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2017年10月

笹の川酒造 安積蒸留所が第2回共同カスクオーナーの募集を開始

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昨年、笹の川酒造と福島屋商店さんのコラボで実施された安積蒸留所の共同カスクオーナー制度。
募集が行われた当時、まだ安積蒸留所からはニューポットの販売もされておらず、すべてが未知数だった状況。にも関わらず最大150口の予定を大きく上回る254名317口の応募があり、急遽樽数を増やして対応したというのですから、やはり自分の樽を持つという特別感、未知のものへの期待感は愛好家の背中を押すのに充分すぎる効果があるということだと思います。


さて、その共同カスクオーナー制度ですが、つい先週末から第二回の募集が開始されました。
今年の募集は100〜150口、2018年の蒸留から5年間の熟成で、価格は1口1万6000円から。
樽は今年もバーボン樽でしょうか。
ボトリング時の仕様は700ml43%の加水シングルカスクで1口あたり2本を予定。オリジナルラベルは別料金で対応と、告知されている内容は、基本的に前回第一回と同じ仕様となっています。 

笹の川酒造×福島屋商店 共同カスクオーナー制度「琥珀色の浪漫」
※参加登録ページは以下からとなります。
(10/17 申し込み多数により今年も2樽への増加調整中とのことです。)



樽詰めされる安積蒸留所のニューポットは、少し田舎っぽさのあるオーソドックスなタイプ。酸味と程よい雑味を感じるアロマ。口当たりに柔らかいコクのあるモルティーな甘み、香ばしさがあって「いいんじゃない?」と言いたいところですが。。。
日常的に行われる試行錯誤や、今年からノンピートに加えてピーテッドモルトの仕込みも始められており、2018年にはこれまでとは違った仕上がりのニューポットが作られる可能性は高いと感じます。
(2016年12月と2017年1月に仕込まれたニューポット。後者の方が嫌味な部分が少なく感じられる。)

それはピーテッド、ノンピートという仕様の根本的な違いというよりも、酒質そのものの変化があるのではないかということ。
現時点で蒸留時期の異なる複数種類の安積蒸留所のニューポットを飲んでいますが、雑味がクリアになっていたり、コクがあったりと、ウイスキー作りの経験が詰まれる中で酒質のブレを繰り返しながら、徐々に洗練されてきている印象も受けます。
それはイチローズモルトの秩父しろ、厚岸にしろ、津貫にしろ・・・全てのクラフトにあることで、ポットスチルや設備の癖的な理解をはじめ、ウイスキーの作り手が常に良いモノを求めて工夫を続けているからに他なりません。
こうした変化を味わう意味で、第一回目に参加されている方が引き続き参加されるのも面白いかもしれませんね。

ちなみに自分も今回の募集に一口応募していて、手続き待ちです。
ボトリングされるのは2023年。ウイスキー業界はどのようになっているのか、そして我々はどのように年を重ねているのでしょうか。


【以下、ご参考】
笹の川酒造、安積蒸留所の紹介については以前記事化していますので、そのリンクも貼らせて頂きます。

第一回募集記事と蒸留所(熟成環境)等の紹介記事。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1062846773.html
   
安積蒸留所 ニューポットのテイスティング記事
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1064108877.html

また、他のサイトとなりますが、第一回の共同オーナー制度に参加され、その後同蒸留所を見学、個別に取材をされた方の記事が大変良くまとまっておりますので紹介させていただきます。
笹の川酒造では、共同オーナーを対象とした交流会、現地見学会を今年の3月に開催しており、その模様もまとめられているのでオーナーになる楽しみの一つもイメージしやすいかなと思います。

クラウドファンディングの現場から ~福島・ウイスキー共同樽オーナープロジェクト~
http://www.actzero.jp/social/report-21210.html


前回のオーナー募集の際は、当ブログの記事がきっかけとなって参加された方が結構いらっしゃったそうです。元郡山市民として、地域活性化にも繋がる活動を応援出来て嬉しいですね。
自分は日本全体のウイスキー文化の発展もさることながら、縁のある土地にウイスキー文化が根付いて、そこで作られたウイスキーを飲むのも楽しみの一つ。
笹の川酒造さんの活動は、引き続き応援を兼ねて紹介していきたいです。

