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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition Yamazakura Wood Finish 
Release in 2020 
700ml 47% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いウッディネス。桜餅を思わせるような個性的な和風の甘さ、微かに乾いた植物や麦芽のようなニュアンス、若い原酒由来かツンとした刺激とドライな要素も混じる。

味:スムーズな口当たり。香りで感じたのと同様の個性と、色濃いシロップを思わせるようなエキス由来のとろりとした甘味がありつつ、干し草やバニラウェハース、徐々にビターでドライな質感。ほどよい渋味を感じるフィニッシュへと繋がる。

和のニュアンスという点ではなるほどという、個性的な仕上がりのブレンデッド。プレーンで癖の少ないモルティーなブレンドに、山桜樽のフィニッシュで付与された濃いめのウッディさが、ソースのようにかけられている。ただ、ベース部分の主張と喧嘩しないため、フィニッシュによる違和感は少ない。その甘味故にストレート以外にロックや水割りも面白いかも。


先日紹介したグレンマッスルの親戚とも言える、長濱蒸留所がリリースするウイスキー・アマハガンの第4弾。ノーマルのアマハガンレシピで作られたベースウイスキーを、4ヶ月間山桜の木材で作られた樽でフィニッシュしたもの。タイミングも良いので、長濱繋がりでレビューを掲載します。
山桜と最初聞いた時は笹の川酒造をイメージしましたが、まさか長濱からこういうリリースがあるとは驚きです。

ウイスキーに用いられる樽材は、通常アメリカンオークやスパニッシュオークあたりが一般的ですが、日本的な木材で作られた樽による熟成が新しい可能性として注目されています。
ミズナラについては言わずもがな、杉、栗、桜。。。日本の樽工場である有明クーパレッジではこうした材木での樽の加工も請け負っており、自社での熟成実験も進んでいます。

例えば、自分が過去に試飲した熟成サンプルだと、これらは短期間で強めのウッディさが付与される傾向があり、栗はミズナラに近いスパイシーさとさらに濃いエキスが。桜はまさに桜餅を思わせるような甘味とほのかな酸が香る。杉についてはハーバルな感じですが、桧同様にエキスの出方がべったりとしているというか、独特な印象がありました。
基本的に、国産ウイスキーであっても原料は輸入で作られるものですから、日本酒等のようにその土地その土地の原料で個性を出すとなると、麦芽で差別化することができません。
よって、熟成環境だけでなく樽材がその土地のものというブランド作りは、新しい取り組みとして可能性のあるものと思うのです。

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(有明クーパレッジ(有明産業)のイベントブースにて提供されていた、各樽材での試験熟成原酒。それぞれ個性が強く、単品では難しいかもしれないが可能性を感じる原酒でもあった。)

今回の山桜カスクフィニッシュですが、ベース部分は加水で整えられたプレーンで癖の少ない、柔らかい甘さのあるモルトウイスキー。長濱原酒も一部使われていますが、若さが目立つものではなく、全体的にバランスは悪くありません。

言い換えると、強みとなる個性もないという点はありますが・・・。そこに山桜樽の濃いめのエキスが混じり、特徴的な甘味とウッディさを含み香で感じる面白い仕上がりとなっています。
リリース時期から逆算すると、この樽の強さは盆地滋賀県の夏場に期間がかかっていることからくるものと推察。樽材の個性をしっかり活かしつつ、和のニュアンスを付与した味わいは、前作ミズナラウッドよりも面白いリリースだと思います。

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また、使われている2年熟成程度の若い長濱原酒も早熟でそれなりに楽しめるクオリティであることが、プラスに働いているように感じています。

長濱蒸留所は、創業比較的すぐのタイミングで見学させてもらっており、そこからイベントで色々話を聞いたり、蒸留所を再訪したりと、現在進行形で成長を見ることが出来た蒸留所のひとつです。
ただ、初期の原酒は麦の甘味は出ているのですが、なんだか全体的にぼんやりしているというか、キレに乏しい感じがあり。。。
蒸留器が小型のアランビック式であることもあって、少しの調整で大きな変化が出てしまう難しさがあったのだと思います。現場ではラインアームの角度、カットポイントの変更など、様々な微調整、トライ&エラーが繰り返されていました。

その結果、1年過ぎたあたりからバランスが良くなり、昨年蒸留所で飲んだものは、さらにクリアで嫌みが少ないなかに、柔らかいモルティーさと適度なコク、様々な調整の末に成長が感じられるニューメイクが作られていました。
現在審査が進む今年のワールド・ウイスキー・アワードでも、アマハガン、長濱ニューメイク共に日本カテゴリーのなかで存在感を放っているようです。
同蒸留所からは今年中に3年熟成のシングルモルトがリリースされるということですし、今後ウイスキー市場のなかでさらに評価を高めていくことを期待したいです。

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ちなみに以下、余談として・・・。
長濱蒸留所で合わせてウイスキー好きに知られてほしいと思うのが、ビールです。
長濱蒸留所(長濱浪漫ビール)は、エールタイプのビールがスタンダードブランドとして作られており、しっかりと麦の味にホップも強めに効いたビターで奥深い味わい。IPA系のビールを好む傾向があるウイスキー飲みにあっては、好まれるビールだと思います。

特に、現地で飲む作りたては最高(正直、蒸留所見学は半分それ目当てで行っていたりもw)。瓶売りしているものも現地そのままの味で、行ったら必ずお土産に買って帰っています。
将来、この長浜ビールカスクで熟成された長浜原酒やアマハガンがリリースされたら良いなぁ、なんて思いつつ、今日の記事の結びとします。