カテゴリ:
IMG_20190508_225802
The Arran Malt 
Aged 21 years 
Release in 2018 (1st lot) 
700ml 46%

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後2ヶ月程度
場所:Bar Eclipse
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディでドライフルーツやフィナンシェなどの洋菓子、あるいは色の濃い蜂蜜も感じさせる甘味とビターな香り立ち。合わせて若干サルファリーなニュアンスも伴う。

味:ウッディでスパイシー、ねっとりとした舌当たり。香り同様の構成で樽感強く、樽由来の香味が重なりあったような木材感がある。余韻はオーキーなフルーティーさも若干混じるが、基本的にはシーズニングシェリーのウッディさと、微かにカカオ、サルファリーでビターなフィニッシュが長く続く。

シェリー樽圧殺というような構成ではないが、使われたシェリーとバーボン、2タイプ由来の樽材感が強いウッディな仕上がりという構成。そのため、酒質という以上に樽由来の香味が主体で、こてこてとしていて、なかでもシェリー系のニュアンスが強く残っている。
ストレートでは少々飲み疲れる部分もあるが、加水するとオーキーでアメリカンオーク由来の華やかさも混じるようになるので、開封後時間経過での変化が期待できそう。

IMG_20190508_225832

昨年12月にリリースされたアラン・オフィシャル通常ラインナップの最長熟成品。
これまでシングルカスクや何らかの限定品で20年、21年はリリースされてきていましたが、創業開始から23年たち、ようやく通常ラインナップとして21年熟成を安定してリリースできる目処が立ったということなのでしょう。

構成はシェリー樽とバーボン樽熟成の複数樽バッティング。テイスティングの通り結構シェリー樽の個性が強く出ていますね。
色合いからリフィルホグス、バーボンバレルも相応に使われているとは思いますが、これらの樽に求めるフルーティーさはストレートでは控えめで、むしろ一番効いているのがシェリー樽。それも創業初期のアラン蒸留所の樽に多いタイプです。

fd338180
(2016年にリリースされた、アラン蒸留所創業20周年記念の20年熟成。濃厚なシェリー感のあるボトルだったが、合わせてサルファリーさもあり、初期のアランの原酒らしいキャラクターだった。恐らくこの系統の原酒も使われているのだろう。)

アラン蒸留所は厳密に言えばアイランズモルトの区分に入りますが、島といいつつもその酒質はタリスカーやジュラのような個性的なものではなく、ハイランドモルトの王道を地でいくようなミディアムボディで素直かつ癖の少ないキャラクターです。
そのため、樽さえよければ化ける蒸留所であり、近年ではアメリカンオーク樽との組み合わせにおいて、フルーティーさのしっかり出たリリースが多くあります。
また、例えばスコットランドの北端に位置するオークニー諸島と比較すると、平均気温(主に最低気温)で約5度前後暖かく、その影響か20年経たず樽感の主張が強いリリースが見られるのも特徴といえます。

今回のリリースは21年分の樽感が感じられるリッチでややクドさの残った味わいである一方で、アランの2000年代のリリースなどでも見られた、蒸留所としての酒質の方向性や樽の調達で苦労していたことがうかがえる姿が思い出されるような懐かしい味わいでした。
アラン21年は、当面は年間9000本限定のスモールバッチでリリースされていくとのことで、使われる原酒の傾向もリリース毎に異なっていくものと思われます。
となると、代を重ねることでより洗練されて、近年のアランに近づくのかもしれません。

アラン10年なども、初期の頃はそこまで安定してはいなかったと記憶していますが、最近は優良オフィシャルとしての評価を確立しつつあります。
それこそ近年のシングルカスクリリースなどから原酒の傾向をピックアップし、将来の21年に個人的な好みを押し付けさせてもらえば・・・アメリカンオークホグスヘッドのトロピカルなフルーティーさを主体に、バーボンバレル由来の強烈な華やかさ、シェリー系のニュアンスで少しコクと厚みを加えて加水でまとめるようなリリースが出たらいいなあとリクエストして、この記事の結びとします。
アラン蒸留所と、21年の今後を楽しみにしています。