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Jose Cuervo 
Reserva 
DE LA FAMILLIA 
EXTRA ANEJO 
Release 2011
700ml 40% 

グラス:テイスティンググラス名称不明
場所:BAR Fingal
時期:不明
参考評価:★★★★★★★(7)

柔らかい香り立ち。テキーラ独特の植物感と柔らかい酸、メープルシロップを思わせる甘さ、オレンジママレードのような柑橘を思わせる要素も潜んでいる。
口当たりは実にマイルドで、アルコール感を感じさせない。バニラやキャラメルナッツの甘味、柔らかいウッディネスと溶け込むような焦げ感が、長期熟成を思わせる奥行きと多彩さを構成している。また、香りで感じられたテキーラの個性、角のとれた酸味と若干の植物感も含み香として鼻孔に抜けていく。

ウイスキー好きに飲んでもらいたいテキーラ。度数やテキーラの特性上パンチはそれほどでもないが、長期熟成のグレーンやカナディアンと比べて遜色なく、むしろ奥行きなどでは本ボトルに分がある。また、ブランドエピソードがもたらす特別感も無視できない。

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先日、テキーラの代表的銘柄であるクエルボ1800のオールドボトルを紹介しましたが、このクエルボの現行品で、気になっていた銘柄が同社の最上位グレード「リゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア」。どこかで飲めればと思っていたところに、Fingalのバックバーで見かけたので注文してみました。

元々同銘柄は生産者の一族、クエルボ家が内々に楽しむために作っていたプライベート仕様。それが創業200周年を記念して1995年以降通常ラインナップに加わったものです。
外箱のデザインはメキシカンアーティストが毎年手掛け、ボトリングのコルク封も手作業で行うなどハンドメイド仕様と様々なこだわりがあるようですが・・・重要なのはやはり味です。

樹齢10年以上のアガヴェを原料とし(麦と違って、テキーラの原料となる竜舌蘭は成熟するまで最低でも6~8年かかる)、使用する樽はアメリカンオークとフレンチオーク。
原酒の熟成期間は最低3年以上のエクストラアネホに、最長で30年以上熟成させた原酒も含めて幅広いレンジをブレンドしているとのこと。2~3年でも十分な熟成期間となるテキーラにあっては、30年ともなると相当長期熟成な部類に入ります。
それがどれくらい使われているかはわかりませんが、長期熟成100%だから旨いわけではないのはウイスキーも同じ。飲みやすくあるもののやや単調ぎみになりがちな熟成テキーラにあって、原料の品質だけでなく熟成と原酒の幅が、ブレンドにおける重要な役割を担っているのだと感じます。

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(同レゼルバ・ファミリアの現行品(右)は、2017から蝋封が緑系の色に変化している。左はシルバーテキーラの最高峰プラティノ。未熟成であるためテキーラの風味が強く感じられるが、飲み口は柔らかくスムーズ。)

また何より、熟成に使われている樽や長期熟成によって得られる香味にウイスキーとの共通点も感じられることから、これはウイスキー好きに飲んでほしい一本。
類似はやはりグレーンやカナディアン系統ですが、長熟のブレンデッドらしさもどことなく。。。香味と個性のバランス、そして熟成感は双方に共通する魅力も備えており、新しいジャンルへの繋ぎになってくれるのではないかと思います。

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後日談:同じクエルボ・リゼルヴァ・デ・ラ・ファミリアの2003年流通品をテイスティング。
少し抜けた印象がありましたが、上述の複雑さに加えてスパイシーさが強く面白い味わいでした。この頃は特にロット差が大きかったとのことで、いかにも向こうの作りだなぁという感じです(笑)。