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THE MACPHAIL'S COLLECTION
GLENROTHES
Aged 38-39years
Distilled 1969
Bottled 2008
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:濃厚でしっとりとした甘い香り立ち。カラメルソース、レーズンや微かにベリー系の要素も感じられる角のとれたウッディネス。古いウェアハウスのような落ち着いたアロマでもある。

味:マイルドな口当たり。こってりとしたカラメルソースを思わせる甘みから、中間は若干のウッディな渋味はあるが圧殺されて変化に乏しく、酒質そのものは大分軽い。余韻はダークフルーツやキャラメルソースの酸味と熟した果実、濃厚な甘み。タンニンが染み込むようにビターでウッディなフィニッシュ。

まさにGMシェリーという、カラメルソースのような味わいがこてこてのモルト。香りは素晴らしく文句なく★7ですが、味は元々の酒質の繊細さが加水で慣らされてるところに、樽由来の要素も加わって圧殺されて変化に乏しい。甘みも少々くどいが、シガーと合わせるにはちょうど良い。


今となっては懐かしいボトル。まさにこのボトルがリリースされた10年前は、このシリーズ含めGMのリリースは普通に店頭にあって、愛好家からは「え、GM加水なんて買うの?」「安パイすぎじゃね?」って言われるくらいの位置付けだったように記憶しています。

というのもGMの60年代蒸留で、ストラスアイラやグレングラントなどの長熟リリースは、大多数がカラメルをがっつり添加したような印象を受ける同じような味(通称・GMシェリー味※)がして、大きく外れない代わりに変化に乏しいのが、安定感という点で良さでもあり、弱点でもあったわけです。
※カラメルは味がしないため、実際はカラメル添加の影響というより、樽の処理や入手先に違いがあるのだと推察。

一方、このGMが大量にリリースしていたシェリー系の香味は、1980年代後半辺りの蒸留時期から急に数が減っており、今ではほとんど見なくなってしまいました。
そのため、最近飲み始めた人だとGMシェリー味と言われてもピンと来ないか、加水の緩いリフィルシェリーって方が該当してしまうかもしれません。

この樽使いの系統が1980年代を境に変わった背景を推察すると、自分の考えは以下の2点。
使用済みシェリー樽に、シェリー濃縮液をリンスする、パハレテ樽が1989年に禁止されたため、入手できなくなったという可能性。
そしてもう一つがこちらも1989年、クリーム・シェリーの業界最大手ジョン・ハーヴェイ社の製造拠点が、イギリスからポルトガルに移った(あとは需要が減った)ことで、スペインからの輸送・保管用の樽が不要となり、手に入らなくなったという可能性です。
今となっては真相は闇のなかですが、GM シェリー味の妙に甘みが強く、べたつくような特徴的な味わいという特徴と、近年見かけることが少なくなったという流通状況(樽が入手できなくなった)という条件から、どちらも矛盾はありません

この系統のリリースは個人的に、味はそこまで好みではないものの、時々無性に飲みたくなります。
特に今回のグレンロセスは、元々酒質が繊細で厚みがあるわけではないため、完全にGM味に上塗りされてしまっています。これがロングモーンとかだと余韻に酒質由来の熟したようなフルーティーさが出て、十分美味しいんんですけどね。
そんなわけで暫くは癒し系寝酒として楽しもうと思います。


以下、雑談。
今回のボトルは、先日仲間内での持ちより会用に開封した1本。遠方から来る友人が、この手の味を好きだったのでチョイス。懐かしく、スイスイ飲めるのでたまには悪くない。
その他、低温調理のローストビーフの差し入れがあるとのことだったので、赤ワインも1本。マルチアーノ・アボーナのバローロはベリーなどの果実香が素晴らしく、熟成を経て角も取れており、良い買い物だったなと思います。

気心知れた仲間との、雑な飲み会という位置付けでの招聘でしたが、気がつけばウイスキーも結構凄いラインナップ。
大いに飲み食いし、わいわい騒いで、充実した時間を過ごすことができました。
お酒が醸す人の繋がり。やはり良いですね。