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2015年10月

カーデュー12年 1980年代初頭流通 トールボトル

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オールドボトルのシングルモルトは比較的高値が付きやすいですが、その中でも手に入りやすいのがカーデュー。特にジョニーウォーカーとひっかけて日本に流通が多かった1980年代後期のダンピーボトル12年は安価で入手できます。
しかしそのほかの蒸留所がそうであるように、カーデューも例に漏れず1960年代から1980年代にかけて味の変化が激しく、80年代後期だけで終わってしまうのはもったいない。飲み比べてみると実に面白い蒸留所です。
本ボトルはGSさん宅での持ち寄り会で飲ませていただきました。いつもありがとうございます!
 
CARDHU
Highland malt scotch whisky
12 years old
1980’s
755ml 40%
 
暫定評価:★★★★★★(6)
 
香り:品のいい麦芽香、蜂蜜、微かにドライパイナップル。土っぽい香りもある。
かすかなヒネも感じるが状態は悪くない。
 
味:まろやかな口当たり、序盤一瞬水っぽさがあったがボディはしっかり感じる。
広がる麦芽風味と微炭酸風のスパイス、土っぽさ。徐々にドライアップルのさわやかなフルーティーさ、余韻はほのかなピートが口の中に残る。
 
1980年代初頭流通、おそらくメートル法切り替えあたりの流通で、ガロンからの換算をきっちりやった結果の仕様なのかなと思います。
40%とは思えない飲みごたえがあり、味、香りとも麦芽風味主体だが嫌味がなく、かすかに感じるフルーティーさが好印象。1杯目に飲みたいオールドシングルモルトです。
 
カーデューやフィディック等、一部の蒸留所では消費量が増えた1980年代からシングルハイランドモルト表記を廃止し、ピュアモルト表記を採用しています。
これは他蒸留所の原酒をバッティングしたのではなく、麦芽を多くの精麦工場から融通し合ったためと聞いたことがあります。そうなると味の変化に繋がるわけですが、実際、カーデューの味の変化は相当で、これまでなかった酸味が混じる等、1980年代後期の12年ダンピーボトルと1980年代初頭12年トールボトルでは、味わいが大きく異なっています。
 
今回のボトルの時代が、カーデューにとって一つの節目に当たるようにも思います。
なお、1950~60年代流通のカーデューはマジでジョニーウォーカーの味がします。ピートもさらに強くコクがあり、今回のボトルと並んで一飲の価値ありです。(日本橋のIANさんにあります。)
 

スコッチウイスキーファン必見? 世界水紀行がスコットランド特集を再放送(10/29)

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最近テレビなんか見てなくて全くのノーマークだったのですが、本日10月29日19時から、BS日テレの世界水紀行でスコットランド特集が放送されるようです。


エディンバラから最果ての島へ、歴史と伝統のスコットランド
http://www.bs4.jp/w_mizu/onair/44/index.html
※写真はウイスキーマガジンの特集「エドラダワーの覚悟」からの引用です。合わせてどうぞ!

本放送はもともと2013年に放送されていたもので、今回は再放送となります。
特集の中で紹介される蒸留所はエドラダワーで、その美しい景観から観光名所ともなっている同蒸留所。ここ最近のロットからパフュームが消え、スタンダードの10年のみならず、ピーテッドモルトのバレッヒェン、限定品のシェリー樽熟成フェアリーフラッグ等、どれも蒸留所の特徴がありつつレベルの高いリリースとなっており、個人的に今注目の蒸留所の一つです。現地の映像が見れるのはうれしいですね。
また、釣り好きとしてはサーモンフィッシングが取り上げられているのも見逃せない。

ただBS放送なので、録画ができない方も多いはず・・・。
TLのリツイートで本情報を知ったため直前での投稿となりましたが、今日は仕事を早く終わらせて帰宅しちゃいましょう!


