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2015年10月

グレンドロナック8年 ヒーラン 46% 2015年リリース

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ついに…というほどついにでもないですが、ドロナックが本格的に脱シェリーを掲げたなと感じるニューリリース。
シェリー樽原酒とバーボン樽原酒のバッティングで、ヒーランとは現地の方言でハイランドを意味するとか。
つまりグレンドロナック・ハイランド。メーカーPRのとおり、これが新しいハイランドスタイルと言わんばかりのネーミングです。


【テイスティング】
粘性のあるシロップ、水飴のような甘い香り。微かに木やオレンジジャムの香りもある。
口当たりはスムーズで、まったりとした甘さ、バニラ、綿菓子、オーキーで徐々に舌先に胡椒のスパイス。
フィニッシュはウッディーな渋みも感じられる。

2009〜10年にラインナップを刷新し、12年、15年、18年の通常ラインナップを全てシェリー樽熟成として整備したグレンドロナック。
その後リリースされたオクタリン8年は今回同様バーボンとシェリーの構成だったのですが、樽を強めに焼いた焦げ感に嫌味に感じるほどオークエキス満載、安価に色濃い味わいを出そうとした、シェリーの延長という意識を感じました。
今回のものはそうした傾向がなく、純粋にリフィルオークという感じで、とんがった個性はないものの飲みやすい。もうひとつフルーツ感が出てくれればとも思いますが、オクタリン8年よりも好印象です。

同製品の市場価格は約5000円前後。上位ラインナップでシェリー系の15年、18年との価格差に違和感強く、ひょっとしたら値上げか終売の流れなのではと予想しています。
(18年は2015年ロットで随分色薄くなりましたし。)


【BAR訪問】BAR & Sidreria Eclipse first (エクリプス ファースト)@神田

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久々のBAR訪問記です。BARに行ってないわけではないのですが、しばらく書いてませんでした。
今回のお店はシードルがメインとなるBarのエクリプスさん。今年6月に神田駅前に開店した新店です。
シードル以外にカルヴァドス、カクテル、そしてウイスキーも300種類とそろっています。マスターの藤井さんは別店舗で10年以上修行されただけでなく、ウイスキープロフェッショナルも取得しており、懐の広い本格的なBARです。
 
ちょうど1か月ほど前のこと、川口のアラサイドで貧乏人のパスタを食べて食後のギネスを堪能していた時、隣に座られた方がエクリプスのマスターでした。
話の中でお店のことを伺い、まぁ機会があったら顔を出しますかくらいに思っていたのですが、この日は早めの1次会を終えて肝機能にはまだ余裕があったので、寄り道してみました。

 店の場所はとにかく駅近。そしてBARとは思えないほどのオープン感。
ドアも解放されていて、すぐ隣には赤ちょうちん。なんだただのオシャレ系ダイニングバーかと一度通り過ぎてしまいましたが、店名を見てUターン。失礼ながら半地下とか、ビルの奥とか、もっとアンダーグラウンドなところを想像していたのでこれは予想外でした。
 
立派な一枚板のカウンターど真ん中に座らせてもらい、まずはお店の看板であるシードルを注文。
シードルは全くと言っていいほど知識がないのでマスターにお任せで、1次会からのリセットを兼ねてスッキリ系の洋ナシのシードルを。なるほど、確かに程よい甘さでほのかに蜂蜜を思わせる甘さと洋ナシのさわやかな香り、スッキリと飲めます。

 ただアルコール2%とシードルの中でも低いタイプでしたので、もう一つ炭酸系が欲しくなり、次の注文はハイボール。
ハイボールブームからか、最近色々なBARでハイボール用のハウスウイスキーが準備されていたり、あるいはハイボール用のオリジナルブレンドが作られる動きがあって、こうして新しいBARでハイボールを頼むのは一つの楽しみになっています。
エクリプスのオススメは、OBグレンモーレンジ10年。炭酸とともに口の中で爽やかなオークのアロマが弾けるよう。ハイボールで頼むとなぜか少し安くなるという面白いシステムです。
グレンモーレンジのオーク樽へのこだわりはここで改めて書く話ではありませんが、冒頭でも触れた立派な切り出しのカウンターに、木のコースター、そしてオークにこだわったグレンモーレンジ。
このカウンターに使われている木材は、マスターとゆかりのある神社の神木を分けてもらったものだそうで、不思議なオーラと統一感のある、癒しの空間がそこにありました。
 
