じる特筆した旨さであるのに対し、年数表記のないものは別ベクトル。久しぶりに飲んでも、ライトでソーダやコーラで割って飲むようなタイプだなと実感しました。


。。。ちょっと更新の間があいてしまいました。
というのも、10年ぶりくらいに夏風邪を拗らせて、しかも仕事の忙しい時期で会社は休めず。なにをするにも削がれる気力と体力が1.5倍増しの状況では、それ以外に手を出す余裕がありませんでした。
まあ最近飲み過ぎでしたし、心も体も、ちょうど良い充電期間になったと割り切ることにします。

熱が下がったところで、リハビリは糖分たっぷりなキナ、薬草系から。。。染みる。。。喉にも染みる。。。
鼻と咳は変わらずなので、完全復活には時間がかかりそうです。

グレンクローヴァ 5年 モルトウイスキー 43% 1980年代流通 マッキンレーズ

カテゴリ:
GLEN CLOVA
RARE MALT WHISKY
Aged 5 years
1970-1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:乾いた麦芽香と土っぽさを伴うスモーキーさ、干草、ナッツ、軽い香ばしさと古酒感に通じる少しヒネたようなニュアンス。いぶりがっこ、熟成した林檎酢のようなほのかな酸味も漂う。

味:乾いた香ばしさから徐々におしろいを思わせる麦芽風味、まるでモルティングを終えた麦芽をかじっているよう。合わせてスパイシーでホワイトペッパーのような刺激、土っぽいピートフレーバー、柑橘のワタを思わせるほろ苦さも感じる。
余韻はスモーキーでスウィートな麦芽風味、微かに林檎を思わせるフルーティーさが残る。

若いウイスキーらしく、樽香よりもモルティな味わいが主体のウイスキー。まろやかというような飲み口ではないが、古き良き時代を思わせる麦芽風味と、オールドらしく存在感のあるピーティーさが、クラシックなウイスキーとして楽しむことが出来る。


マッキンレー社がリリースするバッテッドモルトにして、同時期にリリースされていたマッキンレーズ5年の姉妹品に当たる銘柄。初期の頃のそれはグレンモールとグレンアルビンのネス湖コンビをキーモルトとしていたと思われますが、今回の流通時期のものは1960年代に操業したジュラ、クライゲラヒの原酒も熟成を経て使用可能となっており、これら4蒸留所の1970年代蒸留原酒が使われていると考えられます。

飲んでみると、ボトリング当時はもっと強い主張があったであろう若い原酒の強さは瓶熟でこなれ、ブレンデッドとは異なるモルトウイスキーならではのはっきりとしたフレーバーの主張。特にジュラとグレンモールを思わせる、干草や麦芽を思わせるニュアンスと土っぽいピートフレーバーが印象的です。
ブレンドがこれら4蒸留所で構成されているとするなら、比率としてはジュラとグレンモールが6~7、アルビンとクライゲラヒが3~4といったところでしょうか。

個人的にこの辺りの組み合わせ、特にグレンアルビンやグレンモールはコアな愛好家の琴線に触れそうなレシピだと思うのですが、国内で比較的流通していたブレンデッドウイスキーのマッキンレーズに比べ、グレンクローヴァは輸入された実績は見当たらず、無名と言っても過言ではありません。
キーモルトのみならず、味わい的にもこの手のモルティーでピーティーな味わいは文句なく好まれると思うのですが・・・モノが無いのが惜しいですね。

(姉妹品であるブレンデッドウイスキー、マッキンレーズ5年。同社が量産体制を整えた1960年代後半にリリースされた。グレンクローヴァにグレーンを混ぜればという話でもないが、ピーティーさ等幾つか共通点がある。)

なお、グレンクローヴァはスコットランドの東ハイランドにある"クローヴァ渓谷"が由来と考えられます。しかし当時マッキンレー社の生産拠点はインヴァネス方面にあり、クローヴァ渓谷との関係は良くわかりませんでした。近年ではこの渓谷の名を冠した同名のブレンデッドウイスキーもリリースされていますが、当該ブランドとの関係はないものと思われます。

ラフロイグ 20年 エリクサーディスティラー 53.8% MOS

カテゴリ:
LAPHROAIG
Single Malts of Scotland
Director's Special
Age 20 years
Cask type Oloroso Sherry Butt
700ml 53.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会@NTさん
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ダークフルーツケーキ、黒砂糖を思わせる濃い甘みとほのかな香ばしさ、スパイシーで強いアタック。合わせていぶりがっこのような酸味、レザー、微かに焦げたようなニュアンス。スモーキーさがヨードを伴って感じられる。

味:口当たりは強いピートを伴うリッチなシェリー感。とろみがあり、燻した魚介、キャラメリゼ、ドライプルーン、徐々にウッディーなタンニンを感じる濃厚な味わい。
余韻は熟したパイナップルを思わせるトロピカルなフルーティーさが、キャラメルと土っぽいピートを伴って長く続く。

良質なアイラシェリー。樽そのものの良さに加えて、ラフロイグらしいピーティーさとフルーティーさが合わさったしたナイスリリース。度数もあってかややアタックが強い印象を受けるものの、むしろ10年以上瓶熟させることでさらに良くなりそうなイメージもある。


