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2016年02月

ブラックプリンス 12年 1980年代流通

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BLACK PRINCE 
Aged 12 Years 
1980’s 
43% 750ml 
構成原酒:グレンスコシアなど?

グラス:SK2など
量:個人所有
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★(4)

香り:ハーブのような薬品香、乾いたコーンの軽やかな穀物香、バニラを思わせる甘み、徐々にビターでほのかにレーズンの酸味。
基本的にはライトなグレーンの香りが主体だが、麦感にリキュールを思わせる不思議なアロマもある。

味:ライトな口当たり。香り同様に穀物由来の風味と乾いた干し藁のような植物感。バニラ、サトウキビ、ウェハース。
余韻はシュガーシロップの甘さとほろ苦い麦芽風味、微かなピート。
古酒っぽい風味はあるが、オールドラヴァーの間でも好みは分かれそう。

なんともセンスというかやる気の無いロゴが特徴のブレンデッドスコッチウイスキー。
などと言うと本ボトルの由来である、英仏100年戦争における英国側の英雄、"黒太子(ブラックプリンス)"ことエドワード王子のファン並びに現地の方々に痛い視線を頂きそうですが、ここは極東の島国ですので安心してこのボトルを評価しようと思います。
エドワード王子は、かのジャンヌダルクと対を成す歴史上の登場人物でもあるのですが、自分の美的センスでは、どう見てもこのラベルから英雄と呼べるオーラを感じることはできないんですよね、これが価値観の相違というヤツなんでしょうか。
では中身はというと、グレーン感の強い味わいで1980年代の零細企業チックなブレンド。
グレーンやカナディアン等が好みな方は琴線に触れるかもしれませんが、これまた価値観の相違というヤツで自分はちょっと苦しいです。

ブラックプリンスは1988年(1990年代?)にバーンスチュワート社が商標を買収、それまではグレンスコシアがキーモルトだったようですが、その後ディーンストンやトバモリー等も加わって原酒の安定供給がされるようになったそうです。
当時の洋酒辞典などを開くと、球体のジャグボトル等と合わせてラインナップが掲載されています。
銘柄としてはその前からリリースされており、本ボトルは1980年代後期の流通品、リリース元はバーンスチュワート社とは異なるメーカーとなっています。(流通時期によってはバーコードのあるラベルも見られます。)

オルトモア12年 46% オフィシャルボトル

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AULTMORE 
Of the Foggie Moss 
Aged 12 Years 
46% 700ml 

グラス:SK2など
量:100ml以上(個人所有)
場所:自宅
時期:開封後1~2週間程度
評価:★★★★★

香り:麦芽やバニラの甘く穏やかなアロマ、香料のような柑橘系のニュアンスもあり爽やかな香り立ち。スワリングしていると乾いた木のツンとしたエッジ、微かにハーブ、白葡萄を思わせる酸味も感じられる。

味:乾燥させた麦芽をかじったような、ほろ苦さと白い粥のような甘み。柑橘系の酸味と洋梨の香味がアクセントになって後半にかけて伸びて行く。ボディには程よい厚みがあり、浮ついた感じがない。
余韻はほろ苦い麦芽風味、じわりと染み込むように長く続く。
少量加水すると柑橘系の風味が強く感じられるが、バランスが良くなる印象はない。


ロイヤルブラックラ、マクダフ、クライゲラヒと並んで、デュワーズ社が「ラストグレイトモルト」シリーズとしてリリースした1本。
これまで同蒸留所は、原酒のほとんどをブレンデッド用としていたため、オフィシャルシングルモルトは花と動物シリーズや1980年代にリリースされていたものくらい。ほとんどはボトラーズの印象しかない銘柄でした。 
それが世界的なウイスキーブームを受けてか、ブレンド用だった蒸留所からもシングルモルトをリリースする流れが加速しており、今後の動きも含めて非常に楽しみな展開になっています。

