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KILCHOMAN 
100% ISLAY 
THE 8th EDITION 
Bottled 2018 
Bottled in batch 12000 
Cask type Bourbon Barrel & Sherry Butt 
700ml 50% 

グラス:グレンケアン 
時期:不明 
場所:Jam Lounge 
評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーでクレゾールや塩素系の薬品香、若干溶剤っぽいニュアンス。乾いた麦芽、バニラやオーク香、根菜の漬物に加え柑橘っぽさを感じさせる酸。

味:麦系の甘さから塩気とコクのある口当たり。焦げた木材を思わせるしっかりとしたピーティーさと、香り同様に若干の根菜、奥にはバーボンカスクのフルーティーさ。余韻にかけてゴムっぽいシェリー系のニュアンスがあり、やや荒さのある舌当たりとピーティーな余韻が長く続く。

系統としては近年のラフロイグ系のピーティーさと、ラガヴーリンを合わせたような味わい。ベースとなる麦芽風味に厚みがあり、大器となる要素を感じさせるが、現時点では造りに粗さがあり、一部の原酒の若さに加え、あまり良くないシェリー樽由来のニュアンスが邪魔をしている。出来ればバーボン樽オンリーでつくってほしい。しかし意外にハイボールが合う。

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1年に一度リリースされている、キルホーマンのローカルバーレイ。キルホーマンがアイラ島に所有する農園で育った麦芽を、フロアモルティングで仕込んだ、20ppmのピーテッドモルト。
毎年構成が変わっていて、2018年のリリースは2008年と2012年蒸留の原酒、計46樽のバッティング。樽の内訳はバーボンバレルが39樽、シェリーバットが7樽とのことです。

このボトルは良いところとそうでないところがあり、自分のなかで時期(あるいは飲んだシーン)によって評価が別れています。
最初に飲んだ時は開封直後でイベント会場。いくつかのフレーバーがとっちらかっているのと、何よりシェリー樽の要素が邪魔していると感じ。。。
次に飲んだ時は写真の頃でBAR飲み。多少粗さはあるがそれらがまとまると共に、麦由来の旨味がしっかりあって大器の片鱗を感じ。。。
同じボトルを自宅で最後まで飲んだ結果、やっぱり粗さがあるのと、何よりシェリー樽の要素が望ましくないフレーバーに繋がっていると感じた。。。

結論から言うと、ベースにある原酒には大きな可能性を感じるものの、全体の繋ぎになるはずだったシェリー樽原酒が、ネガティブな要素も付与してしまっている点が、今回のボトルにおける最大のネックだと感じます。
この他、原酒構成についても10年程度熟成の原酒よりも2012年蒸留の6年程度のものが多いようにも感じる粗さがあり、これが逆に口当たりで20ppmにしてはフレッシュなピーティーさと、塩素などの要素の強さに繋がっているようにも感じます。

キルホーマンの100%アイラは7thリリース(7年熟成・バーボン樽の1stと2ndフィル)のほうが厚みのある麦芽風味に、樽由来のフルーティーさがうまく馴染んで好みの味わい。これはまさに将来性を感じる1本でしたが、8thもネガな要素を除けばそれに共通するニュアンスは当然あり、今後リリースされるであろう9thリリースあるいはそれ以降にも期待したいと思います。

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今日のオマケ:ストーム・ワインズ・リッジ・ピノ・ノワール 2017

先日ウイスキー仲間と食事会をした際に飲んだ南アフリカのピノ。ストーム・ワインズは2011年に創業したばかりの新しい作り手のワインですが、すでに”南アフリカのベンチマーク”として、注目を集めているワイナリーなのだとか。
写真の通りきれいな色合いのピノで、新世界の果実味しっかりタイプかと思いきや、ボディはそう厚くなく透明感があり、ブルゴーニュ寄りの作りで驚きました。

注ぎたては胡麻っぽさ、軽いスパイス、葡萄の皮。透明感はあるがあまり果実香が感じられない。それが徐々にらしいニュアンスが開いてきて、チェリーやクランベリー、赤系のベリー感が柔らかい酸をまとって開く。甘味はほどほど、余韻にかけて軽いウッディネスと若い年数にしてはこなれたタンニンを感じるフィニッシュ。
「ピノ・ノワールにとってベストな場所で、最も美しいピノ・ノワールを作る」というのがストームワインズの考えで、畑はかなり涼しいところにあるとの話ですが、ブルゴーニュに似た気候で作っているのかなと感じるような仕上がりのワインです。

肉と油な食事との相性もバッチリ、赤身肉が進んで仕方ない。この日の食事はひたすらこの肉だけというコースで、デザート代わりにロックで美味しいバーボンで締める。ストレスを吹き飛ばし、日々に潤いを与える食事はこれでいいのだと思える満足感でした。

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