コアなウイスキードリンカーにはお馴染み、MOSことモルトオブスコットランドのハイエンドラインナップとなるディレクターズ・スペシャルからリリースされたラフロイグ20年。MOSをリリースするスペシャリティドリンク社は、今年に入ってエリクサー・ディスティラーと名前を変えたため、このラフロイグは通称エリクサーラフとも呼ばれています。

。。。まあ、この辺は今更前置きの必要もないですね。
このラフロイグは昨年末頃から美味いと愛好者間で話題になっていたボトル。
ラフロイグは80年代のみならず90年代蒸留もレベルが高いですね。モノとしては日本にも入ってきたようですが、例によって即完売しており、現在はプレミア価格のものが市場に残るのみです。5万前後のボトルが飛ぶように売れるこの状況・・・数年前じゃ考えられません。

一方、それだけ評価の高いボトルだけに、どんなもんかときたいしてましたが飲んで納得。樽は近年にしては良質なシェリー樽で、ベリー炸裂というタイプではありませんが硫黄系のニュアンスがないのは勿論、古酒っぽさの混じるコクと深みのある甘み。酒質面では強いピートと、余韻にかけてのトロピカルなフルーティーさが"らしさ"として感じられる、レベルの高い1本だと思います。

このエリクサー・ラフと近いスペックであることなどから、引き合いに出されるであろうリリースが200周年記念のラガヴーリン25年です。
シングルモルトとシングルカスクで、使われている熟成年数も表記以上に差があると思われるため、単純に比較することは出来ませんが、ラガヴーリンには長期熟成とバッティングによる複雑さ、奥行きがもたらす香味の妖艶さ。ラフロイグは上述のようにはっきりとした樽と酒質それぞれの個性、好ましい要素。
ラガヴーリンは開封後即ピークという感じですが、ラフロイグはまだ先がありそうなイメージで、将来的な可能性を秘めた前評判通りの1本でした。

リンクウッド 37年 1978-2016 スペシャルリリース 50.3%

カテゴリ:
LINKWOOD
Limited Release
Aged 37 years
Distilled 1978
Bottled 2016
Cask type Refill American Oak Hogsheads & Refill European Oak Butts
700ml 50.3%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後1年程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかったドライな香り立ち。ツンとした刺激に乾いたオーク、品のいい果実香はファイバーパイナップル、青林檎、アロエを思わせるニュアンスを感じる。

味:プレーンで癖のないニュートラルな味わい。徐々にオーキーなトロピカルフレーバー。パイナップル、林檎のコンポート、奥には微かなピートフレーバーも感じられる。ボディはミディアム程度、余韻はしつこくない程度にドライでオーキー、華やかで長く続く。

花と動物のリンクウッドの延長にあると言えるボトル。淡麗系の酒質にほのかなピート。リフィルオーク樽を用いたことによるバランスよく、当該シリーズらしい整った熟成感がある一方で、青みがかったウッディさもある。


日本では2017年版のスペシャルリリースとして発売された、オフィシャルにおいて最長熟成となるリンクウッド。1978年という蒸留時期もあり、淡麗傾向で癖の少ない酒質となっています。
また、ボトルに書かれたポットスチルが、花と動物シリーズにおける同蒸留所の白鳥をイメージするようなデザインとなっており、上述の中身と合わせて関連性を感じる仕上がりでもあります。(価格は随分と差がありますが。。。汗)

当時のリンクウッドは新しい蒸留設備が1971年に稼働し、新旧合わせて生産量が大幅に増加していた時代。かつてはスモーキーで芳醇だった酒質は、生産方針の変更か、酒質の幅を増やすためか、この時期からオールドスタイルのものと、ライトスタイルのものが混じるようになるのは、これまでも度々触れてきているところです。
この背景には、新旧設備での作り分けのみならず、ライトなウイスキーを求める時代の需要、樽や麦芽品種の変化など、多方面からの影響があったのだと思いますが、その点で言えばこのスペシャルリリースのリンクウッドは近年寄りの仕上がりと言えます。

なお、リンクウッドは99%がブレンド向けに使われてきたという蒸留所。ジョニーウォーカーなどのDCL系列のブレンデッド他、直系としては先日記事にしたアボットチョイスやチェッカーズがあります。
この2銘柄については1980年代後半にかけて香味から徐々にクラシックなスモーキーさが失われて行くわけですが、この背景にリンクウッドのスタイルの変化があるのではないかと推察しています。


以下、雑談。
今回のリンクウッドしかり、これまで紹介してきたスペシャルリリースしかり、整っていてバランスも良いんだけど、高い評価に至らないボトルについて、どう位置付けているのかという質問を頂きましたので補足をさせて頂きたいと思います。

これは個人的に漫画のようなものだと思っていて、漫画は絵の良さと、ストーリーの良さが大きく分けてあるとすると、どっちを評価するかという話なんですよね。
勿論両方いいものの方が満足感は高まるのですが、例えば極めて両極端な事例は除いて、ストーリーはそこそこだけど絵やコマ割りは綺麗な漫画は無難に楽しめて、万人ウケもするけどしかし熱狂的にハマるかというとそうではない。これをウイスキーに置き換えると。。。バランスは良いけど突き抜けなくて★6、という評価をする事が多いと思います。

自分はどっちかというとストーリー重視で、絵はそこそこ、ストーリーそこそこでも評価が変わらなかったりしますが、数値化されない部分は本文の表現で補足したいですし、それ以上に個人個々の感覚、評価軸があって然るべきと思います。
こんなところで説明になっていれば幸いです。


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