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2017年08月

シングルトン オスロスク 1975-1990? 43% & ブラインド

カテゴリ:
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SINGLETON
AUCHROISK
Distilled 1975
Bottled 1990?
50ml 43%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:古酒感のある甘い香り立ち。黒砂糖やカラメルソース、レーズン、ドライイチジク、若干の植物感。合わせてツンとした刺激、ハイトーンなアロマ。

味:とろりとしたコクと、あわせてドライでピリピリとした舌当たりが感じられる。カラメルソース、チョコウエハースやレーズンクラッカー。奥にはエステリーなフルーティーさも潜んでいる。
余韻は淡くスモーキー、ドライな舌触り、しっかりとした味わい。

シェリー強めで熟成感もあるが、酒質由来かツンとハイトーンでピリピリとした淡い刺激が特徴的であり心地よい。 加水するとさらに穏やかで飲みやすくなる。


オスロスク蒸留所は、ブレンデッドウイスキーであるJ&Bへの原酒供給を主目的にIDV社のよって建てられた蒸留所。
1970年代、アメリカで売り上げ1位を記録するなどJ&Bが高い人気を得たことを受け、その原酒を安定して確保するために1974年に建設されました。

モルトウイスキーは1975年から生産を開始。そして1986年、1975年蒸留の10年モノを「シングルトン・オスロスク」として販売したことを皮切りに、売り出したモルトの評判が良かったとかなんとかで単一蒸留年度のシングルモルトの販売が定着。
その後傘下がUDに変わったことや、メイン市場だった日本でのウイスキー冬の時代の煽りを受け、2000年頃に終売となったようです。
IDV社の傘下にはノッカンドゥ蒸留所がありますが、初期のリリースではノッカンドゥと同様に10年、12年という熟成年数の縛りにとらわれないラインナップ構成が行われ、様々な熟成年数のシングルモルトが同一ビンテージの中でリリースされていました。(後期のシングルトンはほぼ10年固定だったようですが。。。)

今回のテイスティングアイテムは、オスロスクで蒸留が開始された1975年のもの。小瓶であるためか裏ラベルにボトリング日時を示すシールが貼られておらず、特級表記もないことから熟成年数は香味で推定・・・おそらく1990年ごろのボトリング、15年程度の熟成であると思われます。
ザラメのような甘み、ツンとしたアタックとドライな口当たり。J&Bやロイヤルエイジあたりと共通するニュアンスがあり、同蒸留所がJ&B関連銘柄の原酒供給用に作られたという経緯に納得せざるを得ません。


さて、なんでミニボトルでのテイスティングかというと、先日同銘柄1976(熟成年数不明)のブラインド出題を名古屋のBARよっちさんから受け、見事に撃沈。蒸留所の絞りこみすら自信を持てず、おさらいをしたく急ぎ調達したため。 
せっかくですので合わせてUPします。

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SINGLETON 
AUCHROISK 
Distilled 1976 
Bottled 1990? 
750ml 43% 


【ブラインド】
地域・蒸留:ローランド(オーヘントッシャン?)
年数:20年程度
樽:シェリー樽を含む複数樽
度数:48%程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとしてドライ、ハイトーンな鼻腔への刺激に、ドライパイナップル、林檎、べっこう飴、焦げた樽香も感じる。時間経過で刺激は収まり、樽由来の甘みと熟成香も顔を出す。

味:とろりとした口当たり、オールブランのほろ苦さ、焦げたカラメルソース、奥には林檎のコンポートを思わせるエステリーさ、若干の古酒感を伴いつつ、それを突き破るようにハイトーンで勢いのあるフレッシュさも。
中間から後半に樽由来のえぐみ、軽いスパイス。ビターでドライな余韻へと繋がる。

癖の少ない酒質に対して強めの樽感、ハイトーンなアタックやピリピリとした3回蒸留的な刺激・・・第一印象でローランドっぽさを感じました。
ただ、オフィシャルにしては度数が高い印象もあり、例えばオーヘンが2000年前後でオフィシャル長熟をいくつかだしてたそのうちの一つか。(以上回答)


時期的にも古酒っぽさを纏っててもおかしくないしと、自分を納得させたような回答で、こういう場合は大抵大外しします(笑)。
まあこうして飲見直すなどしてみると、J&Bとの共通点など、ゴールへの道が無いわけではありませんでした。
自分のこの蒸留所に対する経験が足りないのが、はっきりと露呈してしまいましたね(笑)
非常に良い経験になりました!

