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2017年04月

キングジョージⅣ 1960年代流通 特級表記

カテゴリ:
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KING GEORGE Ⅳ
Old Scotch Whisky
1960's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅@KuMC
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:チョコレートシリアルのような甘い香り、葉巻、乾いた麦芽、徐々に奥から穀物っぽい甘さと香ばしさが開いてくる。

味:みたらしを思わせるとろりとした粘性、黒土、モルトスナック、キャラメリゼ、どっしりとしたピートフレーバーが下支えになり、厚みとコクのある口当たり。
余韻はピーティーでスモーキー、序盤に感じる甘みを引き締めて長く続く。

香りは多少抜けている印象があるが、味はとろりとしたコク、古酒感のある甘みと厚みのあるスモーキーさが楽しめる。モルティーで実に良くできたオールドブレンデッド。

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先日、ウイスキー仲間との持ち寄り会に持ち込まれたDCL及びDALの名品、キングジョージⅣ。
人物としてのキングジョージⅣ世は、1822年当時200年ぶりにスコットランドを公式訪問したイギリス国王であり、これが当時様々な圧政環境下にあったスコットランドにおいて、スコッチウイスキーのみならず、キルトやバグパイプなど規制されていた多くが解禁される契機となったとのこと。
1880年代、恐れ多くもその名を冠したウイスキーを造ったのが、現在のディアジオであるDCL社であり、その後子会社となるDAL社が国内外に向けて販売を行うようになりました。キングジョージⅣは、DCL社における記念すべき第一号ウイスキーだったのだそうです。(お約束ですが、国王とブランドに直接的な関係はありません。)

今回テイスティングした1960年代流通のキングジョージⅣのキーモルトは、写真にも写るタリスカーとローズバンク。後はDCLと結びつきの強いノックデュー。1960年代流通のボトルですから、単純計算、原酒は1950年代蒸留。タリスカーについてはまさに写真のボトルと同時期。この日の持ち寄り会は、キーモルトまで揃っての大変贅沢なテイスティングとなりました。
個性の穏やかなローズバンクは、混ざってしまうとキャラクターの判別は難しいところ。しかしタリスカーについては、同系統のキャラクターがはっきりと感じられます。

ちなみに、同ブランドの上位グレードとしては、その後ハイランドネクターがリリースされているものの、正直この1960年代の流通品ともなると、大きな違いがあるとは言えません。普通にどちらも旨い。しかしどちらもキャップからくる、状態に難のあるボトルの多いこと・・・。(今回は少量注いでノージングし、「あ、これバッチリやん」となって"追いサーブ"してしまいました(笑))
1980年代あたりとなると、流石に両者にはっきりと違いが現れてきますが、それはまた別の機会に。

なお、キングジョージⅣは、その後1990年代あたりからキーモルトがノックデュー、スペイバーンメインへと切り替わり、やがてUD社時代に戦略変更からか終売、歴史の闇へと消えていこうとしています。
日本国内には1960年代から輸入があり、特に1980年代前半からニッカが正規輸入元となったため、まだボトルを見る機会もありますが、いずれこのウイスキーも幻になっていくのでしょうか。

グレンデヴェロン(マクダフ) 30年 40% オフィシャル

カテゴリ:

GLEN DEVERON
Highland Single Malt
Aged 30 Years
Royal Burgh Collection
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル@モルトヤマ)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:甘く華やかな熟成香。少しグラッシーで、ミントタブレットを思わせる爽やかさ。アプリコット、熟した洋梨、合わせて60年代のトロピカルフルーツを思わせるニュアンス。徐々にウッディーな樽材のアロマも強くなってくる。グラスの残り香はウェアハウスを彷彿とさせる。

味:少し水っぽい口当たりから、フルーティーな樽感。林檎のカラメル煮、アプリコットジャム、カカオチョコレート、香り同様にトロピカルなニュアンスが麦芽風味と共に現れ、鼻腔に抜けていく。ややボディは軽いが充実した熟成感だ。
余韻はドライでウッディ、濃く入れた紅茶のタンニンの渋み、フルーティーで長く続く。

マクダフらしい、ほのかにミントを伴う充実したフルーティーさがポイントとなる1本。多彩な香味と強い熟成感は、30年以上の長期熟成原酒だからこそと感じられる構成。
加水しても少量程度であれば大きく崩れることはない。麦芽風味が開くだけでなく、余韻のウッディーさとバランスがとれてくる。