飲み進めていくと徐々になじみのお客さんが来られて、店内がにぎわってきました。
突如始まるシードル講座を注文したモルトを飲みながら横目に楽しんで、最後に1杯マスターの好きなカクテル、ジャックローズを注文。程よい酸味と渋みのある甘さで口の中が引き締まる、良い味わいです。

同BARの開店時間は15時からと早め。しかし神田という街の時間軸で考えると、オフィス街である神田は夜22時も過ぎれば人気も疎らになってしまいます。
そもそもこのBARのメインたるシードルは、昼間から食事に合わせて楽しまれているお酒の一つです。
明るいうちからスタートする飲みの席と考えると、15時開店にシードルの組み合わせはむしろありがたい。気楽な1杯で早上がりのオフィス街の午後を楽しむ、なんとも優雅で良いじゃないですか。

BARの内装はテーブル席にカウンターと、個人以外にデートやちょっとした2次会でも使えそう。良いBARができたなと感じつつ、調子に乗ってちょっと飲みすぎた体で帰路につかせていただきました。

BAR & Sidreria Eclipse first (エクリプス ファースト)

Open 15:00 〜 Close 24:00

東京都千代田区鍛治町2-7-10 (JR神田駅東口下車徒歩2分)

Facebook:https://m.facebook.com/eclipse.kanda

Tabelog:http://s.tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13183812/


キルホーマン10周年記念ボトル 2015年リリース

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今更ですが、飲んでなかったキルホーマンの10周年記念。
10周年なので2005年蒸留の10年ものかと思いきや、それを一部含むマルチカスク。
オーソドックスなアイラという感じで、荒さの残る熟成感に、香り、味共に塩気が強く感じられました。

KILCHOMAN
10th ANNIVERSARY RELESE
Only 3000 Bottle
700ml 58.2%

暫定評価:★★★★★(5)

香り:刺すような鋭いピートフレーバーに、バーボン樽由来の甘さとシェリー樽を思わせる酸味、バッティングらしく複雑さが感じられる。荒い塩気と昆布だし。乾いた麦芽のアロマもある。

味:荒さの残る若々しくフレッシュな口当たりに焦げたピート香。微かにシェリーのニュアンス。甘さと香ばしさ、そしてピートのほろ苦さ。奥にはバーボンオークのバニラやフルーツ感も見え隠れする。
鼻抜け、フィニッシュともピーティーでスモーキー。舌の上に塩気と微かにオークフレーバーを伴う余韻。

飲んでみると短熟を含む複数年、複数樽のバッティングらしく、若々しいアタックに熟成由来と思える奥行きがあり、オフィシャルのカスクストレングスとしては可もなく不可もなく。
キルホーマンの5年以上のバーボンカスクはラフロイグに共通する要素を感じていたのですが、今回のボトルはどちらかと言うとカリラに近いかなと感じました。

2009年にはじめての3年ものがリリースされてから6年、様々なリリースを繰り返してキルホーマンは生き残りました。月日がたつのはなんとも早いものです。
そういえばあの時の記念ボトル(キルホーマン3年46%)は、生臭いと酷評されていた記憶があります。
10周年記念ボトルはそれほどでもありませんが、高望みしすぎたか、せっかく10周年を記念するならもう一押しほしいかなと言う印象は否めませんでした。

カリラ15年 ハイプルーフ 1980年代流通 バロックレイド

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かつてカリラを所有していたバロックレイド社、その時代のカリラ15年ハイプルーフ。 
今でこそシングルモルトは珍しくありませんが、当時はほぼ全ての原酒がブレンデッドに使われていたため、シングルモルトがリリースされない蒸留所も多く。
カリラでは1974年の改修・増産後1980年代にシングルモルトがリリースされたことは、当時のモルトラヴァーには待望の出来事だったそうです。
安定して完成度の高いカリラでも、突出した出来で100点満点中80点から上を攻めていけるボトルの一つ
飲ませてくださったRさん、ありがとうございました!

