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2016年01月

ブルイックラディ 27年 1968年蒸留 1996年ボトリング 52.6% GM

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BRUICHLADDICH 
Gordon & Macphail 
Natural Cask Strength 
Aged 27 years 
Distilled 1968 /12/11 
Bottled 1996 /6 
700ml 52.6% 
評価:★★★★★★★★(8) 

香り:エステリーな華やかさとややドライな樽香、メープルシロップ、リンゴのカラメル煮、微かなハーブ、徐々に焼き芋やカステラのような甘さも感じる。
香りの要素にジャパニーズ的な艶を感じるのは樽由来だろうか。

味:口当たりで広がる高貴なウッディネス。艶のある樽由来の苦味と色の濃い甘さはリンゴのカラメル煮、マロングラッセを思わせる。
濃厚だが甘さと渋みのバランスが良く、負担に感じるところがない。後半にかけてスパイシーな刺激もある。
余韻は程よくウッディでドライ。キャラメルムースのような豊かな甘みが長く続く。

自分が求めているブルイックラディの味わいは、ピートではなくフルーティーなのだと再認識した1 本です。

閉鎖前、それも1980 年頃までのブルイックラディは穏やかなスペイサイドモルトのような味わいで、おおよそアイラとは言い難い構成であることは改めて説明するまでもないところ。

このボトルもまたそうしたキャラクターの通りで、そこに樽香やリンゴを思わせるフルーティーさ、そして樽要素は強いものの熟成期間から負担に感じるレベルではなく、なんとも完成度の高い味わいです。

 

1968のブルイックラディはイントレ、ペニーブラック、レガシーなど評価の高いボトルが多いんですよね。 早いうちから伝説的な扱いを受けたボトルもいくつかありますが、全体的には割と最近になって高騰しだしたように思います。

ロングモーンとか買えなくなってきたから、次はコイツだ! みたいな流れでしょうか。

それこそ60年代~1970年あたりのラディは、 選ばなければ2~3万くらいで2014年頃まで買えたように思います。自分もだいぶお世話になりました。

最近は・・・ちょっと難しいと思いますが、ウイスキーのテイスティングを深めていくなら、1 度飲んでおきたいラディのキャラクターです。

スチュワート ダンディー 1970年代後期流通

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STEWARTS DUNDEE 
8 Years old 
Rare Blended Scotch Whisky 
1970-1980’s 
43% 75CTLS 
構成原酒:グレンカダムなど 
暫定評価:★★★★★★(6-7) 

香り:黒砂糖やカラメルを思わせる濃厚な甘さ、微かに椎茸っぽさ、オールド系のひねた香味、素性の良いオールドシェリー香だが、あまり厚みは感じられない。 スワリングしていると徐々にレーズン、チョコブラウニー、クリーミーな甘さ。

味:スムーズで滑らかな口当たり、ボディはミディアム程度で重くは無いが、古酒感のある濃厚なシェリー風味。黒砂糖、ミルクキャラメル、レーズン、ほのかにモルトスナックの香ばしさ。 余韻はじんわりとタンニンが広がり、序盤の甘さと共に長く続く。 

スチュワートは日本ではあまり見ない銘柄ですが、イギリスでは有名なブレンデッド銘柄の一つなのだとか。
使われているキーモルトの一つ、グレンカダムはバランタインのキーモルトでもあり、別名「大麦のクリーム」と呼ばれるクリーミーな味わいが特徴。スチュワートシリーズではクリームオブザバーレイという、まさにグレンカダムを連想させる銘柄も販売されています。

今回テイスティングしたダンディーは、クリーミーな舌触り以上にこってりとしたカラメル系のシェリー風味。濃厚で味わい深く、そこに古酒系のヒネも合わさって何ともオールドラヴァー好みに育っています。
スチュワートシリーズはいくつか種類がある中で、このダンディーは特に日本市場で見かけないボトルですが、海外オークション等見かけたら送料合わせで購入してみても良いかもしれません。

ハイランドパーク 25年 2005年頃流通 オフィシャル 旧ボトル

カテゴリ:

HIGHLAND PARK  
Aged 25 years 
2005's 
750ml 50.4% 
評価:★★★★★★★(7) 