ウイスキー仲間の"富山の白豹(個人的に命名)"ことモルトヤマの下野くんからサンプル交換で頂いた1杯。昨年末に頂いて、ずいぶん寝かせてしまいました(汗)。
マクダフの30年は一度BAR飲みして「こりゃ中々良いぞ」と感じていたボトル、加水ボトルだけに家飲みでじっくり飲む機会を貰えて有難いです。

度数は40%ですが、ボトラーズのシングルカスクにあるような香味の軽い度数落ちではなく、複数樽、複数原酒ゆえの香味の多彩さ、そして麦芽風味が柔らかいボディの厚みに繋がっている印象。やや過熟気味でウッディでドライながら、30mlを抵抗なく飲み干せるバランス。緩く蓄積していく飲みごたえが、オフィシャル加水ボトルの良さとも言えます。

加えて、このボトルの強みは何と言っても現行品で手軽に味わうことが難しくなりつつある、1960〜70年代蒸留のモルトに感じるフルーティーなニュアンスが、2万円弱、ギリギリ1万円代の価格で手に入る事にもあります。
構成原酒としては、メインは1980年代前半あたりだと思いますが、同時期までのボトラーズリリースのマクダフで見てみると、同様にフルーティーなリリースが多く、酒質や熟成環境からこうした原酒が出来やすいのかなと推測しています。

なお、同蒸留所から近年リリースされる短熟やオフィシャルの10年代は、ドライでライト、素直な酒質。ハイランドモルトでありながら、系統としてはスペイサイドモルトに通じるキャラクターが見られます。
蒸留所の立地は海にほど近い、河口のほとり。塩気があるとか島的なニュアンスは見られませんが、河川敷で低い気温、程よい湿度から、近い環境となっているのでしょうか。
樽次第でフルーティーさの際立つものもあり、あとはベースとなる酒質次第。今後の成長に期待出来る蒸留所だと思っています。
(モルトヤマが昨年リリースしたプライベートボトルの第一弾、マクダフ2006-2016 バーボン樽熟成 50%。やや単調気味ですが、華やかで樽由来のフルーティーさがわかりやすい1本。)


ブラックニッカ クロスオーバー 43% サンプルレビュー

カテゴリ:
BLACK NIKKA  
CROSSOVER
Rich & Smoky
NIKKA WHISKY
Limited Edition 2017
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★(5) (!)

香り:スモーキーでドライ、薪の煙、トーストを思わせる香ばしさとほろ苦さ、微かに酵母のニュアンス。スワリングや時間経過でクリアになり、乾いた木材の爽やかなアロマ。

味:粘性を伴う噛み応えのある口当たり。焦げたトースト、甘酸っぱいオレンジジャム、バナナの甘み、徐々にグレーンの穀物風味も感じられる。
中間からはピートフレーバーが主張し始め、余韻はドライでスモーキー。ややハイトーンで舌の上がひりつく刺激を感じた後、染み込むようにピートが長く残る。

香りはそれほどでもないが、飲み口は強く、モルティーなコクも感じられる。中間は一瞬グレーン感が出て軽さがあるものの、すぐにはっきりとしたピートフレーバーが広がり、全体的な飲みごたえに繋がっている。
ロックにすると飲み口の強さはまろやかなコクに変化、ピートはそのままに、様々な表情を見せてくれた。これは面白い。
だいぶ薄まっても味が残っているので、ハイボールも期待できそう。
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ニッカウイスキー、ブラックニッカ限定品の第2弾「クロスオーバー」。 
発売まで1ヶ月をきった昨日、アサヒビールのプレスリリースで発売が正式に発表され、専用ページもオープン。PR動画まで準備されていて、アサヒビール及びニッカウイスキー側も気合が入ってるようです。
我々消費者側としても、前作ブレンダーズスピリットの出来が良かっただけに、期待と関心が高まっているところ。
今回もまた、ご好意で発売前に販促用サンプルを入手しましたので、丁度いいタイミングですしレビュー記事を公開します。

・アサヒビールプレスリリース(4/27)
・PRサイト


クロスオーバーは、余市蒸溜所のヘビーピート原酒と宮城峡の華やかなシェリー樽原酒、キャラクターが大きく違う2つの原酒をキーモルトとし、「今までのブラックニッカをはるかに凌ぐ力強さを求めた」とする意欲作。この他に新樽原酒なども使われて、全体のバランスを整えているそうです。