最寄駅に着きましたので、手短ですがこのへんで。

グレンアルバ 1970年代初頭流通 ”ウイスキー特級” JAPAN TAX

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ダンカンテイラーが作っていたというブレンデッド。・・・というのは一旦忘れてください。
このボトルについては以前Whisky linkで簡単に紹介しており、記事を書くのは2度目になります。
当時、リリース元については伝聞のままあまり気にしていなかったのですが・・・今回記事にまとめるにあたり、ボトルの素性についても再度まとめなおしてみることにしました。

GLEN ALVA
100% SCOTCH WHISKY
EDWARD ARCHER & CO.LTD
1970’s
JAPAN TAX
760ml 43%

構成原酒:不明
評価:★★★★★(5)

味は良いとされるボトルで、確かに好まれている方も多いのですが、実は自分はこの手の味はあまり好みではありません。
状態の問題かなと、自分で2本、外で3本経験しましたが、もう一つピンとこない。ロックは適度なコクがあってカスタード系の甘さが際立ってスムーズ。ハイボールにすると「まぁ良いかな~」というレベルですが、あっさり系で物足りない。
乾いた甘さでピート感はなく、少し草っぽさや植物質なニュアンスがあるので、ラムやテキーラとか好きな人は好みかも。個性の出にくいブレンデットにおいて、逆にこうしたほかとは違うキャラクターがあるブレンドは貴重と言えるかもしれません。


このブレンドに使われた原酒は不明ですが、出元がダンカンテイラーであるというのがこれまでの定説でした。
しかし調べていくうちに、これはもはや酒販業界の一部を巻き込んだ(自分の書いた記事も少なからず影響を与えた)壮大な誤解なのではないかという気がしてきました。
新たな事実がわかればそれはそれで修正させていただきますが、現時点でこのGLEN ALVAはダンカンテイラーとは無関係と言えそうです。


以下、長くなりますので興味がある人だけ読み進めてください。
Glen Alvaの日本での流通時期は1970~1975年あたりでしょう。だいたいはJAPANTAX付きで、たまにないものも見ますが、それ以外のボトルを見たことがありません。同ボトルの販売元であるエドワード・アーチャー社は1977年を持って解散しており、同時期に終売になったと考えられます。
ではそれより古いボトルはどうかというと、BOWEN & MCKENCHNIE社からGlen Alvaとされる銘柄のリリースがあったようです。しかし同社は1954年で解散しているため、そこから消息不明。BOWEN社からEDWARD社が版権を買い取った・・・とも考えられますが、10年間の空白を埋められるリリース情報が見つからず。今回のGlen Alvaのこれは別物なんじゃないかと思います。
まあ仮に販売があったとして大勢に影響はありません。販売元は上述の通りですが、ダンカンテイラーのダの字も出てこない。そもそもダンカンテイラーの設立は1961年であるため、1960年以前のリリースが仮にあったとして、同社の製造とはなりません。EDWARD社がダンカンテイラーの子会社に当たるとか、関係があってブレンドを作ってもらっていたとかそういう繋がりの記録があれば別ですが、どうもそういう情報も見当たらないのです。

ここでEDWARD社側から探るのではなく、ダンカンテイラー社側から見ていきます。ダンカンテイラー系列のブランドにウイスキーガロアーがあります。ウイスキーガロアーを取り扱っていた現地メーカーが、Brands Development (Worldwide) Ltd.
このメーカーはバッテッドモルトやブレンデッドウイスキーもリリースしており、原酒の出元はウイスキーガロアー同様にダンカンテイラーと考えられます。
Brands Development (Worldwide) Ltd.のリリースしていたブレンデッド銘柄は、「Glendarroch range」「Scottish Glory Superior Blend」「Glen Alba」・・・。

ん?
Glen Alba?


ご参考:http://www.scotchwhisky.net/independent/brandsdevelopment.htm

ba?

もう一度Glen Alvaを見てみると、vが崩れた小文字で、bに見えなくもない...。
なるほどただの見間違えか、ってそれならそれで良かったのですが、ラベルに写る渓谷は、スコットランドのAlva市を流れるアルバ川にあるローカルスポット、"Alva glenの滝"と思われます。
Alva市がローカルすぎてろくな情報がない中、短いながら比較的登り応えのあるトレッキングスポットとして紹介されています。

ご参考:http://www.walkhighlands.co.uk/fife-stirling/alva-glen.shtml

ちなみにGlen Albaは庭園の名前で、ラベルに書かれた滝の景色とは無関係と考えられます。
もうここまで来るといっそすがすがしささえあるのですが、これはbとvの見間違えか、AlvaとAlbaで日本語読みが同じことからくる情報伝達での誤認なんじゃないでしょうか。
仮にそうなると、Glen Alvaのほうはどこぞの何とも出元もわからぬポッと出の零細ブレンデッドということになります。
いや、もちろんリリースの流れの中でvからbにスペルが変わったという可能性もあります。すべてはエドワード社とダンカンテイラー社の関係次第。

