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THE AKKESHI 
NEW BORN 2019 
HOKKAIDO MIZUNARA CASK 
Foundations 3 
Single Malt Spirit 
Non Peated 
200ml 55

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:自宅
評価:ー

香り:若さに通じる金柑などの柑橘や乳酸系の酸、乾いた木香と軽い香ばしさを伴う香り立ち。
スワリングするとバニラや蒸かしたサツマイモのような甘いアロマ。微かにニッキやハーブ、レモングラスなどのスパイス香、あるいは新しい和室を思わせるような要素が混じる。

味:荒さはあるが、熟成を考えればスムーズな飲み口。
香り同様軽い乳酸や柑橘の酸味。徐々にスパイシーでありながらクリーミーな舌当たり。薄めた蜂蜜、ほうじ茶や干し草、おがくずを思わせるビターなウッディネスが、ヒリヒリとした刺激と合わせて口内に残る。

使われた樽のサイズの関係か、樽由来の要素はそこまで過剰ではなく、酒質由来の若いニュアンスが主体で、ゆっくりと熟成が進んでいることを感じる。ボディは適度にあり、少量加水するとバッティングの影響か少し水っぽさが出るように感じられる一方、香味の酸や荒らさが落ち着き、微かにオーキーな要素があるようにも。
今まさに芽吹こうとする原酒のスタートライン。ストレート、または今の段階で楽しむならハイボールで。

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北海道、厚岸蒸留所シングルモルト、3年熟成への道。
今回のテイスティングは、その熟成過程でリリースされることが発表されている、4作のニューボーン(ウイスキースピリッツ)のサードリリースであり、北海道産ミズナラ樽で8ヶ月から23ヶ月熟成した原酒10樽をバッティングしたものです。

これまでの2作は蒸留所の酒質やハウススタイルの基準、原点を知ってもらうことを目的としたような、ノンピートとピーテッドモルトのバーボンカスク熟成品でした。
一方今回のリリースは少々位置付けが異なっており、使われた原酒の熟成期間が最長で2年弱に伸びたことによる熟成感の違いというよりは、今後北海道産のシングルモルトとして展開を予定している同地域産のミズナラ樽を用いた原酒の・・・言わば”樽香の原点”を知るリリースと言えるのではないでしょうか。

ウイスキーの最低熟成年数を3年。これを植物の成長に準えて芽吹きとすれば、今回のリリースはまだ土の中で種から根が少し伸びたぐらいの状態でしょう。その段階のものを知って、これからの成長と未来に想いを馳せながら楽しむ。
「ミズナラ樽は、伽羅や白檀などのオリエンタルフレーバーをもたらすと言われています。果たしてボトルの中の原酒は、双葉より芳しく香り立つことが出来ますでしょうか。」
というラベルに書かれた文面が、まさにこのリリースの位置付けを表しているように感じます。

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よって今回のレビューは、酒質部分よりも樽要素に重点を置いて考察していきます。
ミズナラ樽の香味と言えば、多くの消費者に求められるのが上記の文章にある伽羅や白檀のような。。。サントリーがリリースしている山崎のそれであるわけですが、現時点で厚岸に植えられた"種"から、その香りは感じられません。

ですが、これまで短期熟成から長期熟成、あるいはウッドチップまで、色々ミズナラに関する原酒を飲んできて感じるのは、ミズナラ樽で短期間の場合はスパイシーな香味のほうが強く出る傾向にあり、長期熟成の中で香木のようなアロマ、オーク樽らしい華やかさ、フルーティーな香味が、いわゆるオリエンタルな要素として徐々に濃くなってくる印象があります。
(そうした特性故、樽の使用状態や熟成環境のバランスが重要と考えられるだけでなく。あるいはバーボンバレルである程度熟成した原酒を新樽のミズナラ樽でフィニッシュすると、サントリー系の香味を擬似的に再現できたという事例もあります。)

したがって現時点の原酒でも、これはこれでミズナラ樽らしい特性が感じられる、可能性を秘めた種であると言えます。
今後この原酒が育った先にオリエンタルなフレーバーがあるかはまだわかりませんが、方向性としては、微かに日本家屋(和室)のような要素やクリーミーさが香味に混じるため、樽の要素が徐々に濃くなっていくなかで可能性は充分あると思います。
もちろん、そのためには3年だけでなく、5年、10年という時間が必要だとは思いますが・・・日本の環境でどこまで熟成を続けられるか。その点、今回のリリースによって生まれたリフィルのミズナラ樽10樽の存在も、長期熟成を目指したウイスキー作りの助けになると思います。

さて、気がつけば厚岸蒸留所創業の2016年から3年目となる2019年です。
ニューボーンのリリースも残すところあと1作。これはグレーン等の原酒を調達し、バーボン、シェリー、ミズナラ樽の各種厚岸原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーでリリースされるそうです。
そしてシングルモルト区分でリリースされる3年熟成の仕上がりは如何に。今年あるいは来年初頭の、楽しみなイベントの一つなのです。

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(厚岸蒸留所ニューボーン第1弾から第3弾。並べてみるとボトルやラベルの色合いだけでなく、箱のデザインも微妙に異なっており、ロゴがリリース毎に一つずつ増えていっている。今回のリリース、比較するなら第1弾と。)