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2015年04月

謎のブレンデット デュークス・ディグニティー・ロイヤルブレンド

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オークションを眺めていると、素性不明でなんじゃこりゃと思うようなボトルがたまに出て来ます。所謂珍品珍味系。
ネットで調べても味はおろか素性も不明。じゃあ買って確かめてやろうじゃないかと、妙な使命感に課せられて落札し、結果中途半端なストックが増えていくワケです(笑)。
ただこれがハズレばかりかというとそうでも無く、アタリも結構ありました。それこそ当時は無名でしたが、今じゃ高嶺の花になったボトルもあります。
そうしたアタリを引いた時の快感が忘れられず、今日も掘り出し物を探す日々。
今回のボトルもそうした経緯で購入しましたが、味もさることながら、ネタ的にも二重の意味でおいしいボトルでした。
 
Duke's Dignity
The Royal Blend
Distilled 1983
Bottled 2001
43% 700ml
評価:★★★★★(5)
 
"ドライでスーッとするアルコール感にカラメルやカステラの甘みを感じる香り立ち。微かなスモーキーさと木材のえぐみ。
口当たりはスムーズでヒネたシェリーの甘さと程よいコク。香り以上に甘みが強く、そこにレーズンの酸味、焦がしたカラメルソースと麦芽風味が良いアクセントになっている。
スパイスの刺激は無く、フィニッシュはカカオ多めのチョコレートを思わせるまろやかな甘さと苦み。あっさりとしている。少量加水程度だとあまり変化は無いが、しいて言えば序盤の木のえぐみは緩和される。"
 
 
ブレンデットなのに、1983年蒸留、2001年ボトリングというビンテージ付き。異色のボトルです。
スムーズで飲み疲れない味わいで、逆にもう少しパンチがあっても良いんじゃと思うくらい。
ただシェリー感もほどよくあって、家飲みボトルとして重宝したという某氏の話も納得です。
その中身は1983年蒸留オンリーかと思いきや、裏ラベルには38種類の18〜26年熟成のモルトをブレンドとの記載。確かにウイスキーの熟成年数表記は一番若いものを記載するのがルールですが…、蒸留年までその整理を適用するかどうかはさておき、つまりは単純計算で1975~1983年蒸留のモルト原酒がブレンドされていることになります。
これは色も良いし期待出来るぞと、改めて表ラベルを読んでみると、
「...selected the Grain and Malt whiskies...」
 
( ゚д゚)どっちやねん!

もうめちゃくちゃです(笑)。
まぁ味はブレンデットっぽいので、表ラベルが正しいということなんでしょう。
これを詰めた株式会社碇萬年は、当時銀座で営業していた業務店向けの酒販企業。
2002年にいくつかの会社と業務提携したため当時の所在地に会社はありませんが、一応存在しています。
時期的に推察するに、この業務提携の記念か何かでプライベートブランドとして作ったモノと思われますが、加水のブレンデットなんてオーダー最小単位でも百本どころか千本単位になるんじゃないでしょうか。よく作ったなぁというのが本音のところです。

デュークス・ディグニティー、つまりデューク氏の威厳。
デューク氏はこのブレンドを作ったブレンダーとの記載、思えばずいぶん大層な名前をつけたものです。
ただその覚悟の表れか、味は当時から細々と評価されていたようで、浅草の某老舗BARや日本橋の大御所も使われていたそうです。

そしてここまで引っ張りましたが、最大のツッコミどころはボトル全体のデザインがモロ当時のOMCのパクリ疑惑。
これはやり過ぎじゃ無いかというくらいのレベルです。製作者に威厳、品位は無いのでしょうか?
面白いから良いですけどねw

