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2015年12月

サントリー 山崎 リミテッドエディション2015

カテゴリ:

SUNTORY 
YAMAZAKI 
Limited Edtion 2015 
43% 700ml 
暫定評価:★★★★★(5-6) 

香り:華やかなオーク香、メロン、
ほのかにオレンジピール、サトウキビやザラメを思わせる甘さ、パンチョン系の乾いた木の爽やかな香りにらしさを感じる。

味:やや粗さのある口当たり、ボディは軽めだが徐々に舌に粘性を感じる。
木香が強く、干し柿、ドライイチジク、薄めた蜂蜜、中間から軽やかなスパイス
余韻はウッディーでビター、微かにシナモン、あっさりとしている。

サントリーがギフト向けにリリースしている山崎の限定品。
2014年にもリリースされており、今作が2作目になります。
シェリーやポートワインの空き樽で20年以上長期熟成させた原酒と、アメリカンホワイトオークの樽で熟成させた若い原酒をバッティングしているノンエイジ仕様。ここでいうアメリカンホワイトオークの若い原酒は、山崎に多いパンチョン樽でしょう。熟成感的には平均10年〜12年くらいで、荒い部分は加水で整地したような印象です。
ギフト向けというだけあって高級感のある外観に加え、華やかな香味がわかりやすい仕上がり。普段ウイスキーを飲まない方やウイスキー経験の浅い方でも楽しんでもらえと思います。
万人向け、というヤツでしょうか。原酒が厳しく色々制限のある中でうまく作ってるなと感じる1本です。
他方で、ボディの軽さや、若さを覆うような香味の浮ついた感じは、 深く飲んでいる人であればあるほど好みが分かれるところかなと。 自分はその点で物足りなさに加えてとってつけたような熟成感が気になって しまいました。
これでもう少しボディが太いとバランスも良いんでしょうけれど・ ・・。 最近山崎に限らず長期熟成原酒と若い原酒を混ぜたノンエイジ商品が増えてきた ように思いますが、 この分離感が今後取れていくかで自分の評価は変わりそうです。


ちなみに山崎リミテッドエディションは2014と2015でメーカーテイスティングコメントが変わっていませんが、実際は中身が全く異なります。
2014はシェリーやポート系のフレーバーが強く、2015に比べて重みがあってウッディーな要素も強い。熟成具合も2014のほうが感じられます。
対する2015はボディが軽い反面、 華やかで乾いた木のような香りは強 い印象。上述のヨーロピアンオーク系の原酒と、 アメリカンホワイトオーク系に原酒の比率が2014と2015で 変わったのだと思います。

香味が全然違うのにテイスティングコメントが変わってないことには疑問符ですが、どちらも山崎らしさの感じられる味わいで機会があれば飲み比べてみてください。
飲み方はストレートか少量加水、2015のほうがロックは合うと感じます。ハイボールは試せていませんが、この系統だと経験上どちらも合わないんじゃないかと思います。

オールドパー 18年 クラシック ブレンデッドモルトウイスキー

カテゴリ:

OLD PARR
CLASSIC
Aged 18 Years
Blended malt scotch whisky
46% 750ml
構成原酒:グレンダラン、クラガンモア
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかいスモーキーさを感じる香り立ち、微かに植物感のえぐみが混じる香ばしい甘さは焼き栗、干草、ほのかにメイプルシロップ。ブレンデッドモルトらしく複雑で、時間と共におしろい、オーク香など違う表情も見えてくる。

味:少し荒さとえぐみを感じる口当たりで、モルトスナックやシリアルのような香ばしい麦芽風味、乾いた藁、ドライフルーツ、中間から後半はハイランド系のピートが存在感を増してくる。
余韻はピーティーでスモーキー、ほろ苦さが染みこむように長く続く。

高級ブレンデッドウイスキーとして一時代を築いたオールドパーのグレーン抜き、バッテッドモルトウイスキー。
このオールドパークラシックはこうしたシリーズでは珍しく度数が46%あることもあって、中々飲み応えのある仕上がりになっています。
ハイボールはあっさりゴクゴク系。特段得られるものはないですが、ロックは多少にごりが出るものの、香味のコシが折れることはなく、氷に負けずにスコッチらしいピートフレーバーを楽しませてくれます。

普段こうしたウイスキーはオールド中心なんで、現行品のミドルクラスをたまに飲むと、オールド独特のクセが無いことで逆に落ち着くというか、色々発見があって面白いです。オールドパーの構成原酒はクラガンモアとグレンダランと言われていますが、グレンダラン由来かしっかりとスモーキーで、クラガンモアらしい麦芽風味も感じられます。
以前、勝手な印象でオールドパーはマッタリした味わいだと思っていたところ、12年にしろ18年にしろしっかりスモーキーだったのには驚かされました。

