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2016年04月

サントリー 白州 ヘビリーピーテッド 2013年リリース

カテゴリ:
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SUNTORY WHISKY
HAKUSHU
Heavily Peated
Bottled 2013
700ml 48%

【ブラインドテイスティング】
地域:ジャパニーズ
蒸留所:白州(ヘビリーピーテッド)
度数:48%
熟成年数:10~15年程度
蒸留年:2000年前後
樽:バーボンバレル主体のバッティング
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:柑橘や植物感のあるピーティーで爽やかな香り立ち。ヨードは感じない内陸系の土っぽいピート香、麦芽の香ばしさもある。徐々に蜂蜜を思わせる甘いアロマが開く。

味:粘性のある口当たり、香ばしい麦芽風味とピートフレーバー、ナッツ、ビスケット。ボディはしっかりしていてバッティング加水らしくバランスが良い。ほのかにグレープフルーツを思わせるオーク香、アーシーで土っぽいほろ苦さのあるスモーキーな余韻。


前回に引き続き、宮城のSさんから頂いたブラインドサンプルです。
比較的要因に絞り込めたエドラダワーに比べて、このサンプルは難問でしたが、ビンテージ指定とまではいかないものの、なんとか銘柄まで特定出来ました。

一見するとラフロイグのような、爽やかな柑橘系の香味とスモーキーでナッティーな香ばしさ。しかし明らかにヨードが足りず、アイラでないことは予想できます。
近い系統でベンリアックのピーテッドタイプかとも思ったのですが、熟成感がベンリアックの10-15年程度のラインナップとは異なるタイプと感じるだけでなく、オフィシャルバッティングのベンリアックは通常度数が46%であるところ、このボトルはそれより若干強いなと。
悩みながら2日に分けて飲んでみたところ、2日目のテイスティングでノージングの際にジャパニーズっぽい香りを拾い、白州へのルートが開けました。

実は3年ほど前、この白州ヘビリーピーテッドの2011か2012を、とあるバーマンから出題されたことがあり、その時はドヤ顔でラフロイグと答えて撃沈。今回はちゃんと正解にたどり着けて自分の成長を感じることが出来たのは嬉しかったですね。

白州ヘビリーピーテッドはこの2013以降リリースが無く、すっかり見かけなくなってしまったボトルです。
白州にしろ山崎にしろ、こうしたピーティーな原酒が味の引き締めとアクセントに一役買っており、サントリーのブレンドに選択肢とフレーバーの幅を与えているように感じます。
こういうコンセプトの商品は、ブームが落ち着いたらまた復活してほしいなと思います。

エドラダワー 14年 1999-2013 イビスコシェリー マチュアード

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EDRADOUR
Aged 14 Years
Distilled 1999 
Bottled 2013 
Cask Strength Sherry Matured
700ml 58.4%

【ブラインドテイスティング】
地域:ハイランド
蒸留所:エドラダワー(イビスコシェリーマチュアード)
蒸留年:2000年頃
熟成年数:15年程度
度数:55~58%
樽:シェリーバット
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:甘くリッチな近年系シェリー香。ドライプルーンや植物性クリーム、ブラックチョコレート、程よい苦味にやや生木っぽい香りもあるが、総じてよくまとまっている。

味:香り同様に嫌味の少ないリッチで濃い甘みのある口当たり。コーヒーミルクのようなクリーミーさ、ドライプルーン、レーズンバター、徐々にウッディーな渋み、苦味が感じられる。余韻はドライ、シロップのような甘みとハイプルーフ故のハイトーンな刺激が長く残る。


宮城のウイスキー仲間、Sさんから頂いたブラインドサンプル。気になっていたボトルのサンプルを頂いた際に、合わせて2問出題頂きました。
「どんな感じですか?」「サンプル送りましょうか?」と返していただける、山桜の件といい感謝しても仕切れません。
今回は「ブログに掲載されていないボトルですよ」とヒントがありましたが、後はいつもと同じ縛り無しです。 