Duke's Dignty

オルトモア21年 (1992-2014) よしのや&キャンベルタウンロッホ

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先日アランについて紹介した際、ボトラーズからは良く出る傾向にあると書いたバーボン樽熟成。ちょっと前にリリースされたその系統で、評価の高かったのが、このBBRのオルトモアでした。
味の傾向は大多数のバーボン樽熟成のスペイ・ハイランド系モルトと同じです。ただ、熟成のバランスが良いというか、完成度が高いというか、つきぬけはしませんが「あぁ、旨い」と飲める、そんなモルトに仕上がっています。
 
AULTMORE
BERRY BROS & RUDD LTD
(Specially bottled for Yoshinoya & Campbeltoun Loch)
Aged 21 Years
Distilled 1992
Bottled 2014
52.7% 700ml

評価:★★★★★★★(7)
 
"青りんごと蜂蜜、そして麦芽の甘く爽やかな香り立ち、微かに乾いた木のアロマ。スワリングすると天津甘栗を思わせる焦げた甘いオーク香も出てくる。
まろやかでコクのある口当たりからドライフルーツの濃い甘さ、バニラクリームとビスケット、後半に白桃のシロップ漬け。刺激は少なくスイスイと飲めるだけでなく、後半に広がりがある
フィニッシュはオークの香りと蜂蜜の甘さ、微かにグレープフルーツのワタの苦味、優しくドライで染みこむように残る。"


バーボン樽熟成の傾向としては、樽が小さいためど樽材の影響が強くなりがちで、ドライだったり、木香やアルコール感が強かったり、ギスギスした味わいになりがちです。しかしこのオルトモアは上述の通り非常にバランスが良く、オーク由来のドライさも、甘さも、全てが良いところに落ち着いています。

先日カヴァランのピーテッドのコメントの中で少し触れましたが、原酒は熟成させればさせるほどカドが取れて丸みを帯びてきますが、例外を除けば度数も下がりパワーも落ちていきます。
一方で、樽の影響は通常の熟成環境であれば経年と共に強くなっていきます。
これはシェリー樽にしろバーボン樽にしろ同じことですが、ただ熟成させれば良いわけではなく、樽の影響と原酒の変化に「適切な妥協点」を見つけるかが、熟成のピークの見極めなんだと考えています。

原酒の変化は入れられた樽の素性も少なからず影響を与えると考えられます。例えば木目が良い部分に当たったとか、樽の組み方の関係で他の樽より通気性が若干良かったとか。
そういう様々な要素の積み重ねが熟成期間中に作用して、たまたま今回のように21年の経過でこうした原酒が出来た。
味の要素はちょっと良いバーボン樽熟成のモルトという感じですが、この熟成のバランスは評価に値しますね。

原酒を選ばれたよしのやさん、キャンベルタウンさんには感服の一言です。
 

余談:
自分がテイスティングでたまに使う「桃のシロップ漬け」は、いわゆる桃の缶詰です。
白桃缶も黄桃缶も、それぞれウイスキーに共通する香味があると感じています。

アラサイド2周年パーティーなう

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今日は午後からアラサイドさんの2周年パーティーに来ています。
なので今回の記事は生中継です(笑)



昨年は入り乱れというかほぼ手酌というか、ものすごいカオスなことになった周年パーティー。
今回は自重しますと聞いてましたが、そんなことないよねーっていうかパーティーはカオスでナンボでしょw

本日のTAP、ゲストビール。

春というか初夏レベルの陽気でビールが美味いw
去年はもっと涼しかったと思うんですが、今年はアツイ。
TAP2のクロスファイアが正統派IPAって感じで良かったですね、2杯飲みました。

メシは昨年同様に瞬殺(´Д` )
シェフー!早く!メシを早くー!