香り:濃厚なシェリー香、微かなラッカー臭にひねた印象も少し感じられる。黒土、ドライクランベリーの甘酸っぱさ、スモーキーで多層的なアロマ。

味:とろりと濃厚な口当たり、微かなベリーにオレンジピールチョコ、じわじわと広がるカラメリゼの苦味を思わせるピートフレーバー。うっすらと陶酔感もある。
余韻はピーティーでスモーキー、長く続く。土っぽさと微かに乾いた植物、燻した麦芽、ブラウンシュガー、ややドライなウッディネス。鼻抜けは華やかなシェリー香とスモーキーさ、舌の上には濃く入れた紅茶のタンニンが長く残る。

へザーハニーが薫るモルト、北の巨人ハイランドパークの旧ボトル。
流通時期は2002年頃から5年ほど。ハイランドパークのみならず、マッカランやボウモア等でラベルチェンジが相次いだ2007年頃には、現在のボトル形状に変わっていたと思います。(よって特段断定はできていないのですが、2005年頃として本ブログでは記載します。)
シェリーの効いた香味、アイラとは異なるタイプのピーティーさ、濃厚な甘みと果実味、じわじわと広がるほろ苦さ。原酒としては1970 年代後期から1980年頃となり、 ハイランドパークが特に旨かった時期にギリギリかかっています。

ハイランドパークはラベルチェンジをするたびに長熟のグレードをリリースしており、現在のボトルでは40年までが主要なオフィシャルリリースとして発売されています。
これらのオフィシャルスタンダードボトルは、その時代毎のものさしで計るとハウススタイルが良く出て完成度の高いボトルが多く。なかでも、ハイプルーフでリリースされる25年シリーズが、蒸留所のキャラクターや酒質の強さを比較するのに一番面白いグレードだと感じています。
2世代前の25年のバランス、完成度は称賛されるべきレベルで文句なしに旨い。
されどこの1世代前のボトルの濃厚な味わいも捨てがたく、現行品の25年は少々やんちゃな感じですが、これはこれで面白い。飲み比べすると違いがはっきりわかります。

惜しむらくは25 年以上のグレードの生産量が非常に少なく なってしまい、 値上げに次ぐ値上げとなっている事なんですよね。ここ1 年ちょっとは18年も品薄で、かつての価格の2倍以上という状況 は目を覆いたくなる惨状です。
今回テイスティングした25年は、実家(都内)の近所の酒屋で2年ほど前に複数本まとめて購入したもの。
地方の酒屋等で在庫が残っていたら、是非ゲットしたい1本です。

サムシングスペシャル 1970年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:

SOMETHING SPECIAL
Deluxe Scotch Whisky
1970’s
43% 760ml
構成原酒:ロングモーン、ベンリアック、キャパドニックなど
評価:★★★★★★(6)

香り:ベタつきのない爽やかな香り立ち、オールドらしくくすんだ要素も感じる。柔らかいスモーキーさ、ドライパイナップルや麦芽、蜂蜜、すりおろしたリンゴ、薄めた紅茶のようなニュアンスも。

味:香ばしい麦芽風味、蜂蜜、カステラの黄色い部分、ドライアップル、旨味は濃く中間から後半にかけて開いていく。
口当たりはべたつかず、適度にドライで軽やかなスパイシーさも感じる。余韻は麦芽風味、蜂蜜レモンキャンディー。長く続く。

クイーン・アンの上級品にあたるブレンデッド。どちらも現在の日本ではあまり馴染みのないウイスキーですが、原酒の良さをしみじみ感じる味わいは、オールドボトルラヴァーの間で評価の高い銘柄の一つでもあります。
今回テイスティングしたボトルは1970年代の流通品。1975年、エリザベス女王が来日された際の宮中晩餐会のウイスキーが「バランタイン30年」と「サムシングスペシャル」 だったというのは有名なウイスキー雑学で、時期的に今回と同じボトルが晩餐会に使われたのではないかと思います。

同時期のバランタイン30年と飲み比べたことはありませんが、過去に飲んだ記憶と比較すると、どちらもカラメル等でいじった感じは無く、ブレンダーの技を感じるウイスキーです。ただしモルティーな華やかさの方向性や、熟成感、ピートフレーバーには原酒の違いが感じられ、特にピーティーさはサムシングスペシャルのほうが控えめ、原酒由来と思われる果実味や麦芽風味がストレートに感じられますね。 
宮中晩餐会ボトル選定の経緯は知りませんが、コテコテブレンドであるジョニーウォーカー等を使わなかったことに、どこかこだわりを感じます。

