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2015年04月

ハウスオブピアーズ 22年 1980年代流通

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そういえば去年の今頃は仕事でイギリスに行ったんだっけなー。
ウェストミンスターが印刷されたボトルを見て、ふと懐かしくなりました。
レギュラーラインナップでブレンデットの12年は昔飲んで、まぁこんなもんかという感じでしたが、22年はブレンデットモルトだったので購入してみました。
 
HOUSE OF PEERS
Years 22 Old
Finest scotch malt whisky
43% 750ml
IMG_1735
 
評価:★★★★★★(6)
 
"品の良い青さのある麦芽香、乾いた牧草、バナナチップスやドライパイナップル、徐々に蜂蜜の香り。微かにメンソールとスモーキーさ。全体的に香りが強く(濃く)、複雑で厚みのあるアロマ。
口当たりはスムーズでカスタードを思わせる甘さと麦芽風味、レモンピール、香り同様に厚みがあり、徐々にピリピリとしたスパイスも感じられる。
フィニッシュは柔らかいスモークと粉末のカカオを思わせる苦味。あっさりしている。”
 

ハウスオブピアーズは、OMCで有名なボトラーズであるダグラスレイン社が作っていたブレンデット。
(現在は、2013年のダグラスレインとハンターレインの分割により、ハンターレイン社の製造となっています。)
元々ダグラスレインはハウスオブピアーズやキングオブスコッツなどの銘柄をブレンドしていたブレンド会社で、確保していた原酒をシングルモルトに使い始めて今に至る。このボトルの流通時期はラベルデザイン(同ラベルでリリースされた25年に、1955年蒸留の表記がある)などから推察するに、1980年代流通。原酒的には1960年代蒸留で、ブレンド会社として活動していた当時のモノになります。

味は12年のベクトルの延長線上、マイルドで麦芽系な飲み口。しかし比べ物にならないくらい複雑で、濃さがある味わいです。
香味にある青さが好みを分けると思いますが、そうでなくても原酒の質の高さは感じられるはず。厚みがあって引き出しが多いというか。評価は★6か7で悩みました・・・。
ハーフショットではなくフルショットで、じっくり時間をかけて飲んでほしいですね。


ちなみに構成原酒は不明(笑)。
もうすがすがしいくらい不明で、ハイランドモルトを中心にブレンドとしかわかりません。
 
ダグラスレインのリリース傾向を探れば、なんて思いましたがそもそも手広すぎるので探りきれず。
味からすれば品の良い青さに麦芽系ですから、タリバーディンとか、インペリアルとか、後はスペイも含まれるならファークラスとか、その辺かなぁという感じもします。
 
このボトルはノーマークも良いところなので、ビンテージから考えれば格安で手に入りました。
みんなの感想を聞いてみたいです。

4月中旬のウイスキーニュース ~グレンリベットナデューラがシェリー樽へ切り替え、マッキュワン氏引退 他~

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新蒸留所の話の続報が出るかなーと思ったら、この期間のニュースはニューリリースが中心でした。
今回のトップはナデューラの切り替えですかね。
バーボン樽熟成のモルト好きに指示されていた、高い完成度に定評のあるグレンリベット・ナデューラがシェリーカスクに切り替わるニュース。
先行して海外では販売されてましたし、前から聞いてはいましたが、実際に発表されると衝撃ではあります。
 
 
【トップニュース】
・ブランド初、シェリー樽熟成原酒だけのナチュラルなモルト、ザ・グレンリベットから(4/18 エコノミックニュース)
 
ナデューラの名前の意味を考えると、人工的な要素の強いシェリー樽でもその名前を引き継ぐってことに違和感がどうしても付きまといます(笑)。
使われるシェリー樽はスペイン・ヘレス製で、1stフィル100%とのこと。って1stでも2ndでもシェリーは人工的に味付けてますから、ナデューラとはいえないよなぁと。
そしてもう一つの違和感が、そもそもウイスキーは高価になってしまったシェリー樽から、安価で安定して手に入るバーボン樽にシフトしたのに、なぜシェリー樽に戻すのかということ。ナデューラに関しては人気もあるので、無理に戻す必要は無いわけです。
考えられる可能性は、シェリー樽熟成というブランドイメージでさらにシェア拡大を狙うか、あるいはシェリー樽はシェリー樽でもウイスキー熟成用にボデガで製作している疑似シェリー樽のほうが、製造から入手までが短期間かつ安定して入手できる状況になっているか。
前者はバーボン樽のラインナップを終売する理由にはならないですし、近年のボデガの動きを見ると後者なのかなぁという感じはします。
バーボン樽はウイスキーに使われるようになるまで4年~5年はかかりますが、疑似シェリー樽ならシェリー溶液を入れているシーズニングの期間が短ければ短いほど短期間で仕上がりますので、工場さえ決まれば安定供給出来る形をグレンリベットは作っていたと考えられます。
 