ウイスキーも棚のボトルが飲み放題で、こういう時だから普段飲まないようなとこを経験しておきます。
シーバスリーガル現行品の25年。
12年がアレなんでスルーしていましたが、25年は流石の出来。
モルティーで華やかなフルーツ感がある、キースやキャパドニックの特徴がしっかりあり、長熟使ってるなあという印象を受けます。

ボウモアテンペスト・バッチ5。
実はまだ飲めて無かったんですが、バッチ4より熟成感というか濃い甘みがあって良い出来です。
これなら最近のボトラーズ買う必要はないなあ。

リカーズハセガワのグレンドロナック1995。近年シェリー系にしてはがんばってます。
もっとどぎつい感じかと思いましたが、バランスのいいシェリー感と爽やかな木香です。

とまあこれ以外にも色々飲みました。ヘパリーゼが大活躍です。
きっとこの後はラーメンで締めますが、これを見越して午前中はチャリでカロリー消費しておいたので抜かりはない!

いやー楽しいです。素晴らしい休日になりました!
めんどくさい客で申し訳ないですが、今後もお世話になります。
2周年おめでとうございます!

ジョニーウォーカー赤ラベル 特級 1980年代後期流通品

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 そろそろブログ再開して2ヶ月になりますし、記事も一定量溜まったので深夜営業に誘導記事でも出しておくかと、久々にウスケバのほうにアクセスしました。
もう何年も前のテイスティングコメントや記事内容は、なんというか別人が書いた記事のように感じます。
味覚嗅覚、感覚全般が今とは違うワケですから、そりゃーそうなんですけどね。
そういう背景もあって当時の記事をこちらに移設してくるつもりはありませんが、一部こちらに移したいモノもあります。
 
その一つがジョニ赤のまとめ記事。
おっさんの顔の違いが面白かったのが印象的でした。
ちょうど先日ジョニ赤の特級を飲みましたので、記載内容を移設しつつコメントをまとめます。
 
Johnnie Walker
Red Label
1980's
750ml 43%

ジョニ赤1980年代後期流通

評価:★★★★★(5)
 
”粘性のあるシェリーやカラメルの甘さ、ドライパイナップル、微かにスモーキ-。金属っぽいオフフレーバーも感じる。
モルティーで粘性がある口当たり。ヒネた甘さが濃く、サルタナレーズンの甘酸っぱさと麦芽の風味も感じる。
フィニッシュは序盤の甘さからタールのようなピートがほどよくビターな余韻として長く残る。
ストレートも良いが、やはりこの年代のジョニーは赤、黒ともハイボール要員としてプッシュしたい。” 

ウイスキー特級表記のみ、通関コードも無いボトルで1980年代の末期、つまり特級時代の終了間際の頃の流通と思われるボトル。今更特に語る要素もありませんが、ブレンドとしてバランスの良い味わいです。
口開けで頂いたため、微かに金属臭や香りも少しこもったような印象があったものの、あの程度なら時間経過でひらくでしょうから、1週間ほどすればさらに良くなると思います。
流石ビックネーム、世界のジョニーとういか、当時それなりに大規模展開していた中でこれだけのクオリティを維持していたのは、賞賛に値するレベルです。


以下は深夜からの移設内容。
ジョニーウォーカーレッドラベルは時代が古くなると、ラベルの歩くおじさんの絵が濃くなるという話を検証した部分です。

ジョニーウォーカー1980年代後期
1980年代後期。
(今回のボトルと同じものです。良い笑顔ですね~、世界中で売れて笑顔がぽろぽろ出ちゃう感じでしょうか。)

ジョニーウォーカー1970年代後期 
 1970年代後期~1980年代前半
(確かに濃くなりました。下半身のぴっちり感が強調されてなんだか不思議な気分になりますが、表情は紳士って感じですね。)

ジョニーウォーカー1960年代
1960年代以前・コルクキャップ時代
(濃っ!!なんかふっくらしてますし、ニヤリと笑った表情に流し目「お嬢さん一杯どぉ」みたいな感じでキモイです。)

と、当時の記事は1960年代の比較で止まっていました。
更に古い1950年代はどうだったのか。もちろんその後入手しています。
 
これがそのボトル。
 
ジョニーウォーカー1950年代
右から1970、1960、1950ですが・・・変わってませんねw。
(液面が右から左にかけて下がっていってるのも、経年を感じさせます。)

