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BEN NEVIS 
WHISKY TRAIL 
Aged 21 years 
Distilled 1996 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead #864 
700ml 45.3%

グラス:テイスティンググラス
場所:新宿ウイスキーサロン
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:チーズのような乳酸を思わせる少し発酵したような酸を感じるアロマ、汗っぽいニュアンスも感じるが、時間と共にケミカルさ、パイナップルキャンディを思わせる人工的なフルーティーさも開いてくる。

味:乾いた麦芽とウッディさ、少しオイリーでケミカルな甘みもある。それが余韻にかけてパッションフルーツやパイナップルを思わせる南国系のフルーティーさに代わり、薄皮付きのアーモンドのようなほろ苦く軽めのタンニンを伴うフィニッシュが長く続く。

いわゆるケミカルなフルーティーさが主体のボトルであるが、余韻にかけてただケミカルなだけではない、熟した果実のフェロモンのような南国系トロピカルフルーツを伴う点がポイント。樽の要素、熟成による抜け、そして酒質由来の特徴、これらが混じりあった結果であろうか。加水すると麦芽風味が開き、バニラや粥のような甘みを伴う。


エリクサーディスティラーズリリースのベンネヴィス21年。フルーティー路線で安定したリリースの多い印象がある1996年のベンネヴィスですが、このボトルについても香りはいかにも、味もいかにも、というベンネヴィスらしい構成です。
ただしそのフルーティーさに、余韻にかけて往年のトロピカルフレーバーを含むニュアンスが備わっていて実に好ましい。この要素だけで、思わずワンランク高い評価をつけてしまいたくなります。

ベンネヴィスからは1996年蒸留に加え、その前後の蒸留時期のものが数多くリリースされてきましたが、ここまではっきりとしたトロピカル系のニュアンスが備わったボトルはあまりなく、大多数はアイリッシュウイスキーを思わせるようなケミカルなタイプが主流です。

1960年代、70年代と酒質が安定せず、良いものも希にありますが、個性の乏しいものも少なくない。それが1986年に設備を改修し、時系列的には休止を挟んでその後1989年にニッカが買収しているのですが、1990年代からこの手のキャラクターが強くなってくることを考えると、設備の改修が蒸留所として持っていたポテンシャルを引き出したのかもしれません。

今回のリリースについては、同じ時期に樽違いの47.5% #869  (下図ラベル)が発売されており、聞くところでは同様のキャラクターを備えている模様。どこかで試してみたいです。

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(それにしてもこのシリーズのラベルはファンタジー要素で溢れている。ウイスキー要素とは一切関係ないのだがw)