サムシングスペシャルは1960年代のコルクキャップから日本への流通があり、絶対的に多いのはその後のスクリューキャップ時代、年数表記はNAから12年表記に変わり、1990年代以降はNA品が再登場します。
このNAのスクリューキャップは1970年代から1980年代中ごろにかけて10年以上流通しており、この間の流通時期の違いはラベルの紋章で見ます。
同銘柄の紋章にはエリザベス女王のイギリス紋章ではなくスコットランド紋章が使われています。この紋章のプリントが1980年代に入ると微妙に変化し、印刷が豪華というか詳細なプリントになります。そしてその後NAから12年表記になります。
なお、同銘柄は70 年代から80年代にかけて金属張りのキャップが採用されており金属臭の危険が、1960年代のものは大口径コルクらしくコルク臭の危険が付きまといます。
本当に普通のスクリューキャップのありがたさと言ったら・・・。
今回自分のところに来てくれたボトルは、少し抜けている印象がありつつも金属臭は出ていませんでしたが、調達される際はその点覚悟して購入下さい。

グレンドロナック15年 46% リヴァイバル いよいよ終売へ

カテゴリ:

GLENDRONACH
REVIVAL
Aged 15 years
700ml 46%
評価: ★★★★★★(6) 

香り:うっすらと香ばしさのある黒蜜やレーズンの甘いアロマ。ほのかに生木っぽさ、コクのあるバランスの良い近年系シェリー香。グラスの残り香はキャラメルを思わせる豊かな甘さ。

味:滑らかで濃厚な甘い口当たり。ドライプルーン、チョコレート、品の良いウッディネス、徐々に干した牧草。後半はべったりした甘さが口の中に残り、そこからコーヒーを思わせる苦味、微なピーティーさが戻ってくる長い余韻。
以前のロットよりエグミが少なく、ピーティーさを強く感じたような…。


グレンドロナックの正規代理店であるウイスクイーから、ついに15年リヴァイバル終売のニュースが届いてしまいました。
同蒸留所について直近10年間を振り返ると、2008年にベンリアック 社の傘下に入り、それまでのラインナップを一新。2009年には シェリー樽100%の15年リヴァイバル、18年アラダイスがリ リースされ、その仕上げとして12年もシェリー樽100%に切り替わり、 シェリー樽モルトの代表格の一角を締めるようになったのは記憶に 新しいところ。
当時自分はオールドドロナックのシェリー感に魅せられていたので、シェリー樽100%が復活するというニュースに歓喜したのを覚えています。

グレンドロナック15年はリヴァイバル、"古き時代の復活"と名付けられた、まさに昔のグレンドロナックをイメージしたボトルの一つ。
12年、15年、18年、21年とオフィシャルラインナップがある中で、濃厚でありながらバランスが良く、コスパも良いシェリー樽モルトとして上位グレードの18年や21年以上にファンを獲得していたと思います。
自分は18年推しなので、それこそニコ生放送などでは少数派な立場に置かれることもありました(笑)。

確か1~2年くらい前だったと思います。 グレンドロナック蒸留所を訪問した方から「 そろそろシェリーカスクの質と在庫がヤバイ、15年と18年は買っておくべき」という話を聞き、潮目が変わりつつあるなと。 元々グレンドロナックは1996年に一時蒸留を休止し、2002年に再稼動するまで6年間分の原酒がありません。そのため、15年、18年に関してはいずれ6年間の"死の谷"にぶつかる状況にありました。
そして21年の通常生産終了の決定と、グレンドロナックヒーランの発売。 ヒーランはシェリー樽とバーボン樽のバッティングで、蒸留時期は再稼動後の新世代に当たるボトル。価格帯は12年や15 年の間に落ちる5000円前後で、どっちかが値上げか終売になるんじゃないか、なんて言う話もしていた矢先、いよいよ来るものが来たという感じです。

輸入停止ではなく蒸留所側での生産終了の一報ですから、在庫が並行品で入る可能性こそあるものの、いずれ本格的な終売となります。また、15 年だけでなく、18年についても上述6年間の休止期間から、2014~2015年生産までは原酒が確保できているものの、今年以降なんらか影響が出ていくことが予想されます。
まさに今飲んでおくべきシングルモルト。ファンの方はこれを機に何本か買われても良いかもしれませんね。

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