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The MACALLAN 
CLASSIC CUT 
HIGHLAND SINGLE MALT 
LIMITED 2017 EDITION 
750ml 58.4% 

グラス:不明
時期:開封後半年程度
場所:BAR Fingal 
評価:★★★★★★(6)

香り:レーズンやオレンジ、ブラウンシュガーの甘さと、若干の椎茸。ドライフルーツを思わせる酸、あるいはオロロソシェリーそのものも微かに感じるリッチなシェリー感。鼻孔をヒリヒリと刺激する強さが、度数の高さを伺わせる香り立ちでもある。

味:とろりとして粘性のある口当たり。ドライプルーンやチョコクリームを思わせる甘味。アーモンド、微かにオレンジピール。すぐにスパイシーでドライな刺激が口内を支配する。
ビリビリとした刺激を感じつつ、余韻はチョコビスケットが焦げたようなビターなウッディネスに、序盤に感じた甘味も合わさって長く続く。

シェリー樽由来の濃厚さと若さを感じるバッティング。濃厚さが盛り上がった後でスパッと切り替わってしまう粗さの残る仕上がりであるが、そのシェリー感は1世代前のカスクストレングスに通じる濃さが魅力でもある。最近のマッカランのなかでは、価格と合わせてバランスのとれた印象のあるリリース。加水すると口当たりのマイルドな甘味が強くなるが、中間以降が水っぽさ、平坦な印象も。じっくりとストレートで。

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2010~12年頃にひっそりと終売となった、マッカランのカスクストレングス。その後継品的な立ち位置で2017年からリリースされていたのが、今回レビューするクラシックカットです。
熟成はマッカラン伝家の宝刀”100%スペイン・ヘレス産シェリーカスク※”で、毎年数量限定で生産。リリース毎に異なるブレンダーが手掛けているのも特徴であるようで、オフィシャルサイトには毎年異なるレビュー、キャラクターが紹介されています。
※マッカラン印のシーズニングシェリーカスク。アメリカンオーク、スパニッシュオークの双方がある。

2017年のファーストリリースはまず米国市場に展開され、その後イギリスでも発売。2018年リリースも同様に欧米市場のみでの展開だったため、日本ではほとんどといって良いほど話題になりませんでしたが、2019年リリースからついに日本市場に入ってくることが、サントリーから発表されています。

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ザ・マッカランクラシックカット 数量限定発売 2020年3月3日から

日本流通価格は15000円程度。アメリカ等では10000円程度なので少々割高ではありますが、50%オーバーのハイプルーフ仕様でシェリーカスク熟成。何より旧ボトルのカスクストレングスを思わせるデザインは、往年のファンの気を引いて、味さえよければこれもありかと思えてしまいます。
実際その筋の店では間違いなく売れ筋でしょうし。。。特にアメリカに行く機会がある方は、日本未入荷の1stリリースをお土産に探してみても良いかもしれません。(去年購入したフィンガルのマスター曰く、普通に売っていたとのこと。)

というのも2017年レシピは、まさに旧ボトルとなるカスクストレングス時代のシェリー感に通じる濃厚さがあり、最近のマッカランでは納得感がある仕上がりなのです。
勿論、構成が全く同じというわけではなく、あくまで”最近の”という前置きや、シェリー感を突き破ってくる強めの刺激から旧ボトルよりも若い原酒を使っている印象もあります。
ですが元々酒質の強いマッカランにあって、これはこれで面白く、最近こういうのなかったなと。香味の強さを楽しめるレベルだと思います。

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(旧マッカラン・カスクストレングス。ボトルデザインが大幅にリニューアルした2006年頃から、2012年頃まで流通していた。初期の頃は10年表記があったが表記が消滅している。黒砂糖やドライプルーン、パワフルな中に色濃いウッディな甘味を備えた、濃厚かつ粗さの残るマッカラン。

実は今回のボトルを飲むのは2度目で、最初は昨年11月にブラインドテイスティングで出題を受けていました。
飲んだ瞬間思い浮かんだのは、それこそ上記のマッカラン・カスクストレングス。ただし記憶の中の比較でシェリー感が若干違うような、あるいはこんなボトル出てくるか・・・と、グレンドロナックのカスクストレングスを選んで撃沈。まさかマッカランから王道的カスクストレングスが復活していたとは知らず、驚きでした。

さて、ここまで2017年リリースのクラシックカットについて触れてきましたが、今日リリースされたクラシックカット2019はどうか。
メーカーコメントを見るに色が薄くなっているようですし、ダークフルーツではなく、オレンジの皮やジンジャー等の単語が並んでいることから、リフィル系の樽かアメリカンオークのシーズニングの比率が多いのかもしれません。なんとなーく、今のスタンダードの12年ダブルカスクの延長線上にあるシェリー感が予想されます。
まあこれ以上飲まずに語るのは予想の範疇を越えてしまい失礼ですので、続きは飲んでみた後で。今は、マッカランのカスクストレングスリリースの復活を歓迎したいです。