タムデュー 25年 1990-2016 OMC 信濃屋向け 56.9%

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TAMDHU
OLD MALT CASK
SPEYSIDE REGION
Aged 25 years
Distilled 1990
Bottled 2016
Bottled for SHINANOYA
700ml 56.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:ドライで華やかなアロマ。乾いた麦芽とエステリーな熟成感、ドライアップル、オレンジピール、乾いたウッディネス。時間経過で蜜のような甘い香りも。

味:とろりとした口当たり、エステリーで蜜のような甘み。りんごのコンポート、ナッツや麦芽風味のアクセント、しっかりとした熟成感。
余韻は華やかなオークフレーバーからスモーキーで内陸ピートが染み込むよう。ドライでヒリヒリとしたやや硬いフィニッシュ。

古き良き時代を思わせる、ピートの香るオールドスタイルなスペイサイドモルトだが、現代的なエステリーさも融合している。華やかな樽香と蜜のような熟成感、樽と酒質のバランスは良好で、ここにスモーキーさの合わさる余韻は、個人的にストライクゾーン。開封直後は少し硬い。少量加水すると香りが開き、さらに楽しめる。


信濃屋のプライベートボトルとしてリリースされた、OMCのタムデュー。
タムデューは個人的に好きな蒸留所の一つですが、それはオールドボトルや1960-70年代蒸留のボトラーズの長期熟成が思い浮かんでのこと。
近年のタムデューの酒質は、麦感のある素朴な酒質でボディもほどほど、率直に言えばぱっとしないしみじみ系というイメージでした。

それが今回のボトルは、かつてボトラーズリリースで多く見られた長熟スペイサイドの熟成感と、バーボンホグスヘッド由来の華やかなオークフレーバー。
例えるなら、普段地味な友人が突然バリッと着こなして来たような感じでしょうか。あれ、おまえこんな感じだったっけ!?と。
ややドライですがコクのある酒質から、熟成期間のバランスが感じられるだけでなく。余韻にかけてオフィシャルの通常品では樽感に覆われてしまっている土や木材を思わせるピートフレーバーがじわりと広がり、全体を引き締めていく古典的なスペイサイドのスタイルが良いですね。

近年のボトラーズリリースは、需要の高まりからか、バーボンバレルで短期間に華やかさを付与して強引に仕上げたり、そこに加水をして一見すると飲みやすいものの中間以降ぼやけたような味わいになっているリリースが少なくありません。
今回のリリースはその点、熟成期間を経てしっかりと備わった香味が堪能できる、王道的なスタイルです。
リリース直後の口開けから何度か飲んでいて最近から好みの味わいだったのですが、時間経過で硬さが和らいでさらに良くなって来たなという印象。

ちなみにこのボトルはリリースからあまり話題にならなかった気がします。タムデューというネームバリューか、色が薄いからか、あるいは少し高めの価格も要因としてあったのか。
ただ、それこそこれがロングモーンだったら。。。そんなリリースだと感じるわけです。
ひとつのスペイサイドモルトとして、フラットに楽しみたい1本です。

イチローズモルト 秩父 6年 2011-2017 ウイスキートーク福岡2017 59.5%

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ICHIRO'S MALT
CHICHIBU
Whisky Talk Fukuoka 2017
Distilled 2011
Bottled 2017
Cask(1st) Bourbon Barrel
Cask(2nd) Bear Barrel
59.5% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:開封後1週間以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはバタークッキーのような甘いアロマが一瞬あるが、すぐにシトラスやレモンピール、あるいはグレープフルーツなどの柑橘類や、微かにハーブを思わせる爽やかなアロマ。ほろ苦いビール、乾いた麦芽香も開いてくる。

味:とろりとした口当たり、最初から柑橘やホップのIPA系の柑橘の香気やほろ苦い味わいが主体。そこにモルティーな香ばしさ、ピリピリとしたハイプルーフらしい刺激。ビールを思わせる香りが鼻に抜ける。
余韻はビターでグレープフルーツ、ホップの苦味が長く残る。微かにオークの華やかさも。

香味はビール感強く主体的。バーボンとビア樽、使われた樽同士が自然な感じに交じり合っている。若さゆえ荒い部分はあるが、嫌味な要素は少ない。
加水すると樽由来の個性がボケる印象。度数ほどの強さは感じないのでチェイサー片手にストレートで。

