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I.W.HARPER 
PRESIDENT RESERVE 
Kentucky Straight Bourbon 
1989-1990's 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封後数日
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:注ぎたては少し刺激があるが、すぐにリッチで柔らかいチャーオーク香。キャラメルやカステラ、オランジェット、メローな要素が主体だが、ほのかにビターな木材の焦げと香ばしい穀物のフレーバーもアクセントに感じられる。

味:メローでまろやか、脹らみのあるリッチなチャーオークフレーバー。メープルシロップのたっぷりかかった少し焦げたパンケーキ、チェリーのシロップやフレーバーティー、微かに干し草。
余韻は引き続きマイルドだがビターなウッディネスが徐々に主張する一方で、樽と穀物由来の甘やかな香りが鼻腔に抜けていく。

リッチでマイルド、余韻にかけてのウッディさが長期熟成を感じさせるが、全体的に引っ掛かりがなく、加水バーボンとして完成度が高い。ロックよりはストレートで。シガーと合わせるならソフトで柔らかいタイプが良さそう。となると、歴史上のエピソードも踏まえてH.upmannだろうか。

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1789年、アメリカ合衆国初代大統領にジョージ・ワシントンが就任し、アメリカという国が立ち上がったその年。牧師エライジャ・クレイグが、初めてバーボンウイスキーを作ったとされており、バーボンの歴史はアメリカの歴史と等しく年月を重ねてきました。

そしてアメリカとバーボン、双方が200周年にあたる1989年。ハーパーブランドから節目の記念にリリースを開始したという特別なバーボンが、このプレジデントリザーブです。
熟成年数表記はありませんが、香味から推察するに15年以上熟成した長期熟成原酒をふんだんに使ったような濃厚さ。そしてコーン比率が高いハーパーらしい、柔らかくスムーズで引っ掛かりのない少ない味わい。ふくよかに広がるバーボン特有の色濃い甘味を最後に引き締めるビターなウッディネス。。。面白味はないですが、完成度が高く純粋に美味しいバーボンです。

面白味が無いというと語弊があるかもしれませんが、例えるなら、エヴァンウィリアムズ23年など、ハイプルーフでリリースされていた長熟バーボンがスポーツカーで、このハーパー・プレジデントリザーブはラグジュアリーな高級車。仕様次第では使えたであろう本来のエンジンパワー等を乗り心地の良さに回し、スピードや運転の楽しさよりも常用域での快適さを追及したもの。
位置付けとしてはマッカランがロールスロイスなら、このプレジデントリザーブはキャデラックってところだなと感じました。
まあ、乗ったこと無いんですけどw

ちなみにこのリリースはバイセンテナリーブランドの1ロット限りかと思いきや、1990年代にかけて継続リリースされ、通常ラインナップのハイエンド扱いだった模様。また、肝心のアメリカ向けに流通していたのか怪しく、当時バーボンブームだった日本市場を中心にアジア圏で流通していた可能性が高いです。
なんせ日本以外にほとんど情報がないんですよね。。。

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現在、IWハーパーの上位グレードには15年があり、これも現行品のなかでは充分旨い、頑張ってるリリースであることは間違いありません。
一方でこのプレジデントリザーブはその上位互換とも言える、さらにリッチな仕上り。上記の経緯もあってか日本市場にはかなりモノがあることと、ノンエイジ&加水仕様も手伝って同じくらいの値段で取引されているので、ハーパー15年好きならこのバーボンはオススメです。