今回の考察はここでいったん終わりとしますが、本件について情報をお持ちの方、おりましたら是非教えてください。

【BAR訪問】サロン ド シマジ本店 @広尾

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突然ですが、島地勝彦氏についてご存知でしょうか。
「もちろん」という方は特に男性陣に多いでしょう。ウイスキードリンカーであれば、髑髏マークのシングルモルト、サロン ド シマジシリーズで名前を知っている方も多いと思います。
元集英社インターナショナル代表取締役であり、週刊プレイボーイ編集長時代は同誌を100万部雑誌に育て上げるなど伝説多数。作家に転身した現在は、多くの連載を抱える文豪として活躍。これまでの経験、人脈などからファッションのみならず多彩な嗜好品に通じる、まさに男が憧れる男の一人です。
島地先生は執筆活動の傍らで、伊勢丹新宿店で自らプロデュースするサロン、サロン ド シマジに併設されたBARに立ってシェイカーを振られています。出勤日である土日のサロンは常に満員だと聞きます。
そのサロン ド シマジには、伊勢丹とは別に、特別な友人やVIPのみが招かれる"本店"と呼ばれるスペースがあります。
300本近い開栓済みのシングルモルトウイスキー、極上のシガーにアンティーク、趣味の逸品がそろう仕事場兼プライベートスペース。今回大変光栄なことに、新宿伊勢丹店の常連であっても訪問できる人は少ないという本店に、ウイスキー仲間のTさん繋がりで訪問する機会を頂きました。


まずは広尾のイタリアンレストラン、オステリア・ルッカで食事を兼ねて島地先生と待ち合わせ。
このレストランにはオリジナルメニューである"シマジコース"とランチメニューの"シマジスペシャル"があり、先生は3日と開けずに通われているとか。
店で焼いているという塩パンは、きめの細かい生地のふわりと柔らかくなめらかな舌触りに、カリっと香ばしい外側の焼き目、そこに塩のうまみが加わってこれだけで食べていける。オリーブオイルとの相性も抜群でおかわり自由が嬉しい。
コースはうまみのしっかりあるフランス産の鴨のカルパッチョから始まり、土の香りと野菜そのものの新鮮な味わいが、体を中から綺麗にしてくれるような採りたて野菜のサラダ、削ったカラスミが贅沢にかかったアスパラのパスタは後述する食中酒との相性抜群。デザートには、クリームのように柔らかいバニラアイスとフルーツの盛り合わせ。
食中酒はタリスカーと山崎プレミアムソーダのハイボール、黒胡椒を専用ミルで3プッシュするタリソーペッパー。食後の紅茶はもちろんサロン ド シマジ、オリジナルブランドです。
若干緊張してしまいましたが、Tさんの合いの手もあって、しっかりと堪能させていただきました。

レストランやメニューの詳細※は、こちらで詳しい特集がされています。
日経レストラン オステリア・ルッカ 「百年の店、百年の言葉」
http://nr.nikkeibp.co.jp/hyakunen/20120606/index.html
※今回のメニューとは若干異なっています。


食事を終えた後はいよいよ本店へ。
店から徒歩5分程度のところにあるマンションの一室。
正直、これまで趣味に生きる方々の部屋を多少なり見てきた経験から、よほどのことでは驚かないのですが、これは感嘆の声が漏れてしまいました。
ボトルの本数もさることながら、そこかしこに置かれているモノの質ですね。良いもの、評価されるようなものはそれだけでオーラを纏うのですが、内装・小物に拘るBARのそれと同じ空気を感じます。


早速、今回ご招待いただいたお礼もかねて、お土産のボトルを進呈。
先日ブログでも記事にさせていただいた、白洲次郎の個人輸入、ストラフォード伯爵からの贈り物。オリジナルラベル付きのブラックボトル1960年代流通です。

ご参考:ブラックボトル1960-1970年代流通 "白洲次郎氏が愛したウイスキー"

http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1034229730.html


島地先生はシングルモルト愛好家で、サロン ド シマジ本店には基本的にブレンデッドウイスキーは無いそうですが、今回あえてお持ちしたのはレアリティもさることながら、ボトルが持つバックストーリーゆえ。
事前連絡の中で「楽しみにしている」と言われていた手前、状態だけが心配でしたが、見た目同様にバッチリで、当時のブレンドらしいコクのあるまろやかな風味が堪能できました。ピート香はそれほどでもなく、やはりブナハーブンとハイランドモルト主体だなと。開封時でこれなら今後はさらに開いていくと思います。
おそらく今後来店されるであろう方々の中には白洲次郎ゆかりの方もいらっしゃるでしょうし、このボトルはこの場所で飲まれてこそ光るのではないか、そのために自分の手元に来たのではないかとすら感じています。