オルトモアの酒質は癖の少ないタイプで、穏やかでありながらボディに一本芯がある、ブレンドに使いやすそうだと感じる味わいが特徴。言い換えればシングルモルトの場合はシェリーでもバーボンでも、樽との馴染みの良い酒質であると言えます。
今回のボトルもまた際立った個性はないものの、柔らかい口当たりから余韻にかけてバランスよく広がる麦芽風味とオークフレーバー、ノンピートでくどさのない穏やかな余韻。少し若さを感じる部分もありますが、気になるほどではありません。
香味全体を通して柑橘系の風味がアクセントになっていて、麦芽風味一辺倒の単調なタイプではないのもポイント。古き良きかつてのオフィシャルを感じる要素であり、オフィシャルスタンダードとして家飲みするなら丁度いい塩梅、と思える味わいに仕上がっています。 

タリスカー スカイ NA 45.8% オフィシャルボトル

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 TALISKER
SKYE
(No Age)
45.8% 700ml
 
グラス:SK2など
量:個人所有
場所:自宅
時期:開封後1~2週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:ドライアプリコットやオレンジピールを思わせる酸味を伴う樽香、焦げた木、ほのかに塩素、奥には若さに繋がる香りもあり、ややまとまりに欠ける。
少量加水するとぐっとバランスが良くなる。一連のフレーバーに繋がりが生まれ、スモーキーさと乾燥させた麦芽の香りも前に出てくる。

味: 口当たりから荒々しさがあり、スパイシーで燻した麦芽風味、ドライアプリコットの酸味、焦げたキャラメルを思わせる樽香が広がる。徐々に黒土っぽさのあるピートフレーバーも。
序盤に比べれば後半は落ち着いており、余韻はスパイシーでほろ苦い、焦げたようなスモーキーさが鼻に抜ける。 
酸味を伴う樽香はいかにもタリスカーらしく、香り同様に5ml程度加水するとバランスが良くなる。


昨年頃から免税向けにリリースされていた、タリスカーのノンエイジ。
同蒸留所があるスカイ島の名を冠したボトルで、2015年末から2016年初頭にかけて、並行品として日本市場に入ってきていました。
これまた先日紹介したグレンリベット・ファウンダーズリザーブと同じ臭いがしなくもないリリースで、若い原酒のニュアンスも漂ってくるのですが、使われている樽にトーステッド・アメリカンオークが含まれていることで、力強い樽感が若さをカバーし、口に含んだ瞬間「タリスカーらしい」香味が広がる仕上がりとなっています。

もちろん熟成感という点で、長期熟成の原酒が使われたNAではないことは明白であり、"奥行き"や"まとまり"は現行品の10年とでは劣るものの、この荒々しさがスカイ島の名を関するゆえんと言われれば、なんかまぁそうかと納得してしまう味わいでもあります。
それこそ、現行品の10年を愛飲していたけど物足りなくなってしまった人には、尖った風味が丁度良いかもしれません。

飲み方はオーソドックスなものならなんでも良いですが、ストレートの後は少量加水とハイボールがオススメ。加水の変化は上述の通りで、ハイボールにすると元々後半の軽い部分がスッキリとした方向に変化し、スモーキーでありながらキレのある仕上がりに。
こいつはハイボーラーなヤツですね。
いわゆる黒胡椒をトッピングしたタリソーペッパーが、食中酒向きの味わいで、中々おいしくいただけます。

グレンリベット ファウンダーズリザーブ NA オフィシャルボトル

カテゴリ:

GLENLIVET 
Founder’s Reserve 
(No Age) 
40% 700ml 

グラス:SK2など
量:100ml以上(個人所有)
場所:自宅
時期:開封後1~2週間程度
評価:★★★★(4)

香り:乳酸系の酸味にレモンピール、青い洋梨、シトラスを思わせる爽やかさと奥には乾いた麦芽のアロマ。刺激的な要素はないが、香り立ちそのものはニューポッティーで若さが主体的。
ウイスキー2に対して2:1位に加水すると若さが収まり、酸味のある麦芽香主体に変化する。

味:口当たりからニューポッティーな若いフレーバー、青い洋梨やグリーンアップル、徐々にほろ苦い麦芽風味、余韻は微かな草っぽさとドライアップル。
多少荒さもあるフレーバーで、香り同様に加水するとまとまりがよくなる。


