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SMOKEHEAD 
SHERRY BOMB 
ISLAY SINGLE MALT 
IAN MACLEOD 
700ml 48% 

グラス:リーデル
場所:BAR ROYAL MILE 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:アイラ要素のあるスモーキーさと同時にダークフルーツ、ドライプルーンの色濃い甘さ。そこに焦げた木材やタール、シャープな金属感がアクセントになって若さを主張する。

味:オイリーでとろりとした口当たり。シェリー樽由来のニュアンスはバランス良く、そこから香り同様に若く強いピーティーなフレーバー。余韻はスモーキーでウッディ、やや粗い刺激。デーツを練り込んだチョコレート、焦げた木材の苦味に微かな薬品香を伴って甘くビターなフィニッシュが長く続く。

若く主張のはっきりしたシェリー系アイラモルト。本来はギスギスした口当たりになりそうなところを、シェリー樽由来のとろりとした甘味がオブラートのように包み込んでいる。また、加水もの効き具合もほどよく、酒質由来のフレーバーを潰さない。突出しているわけではないが、作り手の経験値を感じさせる仕上がりの1本。

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今日のレビューアイテムは、大阪のロイヤルマイルにて最近のリリースでオススメ、面白いと感じたボトルをリクエストした際の1本。
スモークヘッドは2006年からリリースされている蒸留所不明のアイラモルトブランド。通常のものはリフィルバーボン等、あまり樽香が主張しない構成ですが、このシェリーボムは原酒の50%がオロロソシェリー樽の熟成という複数樽バッティング。平均熟成年数は5~6年というスペックのシングルモルトです。

蒸留所はアードベッグ説が強いブランドでしたが、テイスティングした感じでは香味のオイリーさやシャープなピーティーさから、ラガヴーリンかな?と感じたところ。
何より、程よいシェリー樽由来のフレーバーと、若いピートフレーバーのバランスが思いの外良いのです。
ヤングアイラと近年シェリー、個人的にあまり好みでないジャンルなのですが、これは普通に楽しめました。

作り手であるイアン・マクロード社は、アイルオブスカイ等のブレンデッドや、ダンベーガンなどのボトラーズブランドをリリースする一方で、2003年にはグレンゴインを、2009年にはタムデューを傘下とし、オフィシャルメーカーとしても活動するメーカー。
そうしたなかでの在庫、設備、あるいはウイスキー作りの経験値を活かしたリリースということなのでしょうか。
このスモークヘッドはリリース全般評判が良く、上記のバランスの良い仕上がりも納得の経歴と言えます。

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マスターとの会話は、このボトルに関するところから派生し、今の愛好家(特にスタンダード系のボトルを飲み始めたような)にオススメしたいボトルはなにか、という話題になりました。
同店のストックは大阪のウイスキーBARのなかでもかなりのレベルであるわけで、メジャーなオールドとか、ちょっと前の長期熟成ボトラーズとか、どんなものが出てくるかと思いきや・・・意外にもチョイスは上の写真にあるショートエイジの渋いところでした。

マスター「この辺がちょうど良いね、味も良いし」
くり「樽に邪魔されない、酒質を味わうってやつですか」
マスター「そうやね、ブレアソールとかトーモアとかなんて素朴でええやんか」
くり「確かに、素朴で麦系なボトルでしたね。」

という具合。このブログでも度々書いているように、最近のボトルは麦芽風味やボディがライトになる一方で、樽味主体になっているものが少なくありません。
例えばグレングラントやグレンモーレンジとか、決して悪くないし美味しいのですが、酒質部分の味はかなり軽くなりました。そういう傾向が全体的にあるんですよね。
だからこそ、ウイスキーの原点とも言える麦感を味わっておいて欲しい。その視点で今回のボトルを見直すと、若い原酒を整えているため、樽味だけではないベース部分のフレーバーがある事にも気づく。
マスターの視点がほんの少し見えたような。。。そんな気がした1杯でした。