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CAOLILA 
AGED 12 YEARS 
ISLAY SINGEL MALT SCOTCH WHISKY 
700ml 43% 

グラス:不明
時期:不明
場所:Bar fingal
評価:★★★★★(5ー6)

香り:ややエッジの立ったピーティーさと、クレゾールのような薬品香のある香り立ち。土っぽさと根菜、ほのかにグレープフルーツ等の柑橘の皮や綿を思わせるほろ苦さがスモーキーさの中に感じられる。

味:口当たりはクリアで塩気と共に洋梨をペーストにしたような柔らかい甘味とコク、プレーンなウッディさ。そこにスモーキーフレーバーが後追いで開く。余韻はピーティーなほろ苦さと軽い酸味、針葉樹やタイムのような植物のニュアンスと、根菜っぽさも混じる。

3rdフィルあたりのプレーンなオーク樽で熟成された原酒を主体に構成されているのだろう。オークフレーバーは控えめで酒質由来の甘味と若干の植物感やハーバルさ、そしてピートに由来するアイラの特徴をもったスモーキーさがメイン。この甘味と口当たりの柔らかさがカリラのオフィシャルの特徴と言える。ハイボールも悪くないが、何気にロックが合う。


ジョニーウォーカーの構成原酒として知られるカリラ。ジョニーウォーカーだけではなく、ディアジオ傘下のブレンド用ピーテッド原酒として中核的な役割を果たしてきたわけですが、一方でアイラモルトのオフィシャルスタンダード銘柄のなかでは、販売戦略も関係していまいち目立たない印象があります。

アードベッグ10年
カリラ12年
キルホーマン・マキヤーベイ
ボウモア12年
ポートシャーロット10年
ラガヴーリン8年
ラフロイグ10年
※ブナハーブンはスタンダードがノンピートなので除外

ラインナップを見ると話題性でアードベッグやラガヴーリンに及ばず、近年ファンを獲得しつつあるポートシャーロットやキルホーマンら新興勢力にも押され気味。
カリラのクリアでシャープなピーティーさをとっても、それこそ若いキルホーマン等の方が分かりやすいというのが些かネックです。
一方で現行品のボウモアやラフロイグが味を落としているなかで、クオリティを維持している(2016年頃にはロットが切り替わって美味しくなったという話題もあった)点は、もっと評価されても良いと思うのですが。。。
そんなわけで、目立たないながら渋い仕事と繋ぎ役でチームに欠かせない、"いぶし銀"というのが自分にとってのカリラの位置付けとなります。

なお、近年のカリラは2011年にマッシュタンとウォッシュバックの増設工事があり、2010年時点で380万リットルだった生産量は650万リットルにまで増加したとされています。
これはシングルモルト需要もさることながら、ウイスキー全体の消費量が増えていることへの対応策。ここまでの話の流れの通り、カリラ単独でそこまで売れてる訳じゃないですからね。
今回のオフィシャル12年は増設が行われる前の原酒ですから、今後どのような影響があるかは未知数。他方で、実は工事が行われる前からカリラの生産量は増加の一途であり、2000年頃には100万リットル程度だったという情報からも、如何にカリラがディアジオの作るウイスキーを支えているかが伺えます。

増産体制になると味が変わるのは、ある種の法則のようなもの。ボトラーズの短熟を飲む限りそこまで悪くないとは思いますが、それが吉と出るか凶と出るか。。。ディアジオの技に期待したいです。

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酒育の会 Liqul(リカル) 11月号

先日発刊された、リカルの11月号。※WEBは週明けの公開のようです。
今回の特集テーマは「BARの流儀 "よりBARを楽しむために"」で、巻頭特集ではBARでのマナーや注文方法などを記事にしています。
BARとはどうあるべきかという考え方は、嗜好品に求める条件のように様々なものがあって当然ですが。やはり守るべきマナーはある程度共通で、そして良いサービスはお店の一人相撲では成り立たないんですよね。

そして今号の自分の連載記事・オフィシャルスタンダード特集第3弾は、カリラとキルホーマンでした。(写真もう1~2枚送ればよかったなー、ちょっと寂しい構図に。。。)
これまでは内陸銘柄でしたので、今回はアイラにしようと。となると、近年成長著しいキルホーマンと、安定感抜群のカリラは当確で、あまり選定で迷いませんでした。
それぞれの評価は過去記事含めての通りですが、この2本はフレーバーの共通項と熟成によるピートの強弱等も見える組み合わせ、としても選んでいます。
ピートは熟成を通じて丸く、減衰していく傾向があり、若くフレッシュなキルホーマンと、適度な熟成を経て柔らかさも感じられるようになったカリラ、飲み比べも楽しんで貰えればと思います。

なお、リカルは来年1月からWEBマガジン出の配信も開始し、1記事あたりのボリュームと更新頻度をあげていくことになる予定です。
今の記事は700文字程度という制限があったので、書ききれない内容もあってこの変更はちょうど良く。また、オフィシャル特集はそのままに、オールドボトルの記事も連載していく予定ですので、更なる情報発信の機会を頂くこととなりました。
まずは今月のフェスでしっかり情報を仕入れないと!皆様、引き続きよろしくお願いします。