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新型コロナウイルスの感染拡大。。。いやもう、前置きは不要でしょう。とにかく、ヤバい。特に我々お酒を趣味とする人間の心のより処といえるBARがヤバい。人が街に居ない状況で、人が来なければ商売にならないBAR等の飲食店は、極めて厳しい状況に置かれています。

そうしたBARをお客側から支援するシステムとして、料金の先払いを可能とする取り組みが注目され、いくつかのサービスが動き出しています。
今日の記事ではそうしたサービスや、各店舗の取り組みについて、現時点で自分が把握している範囲のものを紹介していきます。
※もし、こういう取り組みもある、という情報がありましたら、コメントやメッセージにてお知らせください。店舗独自のものでも問題ありません。


本記事の内容
・BAR予約チケット(レモンハート、ウイスキーフープ)
・ボトルキープ代行サービス(Bottle keep Tokyo)
・その他各店舗毎の取り組み、酒類テイクアウトについて(新宿ウイスキーサロン&BAR LIVET、BAR Tenderly)

この手のサービスは「情報が知られなければ支援が行われない」、「見知らぬ店舗を利用者が支援する可能性は極めて低い」ことから、常連による支援・周知が重要です。是非なじみの店が掲載されていることや、システムの利用をSNSを通じて呼び掛けてほしいです。
また長期的な支援を呼び込むため、店舗側も、予約チケットは必ずしも通常の会計で使うことを前提とするのではなく、定期的に新しい情報や、”いくら分でこのサービスが利用できる”といった、独自のメニューも打ち出してほしいです。
事態が終息した後で美味いお酒とBARがもたらす特別な空間、一時を味わうため、みんなで協力できればと思います。


■BARレモンハート 予約チケット販売
まずは先日、当ブログでも紹介させていただいたBARレモンハートさんの取り組みです。(該当記事はこちら。)
掲載されたBARの予約チケットの販売を代行するもので、料金は1口1000円※から。支払い方法は、カード、振り込み、どちらでも。売り上げは定期的にまとめて当該BARに支払われ、チケットは後日紙のものが購入者のもとに郵送されます。(チケットと引き換えで代金が振り込まれるものではありません。)
WEBショップへのBARの掲載について、特に取引実績などの基準はなく、申請があれば12時間以内に掲載。現在は以下の11店舗が掲載されています。

トップ画像BARチケット販売

BAR レモンハート 飲食店チケット
掲載店舗(4月11日時点)
・&BAR Old⇔Craft
・BAR 夜さり
・BAR CALMKNOT
・BAR Espace Rassurant
・BAR Prima
・BAR Tail
・BAR 新宿ウイスキーサロン
・BAR LIVET
・BAR Scotch & Branch
・Shot Bar Hangout

※チケットは本来非課税販売ですが、レモンハートのサービスは消費税分を含めて各店舗にチケットの売り上げが入金される建て替え的な方式であるとのこと。そのため、該当チケットでの飲食分については利用時に消費税が不要となります。
また、売上金は各掲載BAR毎の希望日、期間を設定し(例えば毎月1日に振り込み、等)、定期的にまとめて先払い金が振り込まれます。


■The Whisky Hoop "Support the BARS"
 日本発の会員制ボトラーズグループであるウイスキーフープが、「料金先払いチケット」を扱うサイト、"Support the BARS"を立ち上げました。
基本的な流れは上記レモンハートのものと同じで、特定のBARで利用可能なチケットの販売を代行し、該当店に売り上げが支払われるサービスですが、掲載BARはウイスキーフープの加盟店に限られています。

それでも流石、日本発にして最大規模のボトラーズ。ウイスキー界隈の有名店含めてかなりの登録数です。販売代行のため、通常営業ならカードを使えないお店まで。。。
同サイトでのチケット料金は1口10000円(非課税)で、支払いはカードのみ可。チケットはPDFでEチケットとして発行され、メールで購入者へと届くシステムとなっています。

Whiskyhoop

Support the BARS
掲載店舗
・Bar Main Malt 
・BAR キャンベルタウンロッホ
・ヘルムズデール
・BAR パークモア
・Bar Rosebank
・ミンモアハウス
・Ginza Zenith
・BAR Te・Airigh
・shamrock
・OAKs
・KEITH
・Wine & Highballつちや
・Bar Higchi 
・BAR Luckenbooth
・BAR Reload
・Bar Nadurra
・Albion's Bar
・バー 歩古ホール
・Bar MOTHER'S
・AUTHENTIC BAR Brownie
・Malt Bar Kirkwall
・焼鳥こにし
・コーヒーバーカレッジ
・BAR LIVET
・新宿ウイスキーサロン
・ショットバーNEAT
・Bar TOWSER
・Bar Smoky
・Bar オードヴィー
・Bar Skye
・Cask Strength
・水楢佳寿久
・WODKA Tonic
・MALT Bar BAGUS
・Sandy Macdonald
・Sightglass


■WEBから出来るボトルキープ”Bottle Keep Tokyo”
チケット以外にもうひとつ、先行販売の選択にあるのがボトルキープ。これは古くからある立派な先払いのシステムです。
このボトルキープの販売を、東京、大阪、神奈川、茨城、福岡、宮城、埼玉、千葉の8都道府県において代行するシステム”Bottle Keep Tokyo”が、4月14日にオープンするそうです。

