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THE NIKKA 
NIKKA WHISKY 
12 Years old 
700ml 43% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR ゾートロープ
評価:★★★★★★(6)

香り:新樽系のキャラメルやバニラ、微かに樹皮を思わせる甘くほのかに香ばしい香り立ち。乾いた穀物、オレンジママレード、熟した瓜のような青みがかったニュアンスも感じられる。

味:マイルドな口当たり。膨らみがあり、ナッツを思わせるほろ苦いモルティーさ。色の濃い蜂蜜、パイナップルシロップのようなしっとりとした甘みと果実味が、余韻にかけてビターな樽香と共に感じられる。

新樽やリメード樽熟成のモルト原酒のキャラクターが備わっており、グレーンも厚みがあるリッチなブレンデッド。余韻にあるシロップのようなフルーティーさと合わせて、ニッカ味と言える個性が備わっている。ストレート以外にロックも。


40年のほうは以前レビューしていましたが、こちらは掲載していなかったザ・ニッカ12年。
2014年にリリースされた時点では、ニッカのブレンデッドにおけるミドルグレードという位置付け。しかしその後、鶴17年が終売となったため、通常品最上位はこの銘柄ということになって現在に至ります。
12年がトップというのは些か寂しいように思いますが、サントリーが響でハイエンドブランドを確立していますので、原酒も限られてる故、同じ領域では勝負しないということなのかもしれません。

とはいえ、苦しい原酒事情の中でもニッカらしい個性を維持し、リッチなブレンドに仕上げられています。
その個性は樽由来のキャラクターがポイント。通常品のなかではニッカ以外どのメーカーにもない、キャラメルやメープルシロップを思わせる新樽由来の甘みが、黄色系統の果実と共に感じられる。モルト比率も高めで、余市よりは宮城峡、あるいは例のアレも相応に使われている印象です。
樽香についてはブーム前は多くのニッカ製品に多少なり備わっていたものの・・・最近は竹鶴17年、21年と、ニッカ12年くらいになってしまいました。

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一方で近年の原酒不足から、このザ・ニッカ12年は既に終売というかリニューアルが決まっており、2019年4月9日にはノンエイジ仕様となるTHE NIKKA Tilored がリリースされることとなっています。
昨年響17年がNASのブレンダーズチョイスに置き換わったように、ノンエイジ化の動きはニッカも例外ではありません。(っていうかエイジング表記は竹鶴しか残ってない状況。)

ニューリリースの希望小売価格は、12年からお値段据え置き6000円。テイスティングはできていませんが、これまでの事例で考えると、やはり若い原酒が入って該当するフレーバーが感じられるようになるのではないかと考えられます。
例えばメーカーコメントは大枠の方向性は同じように見えますが、”フルーティーで華やかな香り”となっているあたり、樽香が多少控えめになるような印象もあります。

ここはニッカの意地で、同じレベルの味わいを維持してほしいところですが。。。
カフェグレーンにカフェモルト、そしてニッカファンに根強い人気があったフロムザバレルまで終売という噂があるなかで、ザ・ニッカまでなくならないのは、それこそが最後の良心・・・というか、”せめてもの抵抗”と言えるのかもしれません。

ここから先、ニッカのラインナップはどうなってしまうのか。
限定品で宮城峡の創業50周年を記念した、余市と宮城峡のシングルモルトはリリースされるようですが、それも一時のこと・・・。
勿論、これらの新しいリリースには期待しています。しかし、ブームという名の熱気は、新しい出会いを生んでくれた一方で、回り回って我々を蝕んでいるように思えてならないのです。