口に含むとハイプルーフらしい酒質の強さ、濃厚で甘いシェリー感、嫌味な感じはあまり無く、その奥に独特なクリーミーな個性、味わいがある。
とりあえず銘柄は即エドラダワーに決め打ち。飲んだことの無いボトルでしたが現行品の10年とも共通するニュアンスが多くあり、近年のエドラダワーで濃厚シェリーなカスクストレングスというと・・・このボトルだろうなと、ボトル指定まで比較的簡単にたどり着くことが出来ました。
後はビンテージですが、イビスコシェリーマチュアードはエドラダワーから毎年リリースされているボトルで、ここ数年間のリリース全て濃いシェリーカスクであるため、1年毎の違いは飲んでないと判断できないところ。現時点での自分のゴールはこの辺でしょう。

エドラダワーはオフィシャル10年の脱パフューム以来評価を改めている蒸留所。このボトルもまたドライプルーンを思わせる近年系シェリー風味と、エドラダワーのクリーミーさがマッチして、嫌味の少ないリッチな甘口風味に仕上がっています。
この濃い甘みとクリーミーな口当たりをどう捉えるかは飲み手次第ですが、エドラダワーのクリーミーさが好みな濃厚民族はストライクゾーンか。シガーとの相性も良さそうです。
すぐ飲んでも、10年以上寝かせても力を発揮するタイプだと思います。
(むしろ10年後はエドラダワー自体がパヒューム周期に入ってさらに貴重かもw)

エドラダワーのパフュームは2000年初頭に消えたと思っていたのですが、この1999もパフューム香は無く、らしいクリーミーさが感じられました。昨年リリースされた15年のフェアリーフラッグといい、少なくとも1999年までは問題ないとわかったことも収穫。後は2014、2015リリースも、追って飲んでみたいと思います。

ニッカウイスキー 北海道 12年 ピュアモルト

カテゴリ:
NIKKA WHISKY
HOKKAIDO
Pure Malt Whisky
Aged 12 Years
2000's
750ml 43%

グラス:創吉テイスティング
量:50ml
場所:自宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしくスモーキーな香り立ち、クラッカー、麦芽、奥には煮たリンゴのようなフルーティーさ。最初はスモーキーさが強いが、徐々にエステリーな甘さが強くなってくる。

味:香ばしくスパイシー、やや重みのあるピーティーな口当たり。麦芽香と甘くエステリーな樽香、バタークッキー、煮たリンゴ、キャラメルナッツ。時間経過でスモーキーで麦芽由来の甘みが広がってくる。
余韻はスパイシーで力強い、土っぽいピートフレーバー、ビターでほろ苦く長いフィニッシュ。


ニッカウイスキーがリリースしていた余市ベースのピュアモルトウイスキー。
リリース時期は1980年代前半(1982年や1984年発売という説あり)から2010年ごろ。ラベルの北海道は、金文字で書かれたものと黒文字の2種類があるのですが、今回の黒文字は2000年代流通で、後期のボトルに当たります。
今回のボトルはニッカウイスキー表記なのでアサヒビール傘下となる前、2000年代初頭の流通品でしょうか。

金文字のほうは飲んだことがありましたが、黒は初めてです。
金と黒、どちらも香ばしい麦芽風味がありますが、リチャーオークや新樽由来の樽感が強い金に比べ、黒は蜜っぽい甘さや煮た林檎のようなエステリーなフルーツ感のある構成、徐々にトースティーな麦芽風味が開いてきます。
余市だけでなく宮城峡の分量が増えたのか、原酒がそういうタイプなのかという感じです。
いずれにせよ勢いがあり力強く、そして多層的で飲みごたえのある味わい、今はなきニッカらしさと言いましょうか、充実した構成だと感じます。

このボトルはFBのコミュニティ繋がりで交換したサンプルの一つ。ボトルのシェア購入やサンプル交換など、コミュニティがあるからこそ出来る試みが新しい刺激に繋がっています。