では1940年代はどうか。
流石に手に入れてないんですが、WEBで調べると昔の広告の写真がありました。
定位置からおじさんが消えていて、別枠で貼られていたようです。なんつーか、デカイw

1940-Johnnie-Walker-Get-and-give-the-right-Holiday-Spirit
以下より引用。 
http://blog.digitalpostercollection.com/added-few-johnnie-walker-whisky-posters-and-ads-to-www-digitalpostercollection-com/
 

面構えは輝く笑顔が60年代より紳士的な感じです。
定位置にある紋章からキングジョージのワラントをもらってるようで、そりゃ紳士的にもなりますわな(笑)。 
引用したボトルの広告はアメリカ向けのもの。禁酒法開けのアメリカ市場にチャンスを感じていたのでしょう。
 
そういえば以前のブログでは、味の比較はしないで終わっていました。
1950年代クラスになるとロット差、個体差が大きいので一概に言い切れない部分はありますが、傾向はあります。今度は年代別にキッチリまとめていきたいです。
 

5000円以内でオススメウイスキー 「アラン12年カスクストレングス」

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先日、グレンリベット・ナデューラの熟成樽切り替えのニュースを記事にしました。
バーボン樽からシェリー樽に変わりますよ、という話です。

バーボン樽熟成のウイスキーには、オーク香に分類されるフルーティーさや、バニラ・蜂蜜のような甘さが出る傾向にあり、ちょっと前までそうした特徴があるボトルといえば、
「グレンモーレンジ アスター」「グレンリベット ナデューラ」
この2本がオフィシャルとしても、コスパという点でも高い評価を得ていました。

ただ、時代は変わりゆくもので、気がつけば2銘柄とも終売、表舞台を去ってしまいました。
加水ではいくつかあるのですが、ハイプルーフというと限られてきます。
ボトラーズからは頻繁にこの手のタイプのリリースはありますが、基本1万前後で中々手を出しにくい。
何かお手頃で良いバーボン樽熟成のウイスキーはないものかと酒屋を見渡していて・・・ありました。
コイツの存在をすっかり忘れていました。
前置きが長くなりましたが、今回は5000円以内で買える"バーボン樽熟成のウイスキー"として、オススメの1本です。


アラン12年 カスクストレングス
ARRAN CASK STRENGTH
Aged 12 years
Batch No,4
53.2% 700ml
価格:4980円

アラン蒸留所は素直な麦芽系の酒質であり、後は樽さえよければ良いウイスキーが出来る、下地の整った蒸留所の一つ。
麦芽に拘っているだけでなく、蒸留設備も小規模で、良い意味で小回りの利く開発が出来ているのでしょう。
ここ数年はオレンジアランを筆頭に、良質なオーク香主体のウイスキーをリリースしています。

この12年カスクストレングスも、ドライなオーク香、蜂蜜や麦芽の強い香りに微かなハーブのアクセント。
口当たりは粘性があるがフィニッシュはドライで強めのウッディネスと蜜のような甘さ。ハニージンジャー、ドライパイナップが中間で感じられ、加水すると麦芽の香りが引き立ち、フィニッシュも伸びる。
味を比較すれば、8000~10000円クラスのボトラーズに匹敵する完成度であるように感じます。

少し薄めでハイボールにすると、爽やかな木香が心地よい1杯としてこれからのシーズンにマッチした1杯に。
少量リリースで多くは市場に出回らないため、専門店が近くに無い方はネットでの購入が中心になると思いますが、ポスト・ナデューラとしてオススメの1本です。

取り扱いショップ一例。
アラン12年カスクストレングス(リカーズハセガワ)
http://www.liquors-hasegawa.com/SHOP/13410.html

※ショップによっては5000円を越えてるところもあります。

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