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今年の6月に開催された、ウイスキートーク福岡2017の記念ボトル。月と失われゆく動物#7 ツキノワグマ。
このシリーズは、環境省が定める「レッドリスト」に掲載されている、九州地方において絶滅の恐れがある動物をラベルにしたもので、リリースと共に欠けていく背景の月も特徴の一つ。
イベント関係者であるクラブバッカスの皆様により原酒の選定が行われた後、イベント当日購入希望が受け付けられ、10月に抽選、当選者への配送が行われたばかり。リリースされたてホヤホヤの1本です。
(博多のBAR Kitchen にて。月と失われゆく動物シリーズ#2〜6。徐々に月が欠けてきており、今作ツキノワグマの背景は"新月"。全てイチローズモルトの所有するカスクからリリースされている。)

今回使われたビア樽は志賀高原ビールのIPA樽。味わいはビール感6〜7:モルト感3〜4という程度で、柑橘系の爽やかさと苦味を連想させるIPA感が、過剰にならない範囲でしっかりと備わっており、ウイスキーらしいモルティーな味わいと共にバランスは良好です。
個人的な好みの話ですが、秩父のモルトのいくつかに感じられる余韻の苦手な要素が綺麗にマスクされているのもポイント。上述のバランスと合わせて、今までリリースされてきたIPA樽3作の中で、一番良い出来なのではないかとも感じています。
(ちなみに、先日リリースされたIPAカスクフィニッシュ2017の樽感とモルト感は5:5くらい。)

このウイスキーが持つIPA樽由来の爽やかさは、真夏よりもちょうど今の時期のような過ごしやすくなってきた気候の中で、昼間から飲むにはピッタリです。
IPA樽についてはその独特な香味ゆえに好みがはっきり分かれたり、まだまだイロモノ的な見方があるのも事実ですが、だからこそクラフトディスティラリーのように尖ったリリースが求められるメーカーがチャレンジする価値のあるジャンルの一つと感じます。

秩父にあっては今はまだベースとなる原酒の荒さ、若さがありますが、これが10年くらいの熟成を経た後でフィニッシュされたウイスキーの味わいはどうなるか。
創業初期の数年間と比較して味わいに厚みがで始めた、2012年以降の原酒が育っていく今後に期待したいところです。

イチローズモルト 秩父 IPAカスクフィニッシュ 2017 57.5%

カテゴリ:
ICHIRO'S MALT
CHICHIBU
IPA CASK FINISH 2017
Bottle #2298/6700
700ml 57.5%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
量:ハーフショット
場所:BAR飲み@ナデューラ
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:クリアで爽やかな香り立ち。ホップ、レモンピール、パイナップル、柑橘と独特のエール感を伴うアロマ、焦げたウッディネスにツンとした酸味のある麦芽香。

味:粘性のある口当たり。ホップ系のグレープフルーツやオレンジの香気、薄めた蜂蜜。ボディはクリアなモルト感。
余韻はスパイシーでドライ、焼酎っぽい癖やえぐみと、バチバチとした刺激を伴う。

爽やかでフレッシュなIPA樽由来の香味と、クリアでツンとした秩父らしい酒質。樽感と酒質は比較的バランスのとれた構成。加水するとIPA感が和らぎ。。。しかし若い原酒らしくえぐみ、焼酎のようなフレーバーも強くなってしまう。

様々な樽での熟成やフィニッシュで、クラフトならではのチャレンジングなリリースを手がけているイチローズモルト。今回のテイスティングアイテムもまた、あまり例のないIPAカスク、即ちエールビールのIPAの熟成に使った樽での追熟を行なった意欲作です。

イチローズモルトでは志賀高原と箕面に秩父モルト熟成後の樽を貸し出しており、両醸造所でエールビール(IPA)の熟成に使われたものが今回の原酒のフィニッシュに使われています。ビールの方まで追えてなかったのでスルーしてましたが、結構いろんなリリースが出ているんですね。おおよそですが志賀高原では半年以上、箕面では12ヶ月ほど熟成に使ったものを秩父に返しているようです。
ウイスキーとビール熟成を交互に繰り返す、他のジャンルには見られない樽のループです。
(補足:近年ではウイスキー樽熟成のワインやグラッパがあるので、同じようなループで作られたリリースが今後は出てくるかもしれません。)