この他、いただいたシガー、ポールララナガ・アジアパシフィック向けを燻らせ、柔らかく上質な煙を楽しみつつ、惜しげもなく出てくる銘酒の数々と、男の趣味な会話を堪能しました。
「知る悲しみだよな」なんて名言も飛び出して、やはり男の人生の彩りは、趣味あってこそですね。
シングルモルトはダンカンテイラー・タンタロスシリーズのポートエレン30年やリミテッドエディションのブローラ35年、日本未発売というタリスカー34年が平然と出てきてテンションが上がります。
そのほか、マッカラン1946、1949のデキャンタセットも圧巻でした。自分の好きなクラガンモア21年リミテッドエディションがあったのも嬉しかったですね。水はもちろん母なる水、スペイサイドウォーターです。
この辺りは個別に記事にまとめていきたいと思います。
楽しい時間はすぐに過ぎるもので、話を堪能しながら飲み進めてあっという間に解散時間となってしまいました。
いろいろお聞きしたいこともあったのですが、考えていたことの半分以上消化しきれなかった感はあります。しかし次回のお話もいただくなど、大変光栄な機会を満喫しました。
男たるもの、こういうカッコイイ歳の重ね方をしていきたいものです
自分が将来こうあれるか、多くの方が魅力を感じ、惚れ込む理由の一端を見たように思います。

余談ですが、サロン ド シマジ シリーズのモルトウイスキーは、今後、グレンファークラス、トマーティン、バルブレアがリリースされるそうで、ウイスキーラヴァーとしてはこのリリースも今から楽しみです。
島地先生およびTさん、ご一緒したKさん、Sさん、本当にありがとうございました!


タムデュー19年 (1989-2009) ダグラスレイン オールド&レア

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近年系のシェリー樽熟成ウイスキーは1970年代以前のそれと大きく味が異なりますが、近年モノであっても、かつての風味と同じ傾向の味わいを出すボトル が稀にリリースされます。
このタムデューもその1本で、リリース当時モルトラヴァーの間では話題になっていたようですが、2009年はまだ1960年代も飲めたので、自分なんかはイマイチありがたみも分かっておらず。
当時のシェリー樽熟成のウイスキーを思わせるフルーツ感があり、嫌味も少ない。こういうリリースが増えてほしいと願わずにはいられない、 オールドスタイルの濃厚シェリー樽熟成ウイスキーです。

Old & Rera
TAMDHU
Aged 19years
Distilled 1989
Bottled 2009
700ml 55.8%

暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:艶のある濃い甘さ、黒蜜にレーズン、プルーン、ドライフルーツの甘酸っぱさが香り、徐々にコーヒーを思わせるビターなアロマへ。

味:濃厚で香り同様に濃い甘さ、嫌味の少ないシェリー感に、レーズンやベリージャム系のフルーティーさ、オールブラン、カカオ多めのチョコの少し粉っぽい舌触りも感じる。
余韻は染み込むようにビターなタンニンとベリー感。長く続く。

らしさはともかく、総合的に良くできたシェリー系ウイスキー。そもそも
どこからこの樽が出てきたのか、何が違うのか実に興味深い。樽違いもあるようで、味の違いも気になります。(樽違いは57.1% 235本ボトリング。)
少し粉っぽさが感じられましたが、昔懐かしい風味があり、こういうのを近年蒸留モノで飲むとジーンときちゃいます。葉巻と合わせても威力を発揮しそうです。

タムデューのハウススタイルと言えば・・・あまり際立ったモノはありませんが、麦芽風味ですね。モルトウイスキーの基本的なスタイルとも言える構成の一つで、味付けしだいでなんにでもなるような、そんな印象を受けます。ブレンデットウイスキー用の原酒として相当量使われているのも納得です。
そのタムデューのオフィシャルシングルモルト(1970から1980年代前後流通)はバランスの良いシェリー樽風味の構成でした。今回のボトルは、オールドスタイルのタムデューを形作った原酒の一つと言えるかもしれません。

スペックだけ見ればタムデューらしい麦芽風味が圧殺されて、そこにゴムや生臭さの感じる近年濃厚シェリー仕上げとか、すいません何の罰ゲームとか思ってしまった自分がいます。大変申し訳ない、見かけで判断してはいけませんね。

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