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ARRAN 
PRIVATE CASK 
For Whisk-e 
Aged 7 years 
Distilled 2011/07/11 
Bottled 2019/02/06 
Cask type 1st fill Sherry Hogshead #1341 
700ml 58.7% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日以内
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:スパイシーでスウィート、ブラウンシュガーとドライプルーンを思わせるダークフルーツの色濃い甘み、ハイトーンな刺激には、ナツメグや微かにシナモンを思わせるニュアンスも。

味:粘性があってドライ、スパイシーな口当たり。黒蜜やドライプルーンの甘味から、徐々にウッディで焦げたチョコレートビスケットのようなほろ苦さ。
余韻はビターでドライ、香り同様にハイトーンな刺激が口内にありつつ、ダークフルーツの甘味が漂う。

若く刺激の残った酒質に、ドライなシーズニング圧殺シェリーという構成。甘味はあるがもうひとつ果実味がほしいところで、熟成感的にも粗削りではある。一方、加水で延びてマイルドな味わいに変化するあたりに、酒質の良さを感じさせる。シガーに合わせるか、あるいは少量加水しながら自分好みのバランスを探しつつ楽しみたい。

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先日、ウルフバーンのジャパンエクスクルーシヴNo,3を記事にした際、短熟で仕上がるシェリー樽の例として、友人が所有しているアランのスペックを参考に紹介していました(写真上参照)。

そこから数日。発表されたリリースが今回の1本。TWCのクォーターカスクの7年だけかと思いきや、シェリー樽の短熟も来るとは。。。こうした短熟で仕上がるリリースは販売計画を立てやすいことも強みですから、今後のトレンドになっていく仕様であるのは間違いなく。
また完全にローカルなネタですが、個人的に興味をそそられたのが、友人のカスクと同じ日の蒸留で、樽番号も10番ちょっとしか違わない、シスターカスクと言える原酒であったこと。短熟シェリーの香味は予想がつきつつも、好奇心のままに早速テイスティングしてきました。


結論からいうと、今回のボトルは自分が思っていたよりもスパイシーでドライな仕上がりでした。
香味の大筋な系統はシーズニングシェリーで、樽材や仕様は間違いなく同じもの。それは樽を調達したボデガが同じということでもあるのですが、もう少し甘味が強く、とろんとしているような仕上がりを予想していたのですが、使った樽に染み込んでいたシェリーの量、あるいは材質の微妙な差か、ストレートでは度数相応に刺激を感じるアタックがあります。

それこそ、もう4~5年熟成させていればアタックはそれなりに落ち着いたのだと思いますが、余韻にウッディな苦味が主張し始めているので、カスクストレングスでリリースするならこの辺りがピークという判断は異論なく。
一方で、アランのシェリー樽熟成は、これまで15年から20年程度の熟成期間で同等程度の濃厚なものがリリースされることが多かったですが、今回はその半分の期間。熟成感の違いはバットや組み直しのホグスヘッド(300リットルサイズ)か、現在のシーズニングホグスとして一般的な250リットルか。仕込みの時期によって樽のサイズそのものが変化しているのではないかと推察します。

ちなみに、直近でリリースされた同じ系統のウルフバーンとの印象の違いとしては、酒質と少量加水による仕様の違いか、奥行きはともかくウルフバーンのほうがマイルドに仕上がっています。
オフィシャルのシングルカスクと考えれば、価格的には比較的手頃。テイスティングの通り酒質の良さから加水の変化も悪くない。若くてもいいので濃いめのシェリーカスクがほしいという方はおすすめですが、この手のリリースは今後の出てくるでしょうから、まずはBAR等で1杯試してみることをオススメします。