秩父でのIPAカスクフィニッシュは、昨年成田空港の免税店向けとしてリリースされたのを皮切りに、今年に入ってe-powerから6年モノのリリースがあり、これで3作目でしょうか。
これまではシングルカスクでしたが、今回はシングルモルト。10樽以上のバッティングということもあり、これまでの2作の突き抜けるようなIPA感ではなく、バランス寄りでコクと丸みを帯びたバッティングらしいフレーバーになっています。
秩父系のニュアンスも残っている、バランスのとれたタイプですね。

エールとしてのIPAは完全に好みが分かれる味わいであるため、カスクフィニッシュも同様。自分はこてこてIPA大好きなので免税向けの方がヒットですが、人によっては異なりそうです。
聞いた話では、今回のカスク選定からブレンドは肥土伊知郎氏自身で行なったとのこと。免税向けについては「あれは自分の選定した樽じゃない」と、納得いくのは今回のリリースということでしょうか。
ウイスキートーク福岡のボトルもIPAフィニッシュらしいので、次のリリースも楽しみです。

ウィスク・イーがベンリアック社の3ブランド販売終了を発表

カテゴリ:
グレンドロナック、ベンリアック、グレングラッサ。
ウィスク・イーが、日本国内への正規輸入を行なっていたベンリアック社の3蒸留所のラインナップ各種ですが、2017年12月を持って取り扱いを終了することが通知されました。

上記3蒸留所はベンリアック社傘下のブランドで、ウィスク・イーが代理店契約を締結して日本国内への正規輸入を行なっていました。 聞くところでは、社長同士が仲が良く、だいぶ優遇してもらっていた模様。 
ところが昨年、そのベンリアック社をアメリカのブラウンフォーマンが買収。ウィスク・イーとの契約が白紙化されるのではないか、という噂も出ていました。

実際、今年のウイスキーライブでウィスク・イー社のブースはキルホーマンのみ。そうなんだろうなーと思っていた中で、いよいよくるものが来たか、という感じです。
当然ですが、今回の取り扱い終了に伴う対象は上記3銘柄の正規ラインナップ全て。ウィスク・イーのWEBページには10月5日時点でまだラインナップ情報がありますが、結構な数が該当します。
※ウイスク・イー取り扱い蒸留所一覧

さて、ブラウンフォーマンとはアサヒビールが2012年に代理店契約を結んでいるため、今後はアサヒビールを通じてグレンドロナック、ベンリアック、グレングラッサの正規輸入が継続される可能性はあります。
もっとも正規品以外に並行輸入も一定数あるブランドなので、取り扱い終了=直ちに絶滅、終売という訳ではありません。
他方、現在ウィスク・イー経由で販売されているラインナップが、そのまま丸っとタイムロスなく販売継続されるとは考えにくく、一時的に並行品のみの市場流通となって、品薄、値上げ、あるいは他社の話ですがラフロイグ10年カスクストレングスのように国内終売扱いになる可能性は考えられます。

例えば濃厚シェリー系として人気がある、グレンドロナック18年や21年はその筆頭です。
元々同リリースはグレンドロナック蒸留所の休止期間の関係から原酒的に無理をしたリリースが行われており、いつ終売になってもおかしくない銘柄。実際苦労してロットを確保していたようですが、そのウィスク・イーさんの手を離れると・・・。
アサヒビールさんを信用しない訳じゃないですが、自前の銘柄と輸入品、果たしてどちらがを優先するかはこれまでの流れを見ているといささか不安になってしまいます。

まあ流石にベンリアックの10〜12年クラス、グレンドロナック12年シェリーのような人気のあるスタンダードは輸入再開されると思いますが、双方のリミテッドリリースは今以上に並行品任せになってしまうかも。BARや飲食関係の皆様におかれては、売れ筋は押さえておいてもいいかもしれません。
年末年始にかけての商品展開、市場の状況はアンテナを立てて様子を見ていきたいと思います。

最後に。ウィスク・イーの皆様。
これまで関連する多くのリリースや様々なイベント等でお世話になりました!
特に1960〜70年代のフルーティーベンリアックや、1971〜72のベリー感炸裂グレンドロナック等、多くの名作が日本市場に展開されたのはウィスク・イーの働きが大きかったと思いますし、我々世代の飲み手は、そこからファンとなった方々も多くいます。
今後はスプリングバンクやアランなど、他の蒸留所での展開を楽しみにしております。

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