余談ですが、オールドパーは152歳まで生きたという長寿のトーマスパーにあやかって「いつまでも変わらない品質を約束する」というPRで販売されたものです。イギリスでのブームの後にアジア市場で大ヒット、吉田茂や田中角栄など政界の名だたる重鎮が愛飲したことでも知られています。
そうしてオールドパーをたしなむことは、政界関係者ではある種のステータスとなっていったわけですが、この背景にはもうひとつある噂があります。
オールドパーのギフト用の箱には、あるものがキッチリ1千枚入るのだそうです。
最近は第一線から外れてしまった感のある某O氏も、かつてギフトシーズンには事務所の棚の上にオールドパーの箱がずらりと並んでいたのだとか。
嘘かホントか、まぁたまにはこういうブログ記事も良いですよね(笑)。

トマーティン 38年 1965年蒸留 2004年ボトリング ダンカンテイラーピアレスコレクション

カテゴリ:

TOMATIN
Duncan Taylor
Aged 38 Years
Distilled 1965
Bottled 2004
Cask No, 20944
51.5% 700ml
評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーでドライな香り立ち。乾いた木のようにトゲトゲしており、アプリコットやパイナップルなどのドライフルーツ香、微かにシトラスやアロエのような青っぽさとケミカルなニュアンス。少量加水するとさらにフルーティーさ、甘栗の香ばしい甘み、バタークッキー、香りが開いてバランスが改善するが、ドライな要素は残る。

味:口に含んだあと一呼吸おいでスパイシーな刺激とドライなオークフレーバーが口の中に広がる。
ボディはミドル程度、香り同様の構成で、乾いた木材、シリアル、バニラ、洋梨、徐々に桃の缶詰。
フィニッシュはほのかにケミカルなニュアンスを伴い、華やかだが樽材由来の渋みを強く感じる。
少量加水すると桃感、ドライアップル、 麦芽、香りに対して味は少々ボディが加水に負ける印象。

ストレートと少量加水でしか飲んでいませんが、写真のように飲み口がすぼまっているタイプのグラスよりも、外に向けて広がっているチューリップグラスや、ワイングラスのように口径の大きなグラスで飲んだほうがフレーバーの広がりが良いと感じます。


先日のイベントの際に、ウイスキー仲間の一人が持ち込んだもの。
中途半端に残ったから持ってくか?と言われてありがたくいただきました。いつもありがとうございます!
まさにダンカンテイラーピアレスシリーズ、そのキャラクターを象徴するような味わいで、最近はこうした長期熟成のリリースがなくなりました。長期熟成由来とも言える樽感、鼻腔や口の中の水分を強烈に持っていくような渋み、ドライさ。美味しいのですが蒸留所の個性を味わってるというより樽材をしゃぶってる感覚が、あー長熟のカスクだなぁと感じる構成です。

トマーティン蒸留所といえば1976ビンテージがフルーティーで旨いと有名で、多くのリリースがあったことは今更解説する必要も無いところ。1970年代であの味なのだから、さぞかし1960年代は旨いだろうと飲んでみると、これが意外にフツーというかピンとこない。今回のボトルのように、確かに当時の原料由来か1960年代らしい複雑さはあるのですが、惹かれるような個性を感じません。 
一説では1974年にトマーティン蒸留所で行われた大規模改装(蒸留器を11基から23基に増設)で、稼動が安定し始めた1975~1977あたりで本領発揮となったのでは・・・とのこと。

スペック的には非常に興味をそそられるボトルで、多分飲み始めの頃の自分だったら歓喜していたに違いないのですが、今改めてこのボトルと向き合ってみると、様々な予測が頭の中で出来てしまい、結果ほぼ予想通りの味で経験の積み重ねを感じる。まさに「知る悲しみ」を感じる味わいでもありました。 

ホワイト&マッカイ 21年 1980年代流通

カテゴリ:

WHYTE & MACKAY
21 Years old
1980's
43% 750ml

構成原酒:ダルモア、フェッターケアン、トミントール、など
評価:★★★★★★(6)

香り:品の良いオールドシェリー香、レーズン、カラメルソース、微かにたまり醤油、麦芽ビスケットのような香ばしさも感じられる。
濃厚なシェリー感ではなく薄めたような印象のあるバランスタイプだが、古きよき時代を感じさせる香りでもある。