ダンカンテイラー リンクウッド 24年 1990-2014 信濃屋&BAR マッシュタン 48%

カテゴリ:
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DUNCAN TAYLOR
LINKWOOD
Distilled 1990
Bottled 2014
Aged 24 years
Cask type Hogshead #8328
700ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅&自宅
時期:開封直後&開封後2年程度
評価:★★★★★★(6-7)

香り:キャラメルナッツ、アップルパイ、蜂蜜、程よい焦げ感のあるトーストを思わせるウッディネスとスモーキーさの漂う甘くほろ苦い香り立ち。注ぎたてはツンとした刺激もあるが時間経過で和らぎ、甘みが強く感じられるようになってくる。

味:リンゴのカラメル煮、アプリコットジャム、微かに干し草。あわせて鼻腔に届くスモーキーフレーバー。ボディの厚みはミディアム程度、味はしっかりとしている。
余韻はドライでオーキー、ナッツ、フルーツ缶のシロップのような甘み、内陸系のピートが長く続く。

オールドスタイルで美味しいリンクウッド。度数よりも少し強いアタックを香味とも感じる。酒質由来のニュアンスと樽感のバランス、そしてスモーキーさの漂う味わいが自分好み。
時間経過での変化が早い印象。加水すると乾いたようなウッディネス、水っぽさが出てバランスは多少崩れるものの、余韻のフルーティーさが際立つ。


約2年の時間を経た再会。2015年には目黒の名店、BARマッシュタン東京の11周年を祝うプライベートリリースとして。そして先日、2017年には信濃屋においてプライベートボトル10周年の年に。一つの樽から時期を分けてリリースされたのが、今回のボトルです。

画像引用:信濃屋WEB通販サイト ラフロイグ1997&リンクウッド1990

そうした経緯から、マッシュタン東京の記念ボトルとして一部愛好家間に流通し、開封されていたものと、直近発売されて開封したもの。期せずして異なる時間軸にあったボトルをほぼ同時に飲む事が出来たわけですが、同じ系統の味わいがあるのは同じ樽で同じ時期にボトリングされているので当然としても、その香味の変化が速いという印象があります。

変化がある期間はボトルによってまちまちですが、あまりにも時間がかかるものもあれば、即変化していくものもあります。(時間がかかるのは本当に辛抱強く付き合わねばならず・・・(汗)
このリンクウッドはグラスの中でも樽香が落ち着くのが早く、奥にある甘みがどんどん開いてきます。
開封済み時間経過ボトルは置かれた環境もあるため一概に言えないものの、樽感は結構緩くなっていて、合わせて林檎を思わせるフルーティーさも少しぼやける一方、これらに一体感が出たような華やかさがあります。

この手の熟成感のあるスペイサイドモルトは近年少なくなってきており、かつ個人的にリンクウッドでスモーキーなタイプが好みなのでグッときましたね。同じ1990でもタイプの違うやつがいたりで、ここはリンクウッドの罠。
開けたてすぐから飲み頃で、その変化も楽しめる、ナイスリリース。すでにショップは完売状態なのであとはBAR等で飲むしかありませんが、見かけたらお試しください。

近況報告



ご無沙汰しております、くりりんです。
世間的にはお盆真っ只中、会社が休みで連休を満喫中なんていう方も少なからずいらっしゃると思います。
かくいう私もちょっとしたバカンスの真っ只中・・・なわけもなく。
妻子は実家に帰省していますが、自分はひたすら仕事の日々です。

というのも、2本立てていた企画のうち、本命だけでなくサブも通って仕事がありえないくらい火を噴いてしまい、越えたはずの山場がもう一つ現れ、さらに様々な締め切り、こういうときに限って畳み掛けるように生じるアクシデント。
先週1週間は終電ですら帰れず午前帰りオンパレード、もちろん休日も出勤、昨日も会社を出たのは午前4時半。そして今日は終電帰り。終電で帰れたの久しぶりだなーなんてポジティブに感じてしまう事態に追い込まれていました。
ただ、その甲斐あって仕事はなんとかうまくまとまりつつあるので、久しぶりに宅飲みするウイスキーの味が塩味強めにならなくて良かったのは不幸中の幸いです。


激務な日々の中、自分を励ますように届いたのが健康診断の結果。
こんな趣味やってると、やっぱり肝機能とか気になるわけです。なんだかんだ8年以上ウイスキー飲みまくりですからね。
今年の数値はγGTP18、その他も諸々正常値。これだけ飲んでいる中にあっては上々でしょう。
今後も安心してウイスキーが楽しめるってワケです。

そんなわけで記事更新も久しぶりになりつつあるわけですが、今日付けのテイスティング記事は普通に更新できそうです。
後はなんとか7月に訪問させてもらった長濱蒸留所、山崎蒸留所、三郎丸蒸留所の記事をまとめたいところです・・・

ニッカウイスキー 余市蒸留所限定 ブレンデッド 40%

カテゴリ:

NIKKA WHISKY
YOICHI DISTILLERY LIMITED
BLENDED WHISKY
(No Aged)
500ml 40%

グラス:木村硝子
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:フレッシュで爽やかな香り立ち。ツンとしたアルコール感、レモングラス、ドライオレンジピール、乾いた木材、時間経過でビスケットのような甘みと香ばしさ。淡い土っぽさとピート香もアクセントとして感じられる。

