カテゴリ:
TAKETSURU
NIKKA WHISKY
PURE MALT
Aged 17 years
2003〜2011’s(2007’s)
700ml 43%

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封後数日以内
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:メローでチャーオークの焦げ感漂う、しっとりしたウッディネス。キャラメルナッツ、樹皮、古いウェアハウスのような落ち着いたニュアンスに、合わせてドライアプリコットや色の濃い蜂蜜、ピーティーさも感じられる。

味:口当たりは濃厚で、しっかりと芯のある味わい。角の取れた新樽経のウッディネス。ナッティーでメープルコーティングされたアーモンドやくるみ、林檎のカラメル煮を思わせる甘みもある。徐々にスパイシーで微かなピート、奥には黄色いフルーティーさがあり、戻りとして感じられる長いフィニッシュへと続く。

力強い酒質と、エステリーさのあるソフトな酒質が混ざり合い、やや強めの樽感の中で1本芯の通った味わいに仕上げられている。基本的には新樽系統の香味であり、ニッカウイスキーらしい好きな人にはたまらない味わい。ロックにしても悪くない。また葉巻との相性が良いのも特徴。


ウイスキー冬の時代、飲みやすさのブラックニッカクリアブレンドに対して、モルトの個性を出したリリースとして、2001年にラインナップを拡充する形で発売された竹鶴17年の2世代目に当たるボトル。
ニッカウイスキーがアサヒビール傘下となり、2003年にラベルチェンジが行われたのが、今回紹介するボトルのリリース時期にあたります。

初期の頃はコルクキャップが採用されており、途中からマイナーチェンジでスクリューキャップに変わったのか、同じラベルで2種類のキャップが存在するようです。
今回テイスティングしたボトルはスクリューキャップ版で、製造番号から2007年のものと推測。ちょうど自分が竹鶴12年でウイスキーに興味を持ったころで。。。この頃は4000円しなかったんだよなぁ。。。なんて個人的な話はさておき、当時の竹鶴は新樽やリメード樽のニュアンスが主体的で、ニッカ味ともいうべき無骨な樽感、そしてオーク由来の黄色い果実味が余韻にかけて感じられる、熟成感のある味わいが特徴です。

原酒構成を余市、宮城峡だけに限定すれば、ヘビーピートな余市ではなく、ライトピートタイプの余市と宮城峡が半々くらいか、ちょっと宮城峡が多めという感じでしょうか。加水でありながら酒質的にはしっかりと強さも残っており、飲みごたえもある1本に仕上がっています。

(竹鶴17年の現行ラベルである3世代目(左)と、今回の2世代目(右)。2011年ごろにリニューアルして切り替わっている。)

上記写真に写る、2世代目と現行品である3世代目を比較すると、ラベルチェンジ後しばらくの間は新樽に加えてシェリー樽やバーボン樽など、ニッカが所有する様々な樽で熟成させた原酒をバッティングされたような、いくつかの個性が口の中で混然と主張してくるような特徴があります。
余韻の黄色い果実味は変わりないのですが、樽同士の繋がりが薄いというか、こなれてくるまで時間がかかるだけでなく、新樽要素の代わりにニッカのシェリー樽とも言える、硫黄系のニュアンスが出てくるのも3世代目からで、明らかに原酒構成が切り替わっています。

ところが、先日2017年下半期製造ロットの竹鶴17年をテイスティングしたところ。該当するシェリー感が少なくなり、むしろ新樽的な無骨な感じが増して・・・樽構成としては2世代目への先祖返りをしている印象を受けました。
近年の原酒不足から生産量を春秋の2回に絞っていることと、シェリー樽が高騰して手に入りづらくなっていたことが影響しているのかもしれません。

それでもどちらが好みかと言われれば、やはり熟成感の強い旧ボトルが一歩リード。突き抜けて差があるわけではありませんが、経年もあってか一体感も今回テイスティングしたボトルのほうが強く感じられ、ウイスキー冬の時代の名品だよなと今更ながらに思うのです。