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AMAHAGAN 
World Malt 
Malt Whisky Edition No,3 
Mizunara Wood Finish 
700ml 47% 

グラス:テイスティング
時期:開封後1ヶ月以内
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ウッディで乾いた植物感、オレンジピール、ほのかに干し柿を思わせる甘やかさ。ウッディーさはオーク由来の要素に加えて、微かに香木、甘栗、ニッキを思わせるスパイシーさも感じられる。

味:樹液を薄めたようなクリーミーな柔らかさ、やや水っぽさを感じる口当たり。そこから薄めたキャラメル、甘栗を思わせる甘味、香り同様の構成だが、後半にかけてウッディさに青さの残る干し草、ニッキ、若干の和紙っぽさを思わせる含み香を伴う。
余韻はウッディでほろ苦く、若干の焦げ感を伴う穏やかなフィニッシュ。

ベースとなるブレンドの香味と、フィニッシュで付与されたミズナラのウッディでスパイシーな香味。オリエンタルというにはもう一歩足りない気もするが、それらが同系統の香味を軸に繋がっていて、多少の分離感はあるが及第点と言える仕上がり。加水するとその部分が強調され、シロップを思わせる甘味と草っぽさ、ベースに備わるクセのような香味が顔を出す。目立った若さはなく、ストレートがオススメ。

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長濱蒸留所が自社蒸留原酒と、輸入原酒を使ってリリースする、ワールドブレンデッドモルト「アマハガン」。2016年に稼働した同蒸留所は、初期の原酒がいよいよ3年熟成を迎え、リリースに向けた準備を進めている最中です。

本シリーズは、今後同社がウイスキーメーカーとして活動していくにあたり、避けては通れない”ブレンド”の経験を積むために作り出したもの。ですが、ちゃんとウイスキーしているというか、思ったよりも良くできいているというのが第一印象。
第1弾は若いなりのバランスが魅力であり、第2弾はワインカスクが効いて、ブレンドに使われた原酒の繋ぎになるような丁度いい濃厚さに、どちらもそれなりの評価が得られていたと思います。

そして今回、2019年9月3日に発売された第3弾はミズナラ樽でのフィニッシュ。ワイン樽は使い方が難しい樽ですが、個人的にミズナラ樽のほうが、難しさもさることながら、熟成させた原酒に求められる香味のハードルがワイン樽よりも高いため、トータルで難しいという印象があります。
アマハガンのファーストリリースが発表されたのが2018年11月。その前にまとめてブレンドを作り、ワイン樽、ミズナラ樽にも詰めていたとすれば、フィニッシュ期間は約10ヶ月程度。ファーストフィルのミズナラ樽はエキスが結構しっかりでますし、何より熟成場所は寒冷かつ温暖な盆地・滋賀県です。真夏をギリギリ避けたボトリング時期の判断が、スパイシーさ、ウッディさの出すぎない仕上がりに繋がっていると感じます。

事前の印象では、ミズナラ樽由来の香味がどこまで馴染むかという警戒は多少ありましたが、これは普通に前作より良いのでは。
好みの問題もありますが、元々少々癖のある輸入原酒が使われているなかで、それらとミズナラ樽由来のウッディさとスパイシーさが、フレーバーの方向性が喧嘩していない。
フィニッシュ期間で使われた原酒の熟成が進んだこともあるのでしょう。普通に飲めて、完全にオリエンタルとは言い難いもののミズナラ由来の個性も感じられて、悪くない仕上がりだと感じたのが率直な感想でした。

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今日のおまけ:長濱蒸留所内観とニューメイク2019。
先日、約2年ぶりに訪問させてもらいましたが、相変わらず小さな蒸留所です。隣にあるのはレストランで、しかもビールの醸造所まで兼ねているのですから、こんなスペースにここまでの機能を詰め込んでいる蒸留所は長濱だけだと思います。

さて、2年間での変化はスチルが1基増えていただけでなく、ノンピートタイプの酒質がかなり良くなっていて驚きました。
2年前はまだ製造ラインの癖を掴みきれていなかったのか、麦芽風味のぼやけたような味わいがあり、まだこれからだなと感じていたところ。それが今は雑味が少なくクリアで柔らかい味わい。それが単に薄っぺらいだけっではなく、麦の味わいと厚みも適度にあって、短熟から仕上がっていくような素性の良い原酒が作られていました。
今年か来年早々にあるであろう、3年熟成のリリースだけでなく、この蒸留所の今後の成長が楽しみです。