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OLD GRAND DAD 114
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON 
BARREL PROOF  
1990-2000's 
114 Proof 750ml 

グラス:国際企画テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:濃厚でメローな香り立ち。チャーオークの香ばしさ、チョコウェハースやキャラメルポップコーン。甘味と共に軽く乾いた木屑、ビターオレンジのような要素も混じる。

味:ウッディーでメロー、香り同様リッチな味わい。チャーオーク由来の濃厚さのなかにはチェリーシロップ、オランジェット、樹液のような粘性のアクセント。徐々に焦げたカラメルを思わせる苦味への変化。鼻孔に抜ける軽い植物感を伴い、ビターでウッディ、スパイシーなフィニッシュが長く続く。

メローでパワフルな濃厚バーボン。ライ麦27%と通常のバーボンより高い比率のマッシュビルが特徴だが、全体的には樽感が強くどっしりとした味わい。果実系の要素よりチャーオーク由来の色濃い甘味が主体で、甘味の後はウッディな苦味が余韻を引き締めている。加水以外にロックにしても崩れないしっかりとしたボディ感で、マッシュビル由来のスパイシーな刺激が際立つ。

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コスパの良いバーボンとして、愛好家から評価を受けるオールドグランダッド114。57%のバレルプルーフ仕様で、裏ラベルを読むと「樽から直接ボトリングされている」旨が書かれているわけですが、加水調整が入っているので真の意味でStraight from the barrelではないものの、ひょっとしてシングルバレルではあるのかもしれません。

今回のボトルは、蒸留所並びにブランドを所有していたナショナルディスティラリーグループがウイスキー事業から撤退し、ジムビーム傘下(厳密にはその前身である、フォーチュンブランド社)となった、1987年以降の流通品。香味の濃厚さから、当時の樽の影響の濃さを差し引いて熟成年数は8年程度と推察しています。

上述のシングルバレルなのかという点も気になりますが、それ以上にリリースに使われている原酒はどこで作られたものかという点が、オールドボトルでは気になるところ。
上の裏ラベルに書かれているFRANKFORT.KYは旧オールドグランダッド蒸留所を、CLERMONT.KYはジムビーム蒸留所をそれぞれ指しているわけですが、ジムビームで作られた原酒のボトリングプラントになっているフランクフォートの設備がいつまで蒸留所として稼働していたのか、はっきりとわかりません。

参考までにナショナルディスティラリー社が当時傘下としていたオールドテイラーは1972年、オールドクロウは1987年に蒸留所を閉鎖しているとのことで、グランダッドも1987年の売却と同時に閉鎖したと考えるのが自然。
ジムビームが蒸留所とストックごと引き取り、生産はジムビーム蒸留所に集約し、熟成とボトリングを各工場で行うという形に変更され・・・過去のストックを消費しつつ、新しい体制での生産原酒に切り替えていったと予想されます。あるいは一般普及品などは混ぜていた可能性も。。。

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(ほぼ同時期流通の加水仕様。ストレートでは普通のバーボンだが、加水やハイボールなど樽感を薄めるとソーピーなニュアンスが。。。)

ナショナルディスティラリー社時代のオールドグランダッドは、ソーピーで特殊なフレーバーが感じられるボトルがいくつかあることでも知られています。
20世紀後半、同社が所有する文字通りのドル箱、国民的銘柄であるオールドクロウが急激に売り上げを落とし、同社のウイスキー事業撤退のきっかけとなります。この背景には蒸留工程におけるミスを放置し続けたことによる、味の劣化があったという説があります。確かに、ベースが共通する1970年代アメリカ流通のギルビージンも似たようなおかしな味がするものがありましたし、そう考えると今回のボトルはジムビーム時代の原酒100%なのかもしれません。

また、2000年代以降、近年にかけて樽感が薄くなるに従いドライでスパイシーさが際立つようになっていくオールドグランダッドですが、所有者が代わり、安定した操業に切り替わったのは怪我の功名だったのかもしれません。
例えそれが、レシピだけ同じで設備の異なる、嗜好品として大事な要素を犠牲にした代物だったとしても・・・。