飲んでみるとシェリー感はそれほどでもありませんが、ピートフレーバーは飲み慣れない人には暴力的に感じるほどはっきりとした主張。口当たりと余韻にあるアタックの強さが、定価2000円のブレンデッドウイスキーとは思えない個性の強さと飲みごたえに繋がっています。
原酒の未熟感も目立ってなく、バランスの良さ、不思議な飲みやすさがあるのもポイント。勿論ストレートでは値段なりの部分も感じられましたが、ロックでの飲み口、変化は中々見るところがあります。
ここまで長々と書いておいて今更ではありますが、率直な感想はどうなのかというと、これは作り手のメッセージがはっきりと伝わってくる、美味しい以上に「面白いウイスキー」です。

ちなみに前情報でキーモルトの一つがシェリー樽原酒と聞いて、サルファリーなタイプのものを警戒していましたが、飲んで見ると硫黄のニュアンスは感じられません。
また、メーカーコメントの「ハードでドライ」という表現から、もっと若いウイスキーを想像していましたが、それもまた予想とだいぶ違うウイスキーであったことは、これまでに記載の通りです。
「予想は、鮮やかに裏切られる」、自分勝手な予想ではありましたが、なるほどこれは良い意味で裏切られましたね(笑)

それにしても、ブレンダーズスピリットで、ある種ブラックニッカの進化系は見たつもりでしたが、そんなことはありませんでした。
ブレンダーズスピリットが総合的にレベルの高い優等生なら、クロスオーバーはブックニッカの特定分野に特化した異端児。ある意味でニッカらしさが強調された、チャレンジングな1本。
家飲みバリエーションが増え、ますますウイスキーの面白さが広がりそうです。

以下、余談。
ブラックニッカクロスオーバーのサンプルと共に、6月27日に発売する新商品2種のサンプルもゲットしました。
カフェスチルで作る、これまでにない味わいのジンとウォッカ。関連記事は以下に更新しています。


シーバスリーガル アルティス 40% ブレンデッドモルト

カテゴリ:
CHIVAS REGAL
ULTIS
Blended Malt Whisky
"5 Signature single malts
5 Master blenders"
700ml 40%

グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み(BAR LIVET)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなで軽やかな香り立ち。乾いた麦芽、微かなスパイスを伴うオーキーなフレーバーは煮たリンゴ、ビスケットを思わせる甘いアロマ。

味:少し水っぽい口当たり。ナッティーでオーキーな華やかさが広がる。薄めた蜂蜜、エステリーな熟成感。ドライオレンジピール、洋梨、中間に盛り上がるコクが、口当たりの軽さを補っている。
余韻は軽くスパイシーでウッディー。序盤に広がったオークフレーバーが鼻腔に届き、染み込むように消えていく。

ややドライだがバランスが良く、華やかな樽香と多彩な香味を備えたラグジュアリーなモルトウイスキー。スペイサイドモルトを中核としているだけあり、良くも悪くも"らしさ"のあるキャラクターが備わっている。
ストレートでじっくり楽しみたい。加水は少量までで。

昨年11月、シーバスリーガルが同ブランド初のブレンデッドモルトとしてリリースしたのが、アルティスです。
「ULTIS」は、ULTIMATE"究極"と、FORTIS"力(ラテン語)"の2つの単語を合わせた造語であり、つまるところ"究極の力"という意味。シーバスリーガルの開発、発展、そして現在の地位の確立に貢献した、5世代のマスターブレンダーへのオマージュとしての位置付けもあるのだとか。
この手のPR文は「ふーん」と右から左レベルの感想程度しか得られないことが多いわけですが、なんだか気合が入っている事だけは伝わってきます。

メーカー発表によると、アルティスを構成する主要な原酒は、ストラスアイラ、ロングモーン、トーモア、アルタベーン、ブレイヴァル。5人のマスターブレンダーとかけて、スペイサイドの5つの蒸留所がチョイスされているようです。
飲んだ印象は、まさに近年のスペイサイドのそれ。万人向け40%加水のブレンドにはどのブランドにも見られることですが、バランス良く多彩であるものの、口当たりの薄さというか香味の広がりは及第点で、突き抜けた香味を求めるコアユーザーには少々物足りない部分もあると言えます。
一方、樽由来のフレーバーはえぐみや草っぽさが少なく、丁寧な印象があり、柑橘や林檎系のフルーティーで華やかな香味。使われた原酒の熟成は平均20年程度か、未熟な要素は無く、エステリーな熟成香も漂ってきます。
おそらく、ウイスキーを飲める人なら、誰が飲んでも美味しいと感じる香味の一つですね。

