カテゴリ:
IMG_20190406_164904
BENRIACH 
SHERRY WOOD 
THREE WAY SHERRY MATURATION 
Aged 12 years 
2018-2019's 
700ml 46% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★(5)

香り:カカオ多めのダークチョコレートを思わせるアロマ。おがくず、バニラ、オレンジピール、微かにハーブも伴うウッディネス。

味:ややドライでビターな口当たり。オールブランやかりんとう、序盤はほろ苦く甘い程度だが、徐々にカカオを思わせる苦味が強くなっていき、木材の焦げ感や若干の硫黄を伴うウッディでビターなフィニッシュへと繋がる。

香味とも色合い同様にシェリー樽系統の甘味や果実味はそこまで強くないが、余韻にかけて樽由来のビターなフレーバーのみ強くなっていく。加水しても同様であり、あまりバランスが良いとは言えず、もう少し甘味や果実味がほしいところ。

IMG_20190330_200240

スタンダード銘柄におけるシェリー樽熟成ウイスキーの代表とも言える、ベンリアック12年シェリーウッド。2017年、メーカー生産終了に伴って国内流通品も終売となりましたが、先日紹介したグレンドロナック15年リバイバル同様に、2018年末からリリースを再開していました。

ベンリアックは、グレンドロナックのように蒸留所の操業が途絶えていたということはないため、終売の経緯を短期間で復活したことから考えると、蒸留所が持つ原酒の使い方や、オフィシャルリリースの価格帯を整理するためだったのかもしれません。
旧ボトル(特にラベルに光沢がある初期リリース)はスタンダード品ながらしっかりとしたシェリー感が備わっていましたが、ロットおよびラベルチェンジを経る毎にシェリー感が薄くなっており、樽や原酒の確保に苦労しているという印象は兼ねてから受けていました。

今回のリリースからは、樽構成が最初からシェリー樽熟成(旧ラベルはオロロソシェリー40%、ペドロヒメネス60%)ではなく、シェリー樽で熟成した原酒に、なんの樽で熟成したものがベースかは不明ながらオロロソシェリー樽やペドロヒメネスシェリー樽でフィニッシュした原酒を加えた構成(THREE WAY SHERRY MATURATION
)に変更されています。

ただしそこまでリッチなシェリー系の味わいではないことから、ベースがリフィルやサードフィルのシェリーカスクなのではないかと考えられます。また、樽由来の苦味が余韻にかけて強いことを考えると、フィニッシュ用の樽がチャーされているのかもしれません。
復活は喜ばしいですが、内容は両手を上げて歓迎しがたい仕上がり。良質なシェリー樽の調達が難しいなかで、リリースを維持するために様々な工夫が行われているのだと、色々考えさせられるリリースです。