グレンリベットが2015年にリリースした、オフィシャル通常ラインナップのノンエイジ品。価格的にはスタンダードクラスの位置づけで、並行品として入ってきたものを購入してみました。

同品は蒸留所の創業者であるジョージ・スミス氏を記念して(何の記念だ?)作られたボトルであり、同氏が操業に携わっていた約200年前の味が再現されているとかいないとか。
その実態は、ウイスキーブームによって世界的なシェア増加を背景に、12年クラスの原酒の使用量を抑える、いわば負荷軽減用に作られたシングルモルト。市場によっては12年に変わって同品がメインで流通しているようです。 
日本市場では本ボトルの正規輸入はありませんが、今後は値上げからの終売とかになってスタンダードクラスの一角として展開されていくのでしょう。

その味はというと、これはちょっと良くわからないですね。
現行品12年と比べて香味は強いものの、合わせて若い味も強く、スムーズでフルーティーというメーカー説明文とはずいぶん遠いところにあると感じます。
12年とどちらが良いかと聞かれたら、値段的にも完成度でも、12年を選んでしまいます。 

原酒の一部は従来のオークカスクではなく、ファーストフィルのアメリカンオーク樽で熟成させたという話。バーボンカスクだとすればもっとフルーティーな構成になるだろうし、よほど使った量が少ないのか、あるいは全体的に若い原酒で作られているのか。 
それこそ、このボトルの「200年前当時の味」という意味が、皮肉でもなんでもなく純粋に今から200年前の密造時代にジョージスミスの作った味。すなわち"税金逃れで樽に原酒を隠し、熟成期間が現在より短期かつ不定期だった時代のリベット"を再現したということなら、わからなくもありません。

加水やバッティングで調整されているため、若い原酒のえぐみや突き刺すようなアルコール感はないものの、香味そのものはいかんともしがたく。
ただボディはしっかりしており、加水しても負ける印象がなかったのは良いところと言えそう。もし飲まれるなら加水やハイボール(レモンピール添え)など、手を加えられて飲まれてもいいと思います。

グレンキース 40年 1968-2009 ゴードンマクファイル 46%

カテゴリ:
GLEN KEITH
Gordon & Macphail
Aged 40 Years
Distilled 1968
Bottled 2009
Cask type Refill hogsheads
700ml 46%

グラス:SK2
量:所有ボトル
場所:自宅
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★(5)

香り:ツンとした香り立ちから青みがかった麦芽香と蜂蜜の甘み。植物感や乾いた木を思わせる香味が強く、ほのかにドライアップルやレモンピールのフルーティーさが続く。あまり香りに厚みは無く、クリーンなタイプ。

味:エッジの立った口当たり。香り同様に青みがかった甘さ、草っぽさを感じるが、奥にはほのかにエステリーで林檎やドライパイナップルを思わせるフルーティーさもある。
余韻はスパイシーでややべたつく印象。麦芽、プレーンオークのウッディネス、長く続く。


グレンキース蒸留所が3回蒸留を採用していた時代の1本。
3回蒸留の結果か、クリーンでエッジの立った口当たりはローズバンクなどのローランドらしさと共通する部分があり、一方で青みがかった植物感も強く、1960年代というスペックで期待されるトロピカルなフルーティーさ・・・とはいかないのが苦しいところ。

また、40年という長期熟成でリフィルホグスなんだから、もっとオーキーでフルーティーなニュアンスがあっていいようなものですが、使われたのが使用回数の多い樽だったのか、その辺も随分淡い感じに仕上がっています。

ただ、言い換えればその時代のグレンキース蒸留所の個性を感じる上では、良い教材になるボトルでもあるのかなという印象。もともとグレンキースはシーバスリーガルへの原酒供給を目的に、オフィシャルボトルが1990年代の10年間程度しか発売されていなかったため、ハウススタイルを知るにはボトラーズの力を頼る他ありません。特にオフィシャルの無い時期であればなおのことです。

この手の系統はあまり好みではありませんが、「こういう時代もあったんだね」と勉強もかねて1杯飲んでおくには良いかもしれません。

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