味:スムーズでまろやかな口当たり、薄めたメイプルシロップのような甘さから、じわじわとウッディーな苦味、タンニンが口の中に広がってくる。オールドシェリー、麦芽、カステラの茶色い部分、アーモンドクリーム、ほのかに古酒っぽさのあるヒネ香も感じられる。余韻はオレンジピールチョコ、レーズン、柔らかいタンニンが口の中に蓄積してビターでドライなフィニッシュ。


ダブルマリッジ製法のホワイト&マッカイ。その高級グレード品である21年もの。
日本でもウイスキー特級表記付きでそれなりの数が流通していたようですが、もっぱら流通量が多かったのは海外、特に香港や台湾だったようで、現地流通品をオークションで数多く見かけます。
かくいうこのボトルも台湾流通品、裏ラベルには1986年の流通であることが記載されており、一番若い原酒でも1965年蒸留が確定ということになります。

ホワイト&マッカイの製法では、モルト原酒同士のバッティング、及びグレーンとの掛け合わせにおいて、計2度のマリッジを行っており、その際にシェリー樽を使うとのこと。その影響か原酒由来か、まろやかさに加えて最近のボトルには見られなくなった品の良いシェリー感を味わうことが出来るボトルです。
ハイプルーフの飲みすぎ、あるいは連日の忘年会でのお疲れモードな体にしみじみと感じられるまろやかさです。
原酒としてはダルモアの影響が強いように感じます。 惜しむらくは、もう少し濃さがあれば突き抜ける感じなのですが・・・。 まあこれはこれで良い感じです。

このバブリーなボトルデザインは1980年代の流通のもの。お世辞にも高級感があるとは言えないディスプレイボックスに、21年以上熟成させたハイランドモルトとローランドグレーンをブレンドしたという製品説明が書かれた、リチャードパターソン氏のサイン入りメッセージカードが入っています。
何気に横置きされやすい箱なので、箱付きの場合はコルク臭の恐れも…。
さらに古い1970年代は金属の装飾がなく、同じボトルに金色楕円形のラベルが貼られています。自分はまだ飲んだことが無いので、いずれ機会があればこちらも飲んで見たいですね。

サントリー 2016年4月からまた値上げ! 角瓶など低価格帯にも影響

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本日、サントリーからウイスキーの価格改定が公式発表されました。
ちょうど1年前にもサントリーから値上げの発表があり、その際は角瓶などの低価格帯を据え置きとしていたところ。今回の値上げはその低価格帯を中心としたもので、角瓶にいたっては32年ぶりの値上げなのだとか。
最大25%の値上げが多くの消費者の懐に影響する内容となっています。
またマッカランに至っては昨年に続いての値上げが確定、ほんの2~3年前まで9000円そこそこで売られていた18年が、来年4月には3倍近い価格になる、異常な事態です。

ウイスキー 一部商品の価格改定について(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12533.html

実施日:2016年4月1日
(ジムビームは2016年7月1日から)

対象商品:「角瓶」「オールド」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「響JAPANESE HARMONY」「ジムビーム」「メーカーズマーク」「ザ・マッカラン」「バランタイン」9ブランド(計33品目)

【価格変更一例】
角瓶★ 1414円→1590円(12.4%)
オールド 1680円→1880円(11.9%)
ローヤル 3000円→3360円(12.0%)
スペシャルリザーブ 2300円→2580円(12.2%)
響Japanese Harmony 4000円→5000円(25.0%)
ジムビーム★ 1390円→1540円(10.8%)
メーカーズマーク 2800円→3400円(21.4%)
マッカラン18年 22000円→27000円(22.7%)
バランタイン21年 18000円→20000円(11.1%)
※()内は価格改定率

価格改定の詳細リストは以下を参照ください。

★のついている角瓶、 ジムビームは合わせてリニューアルすることも発表されています。

サントリーウイスキー「角瓶」「白角」リニューアル新発売(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12534.html
バーボンウイスキー「ジムビーム」リニューアル新発売(2015年12月21日)
http://www.suntory.co.jp/news/article/12535.html


9ブランド33品目の内訳については現在確認中ですので、判明次第掲載いたします。
が、サイズ別の値上げに加えて、おそらくマッカランやバランタインは全ラインナップが入ってくるんじゃないでしょうか。
サントリーは先日貯蔵庫の拡張を発表するなど、精力的に増産に動いていますが、その影響が価格に転嫁される形なのでしょう。1989年の酒税法改正で一気に安くなったウイスキーが、徐々に徐々に当時の価格に戻っていくような、そんな錯覚すら覚えます。
続報入り次第、追記させていただきます。

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