バランタイン 30年 1980年代後期 VERY OLD BLENDED表記 アメリカ向け
BALLANTINE'S
AGED 30 YEARS
VERY OLD BLENDED SCOTCH WHISKY
1980-1990's
750ml 43%
グラス:国際企画テイスティング
時期:不明
場所:BAR BLACK HEART
評価:★★★★★★★(7)
香り:軽い香ばしさと存在感のあるスモーキーさを伴う、モルティーで厚みのあるアロマ。ほのかなカラメルっぽい甘さ、ナッツ、林檎のコンポートやオランジェット、古びたウェアハウスのような落ち着きと多層感がある。
味:モルティーで香ばしさを感じる口当たり。まろやかな口当たりからコクがあり、古典的な麦芽風味にじわじわと存在感のあるピートフレーバー。香り同様のオールドシェリーのニュアンスがほんのりと効いて、それが全体をまとめている。
余韻はスモーキーでしっとりとしたウッディネス、染み込むように長く続く。
熟成とブレンドによって整ったまろやかな飲み口、ハイランド系のコクのあるモルティーさと、どっしりと存在感のある古典的なピートフレーバーがオールドラヴァーの心に響く1本。ストレートでゆったりと楽しみたい。
バランタインは12年以上のグレードで、アメリカ向けのラベルに一部異なる表記を使っていた時代がありました。グレードで異なるものの、30年の場合1960年代頃まではLIQUEUR BLENDED で世界共通。1970年代から90年代頃までは本国やアジアがVERY OLD 、アメリカ向けがVERY OLD BLENDED 表記となります。(LIQUEUR BLENDED の由来はスコッチオデッセイ第4版巻末エッセイを参照)
経緯はわかりませんが、バーボンというか古くはライトなアメリカンブレンデッドが一般に根付いていた国ですから、知名度を意識していたのでしょうか。
これらの表記による香味の違いはあるのか。オールドブレンド好きの間で、たまに話題になるテーマです。
作り手による意図的なものか、あるいは単なるロット差か。。。経年変化と保存環境という条件の違いもあり、断定するのは困難ですが、ボトル毎の違いは確かにあるというのが自分の感想です。
今回の30年は、下に写真のある日本向けが甘やかでフルーティー、余韻にかけてじわじわスモーキーという感じである一方、フルーティーさは押さえつつその分モルティーさとスモーキーさに厚みがあるといった感じ。見るからに色合いも異なってますね。
どちらも大変良くできた、これぞスコッチという佳酒であることに違いはありませんが、個人的には厚みのある味わいを重視して今回のボトル、アメリカ向けのほうに軍配。いやほんと、飲むほどに贅沢な味わいですよ。
どの年代も軸は熟成したミルトンダフなどのハイランド系の原酒と思われる風味で、そこに樽の強弱、あるいは香味のアクセントとなるアイラの原酒の強さがロットによって異なるのか。スモーキーなものもあれば樽感の強いものもあり、なんとも十瓶十色です。
バランタインのこの変化は、12年や17年より、30年のほうが違いが大きい印象。17年も古いやつは結構ロット差がありますが。。。熟成年数の長さから、そのとき使える原酒や樽の強弱に由来する香味の幅がもたらす影響が大きいのかもしれません。
しかしなんだか今日の記事はいまいちまとまりきらない中身になってしまった。。。まあ当たりのロットに出会えたら、大事に飲みましょうってことでw
(同じ時代の日本向けボトル。トレードマークの下、VERY OLD のみでBLENDED表記がない。色合いも今回のボトルより若干濃い気がする。レビューはこちら。)
今日のオマケ:コカ・ブトン 1950年代流通
コカインで知られる麻薬の原料である、コカの葉を使った甘口系薬草リキュール。Nさん持ち込みの1本。
1990年代あたりに流通していた、液体が透明に近い時代のものは、あまり薬草感がなくコカとはなにか?と考えてしまう仕上がりですが、今回のように古い時代のものは色合いからして異なっており、毒々しさを感じるライトグリーンで、香味はシャルトリューズを薬草感そのままで甘口にしたような。。。ウイスキーを飲んだ締めに飲むと、これまでの全部を台無しに出来る、なんというか頭の悪い美味しさ。
1990年代あたりに流通していた、液体が透明に近い時代のものは、あまり薬草感がなくコカとはなにか?と考えてしまう仕上がりですが、今回のように古い時代のものは色合いからして異なっており、毒々しさを感じるライトグリーンで、香味はシャルトリューズを薬草感そのままで甘口にしたような。。。ウイスキーを飲んだ締めに飲むと、これまでの全部を台無しに出来る、なんというか頭の悪い美味しさ。
コカブトンは現在は生産されておらず、類似商品としてコカレロというリキュールが販売されています。
コカインは抽出精製して濃度を高めたものに、強い興奮・幻覚作用などがあって麻薬として規制されるだけでなく、アルコールとコカインが併用されると人体にとって有害なコカエチレンとなる反応もあり、それをお酒にするなんてとんでもない。という意見がありそうですが、元々コカインの葉をお茶にする習慣が一部地域であったり、またリキュールに使うにあたってコカインの成分は除去されており、飲用に心配はないとのことですが・・・
古い時代のものに関しては、実は成分残ってるんじゃないか?と思ってしまいます。
大変貴重な一杯でした!
コメント
コメント一覧 (3)
本ブログに記載のバランタイン30年「VERY OLD BLENDED」と「ウイスキー特級」表示のボトルをフリマにて購入しました。体調の良いときに飲み比べる予定です。
ウイスキーの価格も一時期のような異常高騰は少し落ち着いたように思えますが、Japanese Whisky は、まだ高止まりようですね、早く安くなって欲しいものです。
ボトルの購入は、このブログを参考にしており、大変お世話になり、ありがたく思っております。
いつも閲覧いただきありがとうございます!
おっしゃるように、最近ちょっとずつですが、オークションのウイスキーの価格は落ち着いてきているように感じます。ジャパニーズも昨年がピークで、今年は少し落ちているように思いますし。
ただ来年がオリンピックや各クラフトが3年熟成を迎えるなど、お祭りの年なのでどうなるかまだわからないですね。
市場に流れるお金が増えると、相対的にスコッチなどの良いボトルの価格が上がり、比較的手頃なオールドもつられて上がっていく、というのがこれまでの流れでしたので。
いずれにせよ、勘弁してほしいものですがw
飲み比べ、羨ましいです。是非感想を教えてください!
コカブトン、私が高校生だった(笑)1994年に名古屋のライブハウス&バーで飲みました!
現在は殆ど入手出来ないのを知り、少々驚きです。
1ショットしか飲まなかったのですが、高校生でも払える金額で売ってもらえたはずです。もう記憶にありませんが、当時で1,000円ぐらいだと思います。
感想はただただ「不味い!!」で、飲まなきゃ良かった……と思いましたが、あまりのインパクトに「コカブトン」という名前は30年近くずっと記憶していました。
まさかコカブトンの記事が読めるとは……検索してみるものですね!
当時の思い出がよみがえり、嬉しいです。
ありがとうございます!!