CAOLILA
Aged 15 years
Bulloch lade & co.ltd
1980's
700ml 57%

評価:★★★★★★★★(8)

香り: 燻したようなピート香と上質な塩味のスープを思わせる香り。透明な海の塩素系のアロマ、ピート、昆布だし、 薄めた蜂蜜の甘さから奥にパイナップル、フルーツ感は徐々に前に出てくる。多彩で充実したアロマ。

味:口当たりはコクがあって度数ほどのアタックは感じないが、ハイプルーフらしいボディの厚さ、焦げ感のあるピートフレーバーが広がる。その奥から麦芽や塩気、 そしてフルーティーさ。フルーツ感はパイナップル等の同時期蒸留のモルトにみられるトロ ピカル感がある。
余韻は染み込むようなピートと塩分のうまみ、舌をコーティングするように長く残る。


一口飲んで、良いカリラだわと納得せざるを得ないボトルです。
何が良いと言われると、一言で多彩さとバランスですね突出したトロピカル感があるわけでもなく、 シェリー感があるわけでもなく、しかしカリラという蒸留所の枠の中で出せるであろう、フルーツ、 樽、 ピート等の各要素が全て高い次元でまとまってバランスが取れている。
ピートの奥から顔を出すフルーティーさが心憎い。外連味なく、ごまかした感じもない、 経年によって丸みを帯びたこともプラスに働いているのでしょう。
伝え聞く最高のカリラと言う評価は納得の1本です。

個人的にはこれでも十分素晴らしいカリラでしたが、ボトル差でさらにフルーツ感が出ているモノもあるとのこと。
こういうボトルを追求しだすとまさに"沼"なわけですが、この手のボトルは経験値がある人ほどハマりやすそうです。 沼に引きずり込むには十分すぎる魅力があるように感じます。 

また、カリラに関しては先日某所にて2015年ロットのカリラ12年の 出来が良いという話を聞きました。これは確認途中で2014年らしいボトルと、 2015年らしいボトルをほぼ同時に飲みましたが、確かに旧ロットよりも個性がはっきりしていてオフィシャルとして は良い出来だと思います。
現行品からオールドまで、この蒸留所のポテンシャルはすさまじいなと、今後のリリースも安心して飲んでいくことが出来そうです。

キングスバリー カロデン 11年(2004-2015)61.4% ブレンデッドモルトウイスキー

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中身不明とされているキングスバリーのニューリリースブレンデッドモルト。
カロデンと言えば、スコットランドの地名であり、有名な「カロデンの戦い」。
そのカロデンの近くにあり、かつて「カロデンの戦い」を銘打ってリリースされたボトルがある蒸留所といえば・・・グレンモーレンジです。

グレンモーレンジはボトラーズからリリースされない蒸留所として有名ですが、最近はモーレンジの原酒にほんの少し他社のモルトを混ぜて、味はグレンモーレンジながら名目上はブレンデッドモルトとしてリリースされる機会が多くなっています。
いわゆるティースプーンモルトと呼ばれるものですね。
リリースされたばかりの本品ですが、サンプルを飲ませていただける機会がありました。


【テイスティング】
香り:少しドライな香り立ちだが、蜂蜜、ハーブ、リンゴの白い部分を思わせる品のいいバーボンオーク香。加水すると甘さが引き立つが、溶剤のようなアロマも。

味:香り同様フレッシュで華やかなオークフレーバー主体。バニラ、ドライフルーツ、徐々に樽材由来の渋み、ほろ苦さ。余韻はピートも感じられる。

モーレンジと言われればモーレンジ、それも最近増えてきたライトピーテッドタイプ。
やや単調で、少し若さゆえのクセもありますが、ハイプルーフのカスクストレングスらしく飲みごたえがあり、余韻で感じられるピートフレーバーが、単調になりがちなオーク主体の味わいを引き締めています。
モーレンジって樽いじり系はともかく王道タイプはあまり外さない印象で、このボトルも結構レベル高いですね。
BARで見かけたら、改めて飲んでみようと思います。

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