詳細についてはまだ確認できていませんが、ボトルキープの代行以外に、登録したBARの在庫情報や、利用者からBARへのメッセージなども発信する、BARとお客の相互リンクのようなサービスになる模様。
現在、オープンに先立ち登録店舗の募集が、以下のサイトにて告知と共に行われています。

Keepbottle
当該サービスサイト:https://bottlekeep.tokyo/index.html

ニュースリリースおよび登録店舗募集:


■その他、各店舗毎の取り組みについて
先日、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、6月までに申請のあった事業者に、限定的な酒販免許の交付を認める期限付酒類小売業免許」制度が施行されました。
これにより、通常のBARや飲食店でも、申請すれば酒類のテイクアウトができるようになること。また全国へのネット販売はNGですが、該当する事業者が所在地とする都道府県内であればデリバリーすることが可能となります。

こちらについては一昨日発表されたばかりということもあり、現在進行形で様々な取り組みが増えていこうとしている状況です。
例えば、”ウイスキー等の酒類の小瓶テイクアウト”はもちろん、”カクテルのレシピを材料毎に混ぜない状態でセットにして販売”という動きもあります。
人が来て、滞在して、飲んでくれなければ商売が成り立たないという前提が、少しだけ緩和されようとしています。すでに一部の店舗では、申請と合わせて上記サービスの準備中が進行中のようです。


一方、BARが個別に公開しているチケットサービスとしては、自分の周囲ではBAR LIVET(新宿ウイスキーサロン)さん、BAR Tenderlyさんが、独自のプランの販売を開始しています。
ただの前売りではなく、純粋なテイスティングプランもあり、この状況を何とかしたいという焦りだけでなく、早く事態が終息してみんなで美味しいお酒を飲みたい、という店主の意気込みが伝わってくるようです。

こうしたチケットやプランは、他のBARでも独自に展開されてはどうかと思います。
冒頭でも触れましたが、決済システムは上記の予約チケットを活用し、そのチケット○枚で○○○プランの利用可、とかですね。あるいはTenderlyさんのように代行サービスを利用せず、独自にブログなどを使ってチケット発行や支払い方法の設定などを行うのも手です。
(振り込みだけでなく、カード決済が出来るが、現在あるチケット代行サービスの利点です。)

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新宿ウイスキーサロン&BAR LIVET テイスティングチケット
・グレンリベット、グレンモーレンジのボトルキープチケット
・スコッチブレンデッドウイスキー45種類飲み放題
・竹鶴ピュアモルト4種類テイスティングチケット
・スコッチモルトソサイエティ全51種類テイスティングチケット
。。。等

BAR Tenderly 応援チケット
先払いとなる1000円チケット5枚、10枚、30枚、50枚の発行。それぞれにオマケとして、カクテルチケットやウイスキーチケットが付属する。


チケットによる料金先払い、ボトルキープ、酒類テイクアウト&デリバリー。あるいは休業とそれに伴う保証制度、各種融資。
新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、3密を避け、不要不急の外出を控えるという状況のなかで、条件の緩和から店、客、双方にとって使える手札が増えてきています。

最も、我々が何を求めてBARに行くかというと、それはお酒だけではなく、BARという空間、雰囲気、そしてバーマンの人間味にあります。単に酒のストック数だけでは優劣測れない、BARの付加価値でもあったはずです。
つまりBARにおけるテイクアウトやデリバリーは、ただお酒を売るだけではなく、そこに何を付加価値としていくかも考えなければなりません。同じことを考える事業者は多く、物量ヒエラルキーでは、一般的なBARはその手の専門店には敵わない。必ずしも、該当する制度や免許だけで状況が改善するとは思えません。

この店の魅力はなにか、なぜ人が来てくれているのか。それをどうお酒にのせていくのか。あるいはどんなサービスが出来るのか。厳しい意見になりますが、新しい環境に対応出来なけれなければ、長期的にチケットや小瓶の購入等は続きません。今この時間のなかでそれを整理し、考えた上での対応策も、ゆくゆくは打ち出す必要があると思います。
例えば休業するにしても、その間は酒の話題をひたすらSNSやブログで発信するとかでも良いと思います。その発信を見た新規顧客がお店に来てくれるかもしれません。客離れに歯止めがかかり、チケットを買ってくれるかもしれません。
自分だってこんなブログを書いていたからこそ、見てくれた人たちから思いがけぬチャンス、機会を頂くことはこれまでも多くありました。待つだけでなく、情報を収集し、そして動く必要があるのだと思うのです。


先日の記事でも書きましたが、日本という国に根付いた酒文化は世界に誇れるものです。
その酒文化を構成しているのが、多種多様な魅力で、社会を彩ってきたBARや飲食店です。
その文化の火がまさに消えてしまうかもしれない、未曾有の危機が訪れています。
我々ユーザーサイドもまた、自分に何が出来るのか、それを考えて行動するのは今です。

現在の状況で、直接お店に行けとは申しません。SNS等を通じて、馴染みのお店とコンタクトをとるなどし、情報をやり取りする。必要に応じて情報を発信し、上記の前払い制度を使うなど今出来る支援を行う。。。
新型コロナウイルスの対策には、一人一人が当事者意識を持つことが求められますが、ならば酒文化の存続もまた、我々一人一人に当事者意識が必要なのではないでしょうか。
愛好家側も難しい状況にありますが、一緒にこの危機を乗り越えて、また美味い酒を飲みましょう!!