これが悪いとは言いません。ようするに大切なのは味です。
この新ナデューラはまだ飲めていませんが、飲んだことがあるウイスキー仲間は好印象だったようです。

FLAVOURS_NADURRA_NO
(引用:グレンリベットWEBページから http://www.theglenlivet.jp/the-whisky/?rg=na&y=no
 

【ピックアップニュース】
・マッサンが縁…堤真一さん「ウイスキー大使」に(4/23 読売新聞)
 
ドラマが終わってサントリーが静かだなぁと思っていたら・・・販売巧者というか、やっぱりという動き。
マッサンでは鴨居の大将こと、いわゆる鳥井信治郎氏をモデルにした登場人物を演じていた堤真一氏を、サントリースピリッツ社のウイスキー大使に起用して、商品等のPRを行っていくというもの。
ドラマで高まったお茶の間認知度、知名度を使うのにはこれ以外無い人選です。
というか、以前から開催していた出来レース感満載のウイスキーヒルズアワードに比べたらよっぽど・・・(以下略)。
 
ここでアサヒ(ニッカ)も追従したら面白いですが、あまりにも露骨なんでやらないかな。
こういうことを先立ってやる、サントリーらしいですよね。
 
 
・マッサン効果は今も!氷点下のハイボールが人気にニッカウヰスキーのチーフブレンダーが胸を張っておススメする理由(4/22)
 
サントリーの話があったらニッカのニュース。
ブラックニッカクリアブレンドのフリージングハイボールの話です。
スーパードライ・エクストラコールドの技術を使って作られた、凍る温度ギリギリのキーンと冷たいハイボール。
アルコール感も抑えられて、ごくごくとビール感覚で飲めてしまう。
そのためビール以上に酔うワケで、夏場は特に飲み方に注意しないといけない商品です(笑)。
 
まあ特にニュースでもない特集記事ですから、ピックアップしなくても良かったんですが、読んでいて昨年からひっそりと販売されていたディアジオの新製品、オールドパー・シルバーを思い出したので、こちらで合わせて掲載します。
オールドパー・シルバーは九州地区限定で昨年10月から販売されていました。
まぁ限定といってもWEBでは通販可能ですし今更感あるのですが、このオールドパー・シルバーがこの度全国展開されるそうです。 (4/23日現在で、すでに八重洲に並んでました。)

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香味を残すためにノンチルフィルターを仕様にするボトルが増えている昨今、あえて強烈にチルフィルターをかけることでクリアな味わいとしたのがこのボトル。オススメの飲み方は"キンと冷やして1:3のハイボール"だそうです。
うーんどこかで見たような話ですね(笑)
まぁ確かに、何でもかんでも香味を残せば良いってモノじゃないですし、そういう方向性もアリだなと。
九州でBARを営業されている知り合いからの情報では、中々イケるとのことです。


・Distilling legend Jim McEwan to retire in July(4/22 ブルイックラディWEBページ)
参照:http://www.bruichladdich.com/article/distilling-legend-jim-mcewan-to-retire-in-july

ブルイックラディのジムマッキュワン氏が今年の7月に引退されるそうです。
2012年に同蒸留所がコアントローに買収された際にも引退を宣言していましたが、その後撤回。
なんか宮崎駿みたいですが、お歳でもありますし、今回は本気のような気がします。
(まぁイベントとかには来るんでしょうw)


ジム氏については、ボウモア蒸留所の蒸留機にレモン石けんを投入して魔の時代をもたらし、それに満足せず再稼働させたブルイックラディ蒸留所もかつての清楚で瑞々しい果実感があった味わいを、荒々しくピーティーで、その最たるものとしてオクトモアというピート水まで世に送り出し、またしてもレモン石けんを求めて「殿!ご自重ください!」として干された奇才中の奇才。
というのはウソと誇張にまみれたアンサイクロペディア的な表現で
実際のところ彼の功績は偉大です。蒸留所再稼働から始まって、麦芽から蒸留方法、樽に至るまで多くの試験的な取組の数々、まさにミスターウイスキー。レースカーをラディのスピリッツで走らせるなんてアホなこともやってましたね。
商売っ気が強い印象がありましたが、その強さが衰退していたブルイックラディをここまで復活させたと言っても過言ではありません。