味:柔らかいコク、酸味の混じる口当たり。クリーミーで厚みがある香ばしい麦芽風味、クラッカー、微かにメレンゲクッキーのような甘み、じわじわとスモーキーなフレーバー。余韻はしっとりとしてピーティー、染み込むように続く。

ラベルの色合いそのまま、爽やかな若さを感じるウイスキー。フレッシュな香りに反して味はコクのある甘み、少し時間経過で穀物系のニュアンスも出てくるが、総じてモルティな味わい。加水、ロック、ハイボールと飲み方を選ばない。個人的には爽やかさとモルティーな甘みのバランスが取れるハイボールがオススメ。


つい先日、余市蒸留所で新しく発売を開始したばかりのブレンデッドウイスキー。
余市蒸留所ではこれまで平べったい360mlボトルで限定ブレンデッドウイスキーが販売されていたところ、それがリニューアルされる形となりました。
(ウイスキー仲間のSさんの投稿をFBで見掛け、感想を聞いたところサンプルを送ってくださいました。ありがとうございます。)

余市蒸留所の原酒をベースに作ったブレンデッドで、熟成感としてはオフィシャルのシングルモルトNAとほぼ同じくらいですが、若さによる嫌味として出てくるであろう部分をグレーンがマスクし、余市の個性がありつつバランスの良い仕上がり。
ただ、前作のブレンデッドと比べると、余市らしさが強調される一方、キャラメルのような甘みをベースとした、バランス寄りの味わいからはベクトルが大きく変わっています。

後はどちらが好みかと言う話でもありますが、蒸留所でこそ買えるウイスキーという意味では、その蒸留所の個性を際立たせたモノのほうが・・・とするなら、この1本は飲みやすさと個性を両立している、商品としてのバランスの良さが評価できる構成だと思います。
また、余市蒸留所関連の限定品としてはこのほか、2000's、ピーティー&ソルティ、ウッディ&バニリック、シェリー&スウィートがあり、それぞれ500ml6000円が相場。一般的には手が出にくい価格帯である一方、この蒸留所限定ブレンデッドはそれ以下の価格に抑えられていて、手に取り易さもポイントですね。

フェイマスグラウス ブラックダイヤモンド ブレンデッドモルト 45%

カテゴリ:
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FAMOUS GROUS
THE BLACK DIAMOND
Blended Malt Whisky
Master Blender's Limited Edition 
700ml 45%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅(お土産@T,Ishihara氏)
時期:開封後2カ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:甘くリッチ、ほのかに華やかさも漂うシェリー系の香り立ち。レーズンやオレンジピールを思わせるドライフルーツ、じわじわとスモーキーさも感じられ、多彩な香味を感じることが出来る。

味:まろやかでコクがある甘い口当たり。シェリーのニュアンスはイチヂクの甘露煮、レーズン、オレンジチョコ、そこからキャラメリゼ、内陸系のピート、ほろ苦いフレーバーが顔を出してくる。
余韻はスモーキーで干し草のようなウッディネスも微かに、染み込むようにドライなフィニッシュ。

バランスの良いブレンデッドモルト。モルトだけにボディが厚く、シェリーのニュアンスも嫌味が少なく整っていてスイスイと飲めてしまう。熟成感としては20年程度のグレードと同等という印象。シェリー樽由来のまろやかさ、そして酒質由来のピート、スモーキーさ、豊かな味わい。



台湾向けと思しきフェイマスグラウス、ブレンデッドモルトウイスキー。今回テイスティングしたブラックダイヤモンドと、タイガーズ・アイの2種類がリリースされています。
どちらもノンエイジ表記ですが、ブラックダイヤモンドの方が香味に熟成感や厚みがあり、価格、内容とも上位グレードという感じです。

ラベルにマッカラン、ハイランドパーク、なんて書かれてますが、よく見るとその蒸留所がグループ傘下にあるよってだけで、2蒸留所のバッテッドではない模様。しかし、香味の系統としては両蒸留所を連想させるシェリーやピートのニュアンスがあり、突き抜けない代わりにバランス良く、甘くスモーキーでしみじみ美味い味わいが楽しめます。
構成原酒はマッカラン、ハイランドパークに加え、タムデュー、グレンロセス辺りの蒸留所か。少なくともその辺のシングルモルト買うより良いな、なんて感じてしまいました。


(グレンタレットにはフェイマスグラウスのビジターセンターがある。タレットといえばタウザー、ウイスキーキャット。奥には雷鳥の看板。。。この構図、たまらない1枚 Photo by T.Ishihara)

それにしてもこの銘柄、日本にほとんど情報が無く、しかもラベルの通りパッと見でフェイマスグラウスとは思えないデザイン。右側の雷鳥の柄の下、そして表ラベルの説明文の最後にFamous Grouseの表記がかろうじてある程度で、こうしてみんなで飲もうというお土産に機会を頂かなければ、テイスティングすることも無かったと思います。 
いやー、世界にはまだまだ知らないブランドがいっぱいありますね。ありがとうございました!

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