スプリングバンク ファウンダーズリザーブ 2nd ブルー ロッホデール

カテゴリ:
SPRINGBANK
Founder's Reserve 2nd
"Blue Founder's"
Rochdale
46% 700ml

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(個人イベント)
時期:開封3〜4週間程度
暫定評価:★★★★★★(6)

ドライで草っぽい香り、徐々に蜂蜜や麦芽を思わせる甘いアロマ。
少し水っぽい口当たり、スムーズで麦芽の芯を思わせる白っぽいフレーバー、淡いオーク香。徐々に塩気を感じるはっきりとしたブリニーさ。
余韻はドライで麦芽風味、粘土のような土っぽさがある。

ロッホデール社が2004年ごろにリリースした、通称ブルーファウンダーズと呼ばれるボトル。
この他、1stリリースのレッド、3rdのブラック、4thにしてラストリリースとなったゴールドの計4種類がリリースされており、全て46%加水、そして何よりも1960年代(おそらく流通)のスプリングバンクの味わいを再現することを主眼にブレンドされたシングルモルト、という共通の仕様があります。
BARレモンハートでも紹介されている銘柄であるため、ご存知の方も多いボトルだと思います。

自分がウイスキーに本格的にはまり始めた頃、立ち寄った酒屋でレッドファウンダーズを見つけて購入、その当時はバンクのなんたるかなんてまだまだ見えてすらいなかった私ですが、当時のコメントを見ると「60年代と言うより70年代、80年代寄り」と評しており、実際今飲んでも同じ印象。特に現在は、ボトリングから10年が経過し、だいぶ風味がこなれてきているためなおのこと。ちょっと水っぽい気もしますが旨いボトルに仕上がっていました。
気が付けばすっかり見なくなったシリーズ。今改めて飲みなおしてみたいです。

グレンドロスタン NA 1970年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:

GLENDROSTAN
A BLEND
Spesially Bottled for Hankyu
1970's Japan TAX
760ml 43%
構成原酒:ブルイックラディ、ベンウィヴィス、タムナヴーリン、タリバーディン、ディーンストン、など。

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5)

香り:古酒らしいヒネ感と、クラッカーを思わせる香ばしい麦芽香、若干のえぐみ、薄めたみたらしのタレのような程よい甘みと落ち着きのあるアロマ。

味:柔らかくやや粘性のある口当たり、グラノーラのような穀類の甘みと香ばしさ、ピリピリとスパイシーな刺激にミントのフレーバーが感じられる。微かなアイラモルトっぽさを感じつつ、余韻は舌の上に残る麦芽の甘み、ほのかに焦げた木のようなほろ苦いピートフレーバーを伴う。


インヴァーゴードングループのフィンドレイター社とロングマン社が、1970年代から日本に積極展開したブランドの一つ、グレンドロスタン。ラベルに書かれた"Spesially Bottled for Hankyu"の字のごとく、日本では阪急デパートを中心に展開され、洋酒ブームの追い風を受けて順風満帆に売り上げを伸ばしたのだとか。
もちろんイギリスないし海外では1970年代以前から販売されていた銘柄でしたが、現在の知名度はそれほど高くなく、こと国内においては洋酒ブーム時代の在庫と少々マニアックな原酒構成も手伝って、比較的入手難易度の低い銘柄でもあります。

今回のボトルは阪急向けのボトルとしては最初期の時代、1970年代初頭流通に当たるもので、JAPANTAXもついています。この後はノーマルなトールボトルでリリースされ、1980年代には8年、12年と他のスコッチ同様ビンテージが拡充されていきます。
熟成年数は体感5~8年くらいと、比較的若い原酒が経年でこうなったのではないかという印象。やや単調気味な味わいですが、中には当時のブルイックラディと思しき淡いピートフレーバーもあって、古酒好きは楽しめる1本に仕上がっていると思います。
飲み方はストレートよりもハイボールがオススメ。ハイボールにすると後半のピートが引き立ち、スッキリとした飲み口からしっかり残るボディ、現行品とは違う古酒だからこその味を楽しめます。

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