カテゴリ:
IMG_20190908_184523_1
BALLANTINE'S 
AGED 30 YEARS 
VERY OLD BLENDED SCOTCH WHISKY 
1980-1990's
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:不明
場所:BAR BLACK HEART
評価:★★★★★★★(7)

香り:軽い香ばしさと存在感のあるスモーキーさを伴う、モルティーで厚みのあるアロマ。ほのかなカラメルっぽい甘さ、ナッツ、林檎のコンポートやオランジェット、古びたウェアハウスのような落ち着きと多層感がある。

味:モルティーで香ばしさを感じる口当たり。まろやかな口当たりからコクがあり、古典的な麦芽風味にじわじわと存在感のあるピートフレーバー。香り同様のオールドシェリーのニュアンスがほんのりと効いて、それが全体をまとめている。
余韻はスモーキーでしっとりとしたウッディネス、染み込むように長く続く。

熟成とブレンドによって整ったまろやかな飲み口、ハイランド系のコクのあるモルティーさと、どっしりと存在感のある古典的なピートフレーバーがオールドラヴァーの心に響く1本。ストレートでゆったりと楽しみたい。

IMG_20190908_184600

バランタインは12年以上のグレードで、アメリカ向けのラベルに一部異なる表記を使っていた時代がありました。グレードで異なるものの、30年の場合1960年代頃まではLIQUEUR BLENDED で世界共通。1970年代から90年代頃までは本国やアジアがVERY OLD 、アメリカ向けがVERY OLD BLENDED 表記となります。(LIQUEUR BLENDED の由来はスコッチオデッセイ第4版巻末エッセイを参照)
経緯はわかりませんが、バーボンというか古くはライトなアメリカンブレンデッドが一般に根付いていた国ですから、知名度を意識していたのでしょうか。

これらの表記による香味の違いはあるのか。オールドブレンド好きの間で、たまに話題になるテーマです。
作り手による意図的なものか、あるいは単なるロット差か。。。経年変化と保存環境という条件の違いもあり、断定するのは困難ですが、ボトル毎の違いは確かにあるというのが自分の感想です。
今回の30年は、下に写真のある日本向けが甘やかでフルーティー、余韻にかけてじわじわスモーキーという感じである一方、フルーティーさは押さえつつその分モルティーさとスモーキーさに厚みがあるといった感じ。見るからに色合いも異なってますね。

どちらも大変良くできた、これぞスコッチという佳酒であることに違いはありませんが、個人的には厚みのある味わいを重視して今回のボトル、アメリカ向けのほうに軍配。いやほんと、飲むほどに贅沢な味わいですよ。
どの年代も軸は熟成したミルトンダフなどのハイランド系の原酒と思われる風味で、そこに樽の強弱、あるいは香味のアクセントとなるアイラの原酒の強さがロットによって異なるのか。スモーキーなものもあれば樽感の強いものもあり、なんとも十瓶十色です。

バランタインのこの変化は、12年や17年より、30年のほうが違いが大きい印象。17年も古いやつは結構ロット差がありますが。。。熟成年数の長さから、そのとき使える原酒や樽の強弱に由来する香味の幅がもたらす影響が大きいのかもしれません。
しかしなんだか今日の記事はいまいちまとまりきらない中身になってしまった。。。まあ当たりのロットに出会えたら、大事に飲みましょうってことでw

c7d10271
(同じ時代の日本向けボトル。トレードマークの下、VERY OLD のみでBLENDED表記がない。色合いも今回のボトルより若干濃い気がする。レビューはこちら。)

IMG_20190908_183730
今日のオマケ:コカ・ブトン 1950年代流通
コカインで知られる麻薬の原料である、コカの葉を使った甘口系薬草リキュール。Nさん持ち込みの1本。
1990年代あたりに流通していた、液体が透明に近い時代のものは、あまり薬草感がなくコカとはなにか?と考えてしまう仕上がりですが、今回のように古い時代のものは色合いからして異なっており、毒々しさを感じるライトグリーンで、香味はシャルトリューズを薬草感そのままで甘口にしたような。。。ウイスキーを飲んだ締めに飲むと、これまでの全部を台無しに出来る、なんというか頭の悪い美味しさ。

コカブトンは現在は生産されておらず、類似商品としてコカレロというリキュールが販売されています。
コカインは抽出精製して濃度を高めたものに、強い興奮・幻覚作用などがあって麻薬として規制されるだけでなく、アルコールとコカインが併用されると人体にとって有害なコカエチレンとなる反応もあり、それをお酒にするなんてとんでもない。という意見がありそうですが、元々コカインの葉をお茶にする習慣が一部地域であったり、またリキュールに使うにあたってコカインの成分は除去されており、飲用に心配はないとのことですが・・・
古い時代のものに関しては、実は成分残ってるんじゃないか?と思ってしまいます。
大変貴重な一杯でした!