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LONGMORN 
GORDON & MACPHAIL 
Aged 43 years 
Distilled 1965 
Bottled 2009 
Cask type Refill Sherry Hogshead #68 
For JAPAN IMPORT SYSTEM 
700ml 44.4% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後数年程度
評価:★★★★★★★★(8)

香り:キャラメリゼを思わせる甘味、枝付きレーズンやオランジェット、リンゴのカラメル煮などのフルーティーさ。古びたウェアハウスを思わせる落ち着いた樽香とかすかな土っぽさ、そしてしっとりとした果実香を伴うアロマ。

味:ややドライでオレンジやベリーなど、いくつかのドライフルーツを伴うウッディネス。ボディは弱くはないがへたらないギリギリのところ。すぐにロングモーンらしいトロピカルなフルーティーさが口内から鼻孔に抜けていく。
余韻はドライで軽くスパイシーな刺激、紅茶葉やくるみの皮のタンニン、適度に枯れたビターなフィニッシュ。

長期熟成で度数は落ち気味というスペックらしく、樽由来のウッディネスは多少強く尖ったようなスパイシーさも感じられる。シェリー感はバランスがとれて透明感あり。1960年代のロングモーンらしい熟した果実の発するある種のフェロモンのような、魅惑的な要素を充分感じることができる。


かつてGMブランドの最高峰としてリリースされていたケルティックシリーズ(実は特に基準はなく、インポーターでラベルを選べたという話も。。。)
1965ロングモーンだけで、度数違いが3種類ありましたでしょうか。そうしたリリースの中で比較すると、このボトルは突き抜けて素晴らしいわけではありませんが、それは全て高いレベルでの話であり、美味しい長熟ロングモーンであることに違いはありません。

テイスティングの通り適度なシェリー感と合わせて、ロングモーンらしい酒質由来のフルーティーさも伴うバランスの良さ。そして長期熟成だからこその枯れたニュアンスと、角のとれたタンニンが染み込むように残り、まさにGMとしてもロングモーンとしても、王道的な1本であると言えます。

使われた樽は、おそらく今のように最初からホグスヘッドで組まれたシーズニング樽ではない、バットで使われていたものの組み直しのホグスヘッド。
こうしたホグスヘッド樽は隙間が出来やすいのか、度数が下がりやすい傾向があると感じられますが、このリリースについては40年以上熟成していますから度数が下がるのも当然といえば当然です。一方で、その度数落ちギリギリのところと、リフィルらしくシェリー感に透明感があり、そこまで強く出ていないところが、フルーティーさを潰さずに長期熟成という枠の中でのバランスの良さに繋がっているように感じます。

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こうしたケルティックシリーズの長熟は、どれも共通の枯れたニュアンスがあり、若いモルトにどれだけ樽を効かせても再現できない要素のひとつです。上の写真は先日開催された、ウイスキー仲間のSさん主催のテイスティング会でのワンシーン。この辺のボトルにはだいたいそのニュアンスが備わっています。

テイスティング会では事前に共有されたリストを見るとGMケルティックがいっぱい。せっかく仲間内で飲むんだし、なにか持っていきますかと差し入れしたうちの1つが今日のテイスティングアイテムです。
自分にとっては、なんか飲み始めの頃にタイムスリップしたような懐かしいラインナップの会でした(笑)。

それにしてもほんの10年前ですが、GMの当時の大盤振る舞いは本当に凄まじかった。
保有原酒が熟成のピークを過ぎかけて焦ったのか、他がない中でJISさんが引いてくれるんで売り時と思ったのか。日本市場にGMケルティックがバンバンリリースされてて、酒販やBARの棚がこんな感じで並んでたってのも珍しい光景じゃなかったんですけどね。

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この日はスタートは串揚げ、間にウイスキーはGMケルティックの飲み比べを中心に長期熟成を何本も味わい、そして締めはラーメン。
上述の"枯れ"を伴うフルーティーな熟成感をケルティックシリーズ含めて長期熟成ラインナップで堪能しただけでなく、全体的に10年前に戻ったかのような完璧にやりきった休日でした。いやーたしかなまんぞく!(笑)