試験的なリリースの多かったラディですが、彼が仕込んだ"20を越える遺産"はまだ熟成中とのこと。
今後はレジェンド"マッキュワン"シリーズとしてリリースされていくことでしょう。
 
 
【その他のニュース】
・アードベックデー、2015年は5月26日。200周年記念ボトル販売情報も。
参照:https://www.facebook.com/ardbegjapan?fref=ts (4/22 FBアードベックのタイムラインを参照)

→毎年5月最終週に開催されているアードベックデー。今年は5月26日にイベントを開催するそうです。
200周年記念ボトルの販売開始もあわせて告知されていますが、実際はアードベックデーの前n・・・(うわまてやめろ何をする ・・・
きになるお値段は意外と良心的な設定(禁則事項のためこれ以上は)がされており、味からすれば相応って感じです。
200周年ボトルの紹介はこちら

・NY流ウイスキーの愉しみ方。業界の牽引役に聞く(4/22 マイナビニュース)

→ドラマで火がついてるのは日本だけじゃないんですね。また24とかみたいに日本に入ってくるのかな。 
 
・シングルモルトのロールスロイス「ザ・マッカラン」の限定モデル登場
 
→中身以上に外側が高いボトルw 誰が買うんだとか話題になってますが、世界規模だと普通に居ますよこれくらい買う人は。
また、都内の某BARもがっつり買われるとか・・・。
確かに以前売られてた1本50万のマッカランとか、今ヤバイことになってますからね。これはもう資産です(笑)

カヴァラン ピートカスク 2015年ボトリング

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評価急上昇中のカヴァラン・・・というより、そろそろ頭打ちになってきたかな?w
日本には入ってきて居ませんが、現地で販売されているピーテッドカスクのサンプルを頂きましたのでテイスティングです。
実はこのボトルを飲むのは3度目。1度目はメインモルトで、2度目は持ち寄り回で中身がオッサンだけど素敵な女性から、そして今回が3度目。
とはいえ家でじっくりってのはありませんでしたから、ありがたいことです。

KAVALAN
Distillery reserve
PEATY CASK
Distilled in 2007
Bottled in 2015
55% 300ml

nzuF-4OA

評価:★★★★★(5)

”鋭いアルコール感、松の木のような木香に加えて粘性のある熟したパイナップル、シロップ漬けのチェリーのような甘いアロマ。
口当たりはオイリーでパワフル。熟したオレンジを思わせる果実感、紅茶、乾いたオーク材、微かなえぐみ。
後半はピリピリとしたハイプルーフらしい刺激とピートが現れて、フィニッシュに繋がる。
余韻ははピーティーでべた付きが無い。フレーバーはすぐに消えてあっさりとして短い。
加水するとアルコール感は和らぐが、バランスが向上する印象は無く引き出しは少なめ。”

 
ピートカスクといいながら、体感的にはライトピートという構成。
第一印象としては、新樽長熟の余市や、ハイプルーフのバーボンに共通するフレーバーがいくつかあるなという印象を受けました。
特に全体を通して感じられる新樽のような木香、エステリーさと松の香りが混じったような香味がそれ。
(神戸の巨匠はベンリアックに似てるんだよ、樽使ってるのかなぁ。とも言ってました。)
ボトル単品で見れば、カヴァランらしくまとまってるシングルモルトだと思います。
 
さて、ここから先はカヴァラン蒸留所に関する全体的な印象の話になります。
カヴァランに対する評価は、若いのに、アジアなのに、というネガティブからスタートしてプラスに至る、
言わば不良が子猫を助けたみたいなものです。勿論単体で純粋に評価しても出来の良い蒸留所であることは否定しませんが、
では、この「若いのに」という要素が消えたらどうなるのか。
 
カヴァランが作りわけをしていれば可能性も残りますが、今の原酒はその蒸留所の時間軸で言えば決して若いというわけではなく、10年未満のこの状況が一つのピーク、これ以上熟成させても樽感が強くなって度数が落ちていくだけかなと感じます。
それは詰めている原酒の性質や熟成方法によるところで、ただ寝かせれば旨くなる訳でも無い、難しい話です。
 