5種類の主要構成原酒の中では、ロングモーンの軽やかにドライ、麦芽やナッツを思わせるフレーバーが主軸として感じられ、そこをストラスアイラやトーモア由来の柔らかくコクのあるボディが補っている印象。
経験の少ないブレイヴァルはよくわかりませんが、スパイシーで多少柑橘系に振れる要素は、ロングモーンだけでなくアルタベーン蒸留所あたりの個性かもしれません。
ちなみにかつてシーバスリーガルと言えば、キーモルトはストラスアイラとグレンキースだったわけですが、1999年から2014年までの約15年に渡る閉鎖期間の影響か、これまでのスタイルを踏襲したという中で、主要原酒に名前がないのは少し寂しいなーとも感じてしまいました。

マッカラン 25年 1962-1987 アニバーサリーモルト 43%

カテゴリ:
THE MACALLAN
Anniversary Malt
Aged 25 years
Distilled 1962
Bottled 1987
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:個人宅(KuMC)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチでふくよかな香り立ち。若干古酒感のあるシェリー感、黒砂糖やチョコレート、枝付きレーズン、微かに湿った木の香り。黒砂糖系のニュアンスが強く、果実味よりもコニャックを思わせる甘みが強調されている。

味:とろんとした滑らかな口当たり。リッチな甘みはレーズンチョコレートと黒砂糖、くるみのようなほろ苦さ、タンニン、香り同様の構成。ボディは厚みがあり舌の上のコクが余韻にかけて長く感じられる。


1957年蒸留(1983年ボトリング)からリリースが始まったという、マッカランのアニバーサリーモルト。その1962年蒸留の1本です。
加水でもボディが残る、しっかりとした酒質とまろやかなコクのある口当たり。今のスタンダードスタイルとは異なる、オールドスタイルのシェリー感。そこにボトリング後25年強の経年が織りなすニュアンスも合わさって、お手本のような古酒系シェリー樽熟成のウイスキーに仕上がっています。

アニバーサリーモルトは1年毎にリリースが行われており、総じてマッカランのスタイルに忠実と言えるシェリー系の構成ですが、その年その年に微妙に、時に大きくスタイルが変わる場合があります。
例えば1962年はとろりとしたシェリー感でしたが、写真の1965年は色合いが淡く、ナッティーでバランス寄りな味わい。(フェイクではないようです。)
ではその後1966年や1967年蒸留のアニバーサリーモルトがどうかと言うと、過去の記憶を紐解けば、陶酔感もあってうっとりするようなシェリー感のモルトだった記憶があります。
1965年に樽か、1990年に原酒を確保できなかった理由があるのでしょうか。。。

以下、このウイスキーの本質的なところとはあまり関係がありませんが、小ネタとして。
芸能界の中でもウイスキー好きとして知られる福山雅治さん。福山さんがウイスキーにハマり始めた頃、既に弩級のウイスキー好きだったタモリさんに連れられて飲んだのが、マッカラン25年なのだそうです。
もっとも、25年は25年はでも、1962年ボトリングとのこと。あるとすればGM蒸留所ラベル時代の1937年蒸留の25年か。ボトリングと蒸留を言い間違えているなら、今回テイスティングしたマッカランか、クリスタルデキャンタあたり・・・ということになります。

どちらにしても、流石スゲーもん飲んでるなあという話ですが、タモリさんの哲学として「一番いいものから入ったほうがいい」というものがあり、そうすることで自分の中に基準ができて、選択の幅、様々な楽しみ方につながるとのこと。同意せざるを得ない考え方です。
これまでウイスキー分野における先人の皆様から、様々な機会を通じていいものを飲めと薦めてもらい、ご馳走になることも多々あるわけですが、間違いなく自分の中の基準というか、ウイスキーに対する受け取り方、幅は広がったと思います。

そうして今回のマッカラン1962&1965は、経験があったからこそ見えるものがあり、さらにいい経験を積ませてもらったと感じます。ありがとうございました!

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