蒸留所毎の将来性と期待値は、また追って記事にまとめようと思います。
 

アードベックTEN 現行品

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久々にアードベックTENの現行品を飲みました。
例のハイランドケルトを再現するんで注文したものですが、折角だから混ぜる前に飲んでおきますかねと。
ちょっと前は酸味や雑味が結構ある印象でしたが、意外とスムーズな飲み口に驚きました。

ARDBEG
TEN Years old
700ml 46%

評価:★★★★★(5)

"スモーキーな香り立ち、乾燥した草、塩素、透明感があって海を連想するアロマ。微かにエステリー。
口当たりはオイリーでスムーズだが少々水っぽさも感じる。塩分、クラッカー、徐々にアーモンドナッツのようなビターな香ばしさ。
フィニッシュはドライでピーティー、微かに乾いたオーク材の香りも伴う。"


熱狂的に支持されてきたという割に、閉鎖と休止の多かった蒸留所でもあるアードベック。まぁ大人の事情ってヤツがあるんでしょう。
バランタイン魔法の7柱の一つであり、特にオールドボトルでは飲む人を虜にするピートフレーバーで、ともすれば同じ味になりがちなブレンデットにおいて孤高の個性を生み出すことに貢献していた原酒。
(最近は魔法の7柱が崩壊して、しれっとラフロイグになっちゃったりしてますが。)

ラムズデン博士は「かつてのアードベックのフレーバーを再現するように努力した。」とのこと。
久々に飲んで、なるほど確かにこの序盤の柔らかさから広がるピートフレーバーは全盛期として評価されている1970年代を意識していると言われれば納得です。
こちらの方が香味は薄いですが。先日飲んだ200周年記念ボトルとも共通する構成です。
中間が軽いのは麦、原料由来のところなんでしょう。現行品としては値段も手頃で良く出来たバランスのウイスキーだと思います。

ベンリネス21年 リミテッドエディション 2014年ボトリング

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MHDニューリリース紹介、多分飲んだ中ではこのボトルが最後になりました。
・・・というか、単に普通に忘れていました。掲載するの(笑)。いやー意識が飛んでました。
もちろん忘れたからといって、軽んじる出来のボトルでは無いことを冒頭で述べて、紹介に移ります。
 
BENRINNES
AGED 21 YERS
Distilled in 1992
700ml 56.9%
  IMG_1681
暫定評価:★★★★★★(6)
 
"かりんとう系の香ばしい硫黄香を伴うリッチなシェリー香。焦がしたキャラメル、レーズン、木の香りもある。
口当たりも香り同様にかりんとうやザラメ付きのカステラ、微かにハーブ。スパイシーでパワフルだが原酒のボディの厚みはそれほどでもない。
フィニッシュはドライで樽材由来のウッディネス、ブラウンシュガー、舌に染みこむタンニンを感じる。"

シルクプリントとシンプルな紙ラベルの組み合わせが美しいボトル。
今回リリースされたリミテッドエディションの中で、唯一明確にシェリー樽らしい影響が出ています。
(リフィルのシェリー樽が使われたボトルはいくつかありましたが。)
飲めていませんが、メーカーコメントやボトル仕様を見る限り、ブローラもポートエレンも同様でしょう。
実際使われた樽は、ヨーロピアンオークのシェリー樽。ボトリング本数2892本、ナチュラルカスクストレングスの構成ですから、全てバットであっても最低7樽前後のバッティングということになります。

味は硫黄感が少々気になりますが、全体的には生っぽい嫌味な味も無く、よくまとまったボトルだと思います。この辺は流石ディアジオといったところですね。加水は試していませんが、ストレートのままのほうがいいような気がします。
ベンリネスはオフィシャルだけでなく、ボトラーズからのリリースも少ない蒸留所。今後も定期的にこういったボトルを出してくれれば、蒸留所の特徴を抑える上でのマイルストーンになります。
ただまあ値段はもう少し抑えていただきたいのですけど。

ちなみに、誰が書いたのか定かじゃありませんが、ディアジオの資料に書かれたこのボトルのテイスティングコメント。
難解な表現が使われるのはいつものことですが、このボトルに関しては更に極まってます(笑)。
いずれどこかのサイトに掲載されるかな? 

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