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ANDERSON CLUB
(HEAVEN HILL)
Aged 15 years
1990's
750ml 43%

グラス:ヴィノテクスピリッツ
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:艶のある甘く奥深い香り立ち、ナッツを塗したチョコレート、微かにチェリーやベリー香、香ばしさのある穀物感。思わず惹きつけられる香り立ちではあるが長続きせず、ややドライで奥からは溶剤的なニュアンスも立ってくる。

味:ドライな口当たり。チョコウェハース、微かなシロップ漬けチェリー、乾いた植物感を思わせるチャーオークフレーバー。中間以降はウッディネスが支配的。ボディは加水が効いてそこまで厚くはないが、鼻抜けはしっかりと熟成由来の甘みが漂う。

美味いオールドバーボンの片鱗を味わえるボトル。あくまで片鱗であり、それ以外は樽のドライな要素が強く、もう一つボディが欲しいとも感じる。個人的にはヘブンヒルのセカンドラベルという印象。香り高いがドライでビターな味わいは、アレンジするならミントジュレップがオススメ。


閉鎖や買収、業界再編の多いバーボンウイスキーにとって、いくつかの蒸留所表記は特別な意味を持つことがあります。例えばStitzel Weller表記は、オールドフィッツジェラルドやバンウィンクルなどの名作を生んだ蒸留所として知られ、旧ウィレット蒸留所にあたるKBD社なども同様。こうした銘柄は、オークション等でも高値で取引されています。

その流れで、1997年に火災消失した旧ヘブンヒルを示すBARDSTOWN KENTUCKY 表記のボトルも、ボチボチ懐かしくなってきた頃合いではないでしょうか。ヘブンヒルは他社銘柄への原酒供給が多い蒸留所でしたので、バーボン飲んでりゃヘブンヒルに当たるといえるくらい珍しいものではありません。
他方先日、1989年、1990年蒸留の旧ヘブンヒル時代の原酒を使った、ヘブンヒル27年がリリース。販売価格499ドルで即完売し、オークションでは2000ドルを超えているとか。。。

近年ハイプルーフかつ長熟バーボンの需要が高まっている背景も大きいとは思いますが、ちょっと前まで1万しなかったヘブンヒル15年が気がつけば良いお値段だったりで、じわじわこのブランドも消失プレミアがつきつつあるなと思うのです。

(ボトルにプリントされた蒸留所の俯瞰図。ちょっとウェアハウスの配置が近すぎるような気もするが、デフォルメされているのだろうか。)

さて、この銘柄ですがバックストーリーは不明であります。(笑)
一応調べるだけは調べました。ただ、明らかになるのはブランドストーリーではなく、このバーボンは古く1970年代流通品には6年熟成品があったこと。1980年代のバーボンブームを受けてか、妙に日本に流通していたことくらいで、「アンダーソンクラブ」が何の名称なのか(米軍将校級のサロン向けという話は裏が取れず)、マッシュビルはどういう組み合わせだったのかなど、重要なところが全くわからないのです。

なので、自分はこの銘柄を"ヘブンヒルのセカンドラベル"として割り切って考えることにしています。
ふくよかで芳醇な長熟由来の樽香はポジティブな要素で、旧ヘブンヒルと言われると納得できる乾いたような植物感がらしさを感じさせる反面。オールドバーボンにあってほしい艶を帯びた果実や甘みの持続力が香味とも短く、こちらが堪能する前に消えていってしまう。価格もヘブンヒルブランドの中では安価な部類であり、これらの特徴がセカンドラベルとして位置付けるとしっくりくるのです。
とにかく旧ヘブンヒルの長熟を飲みたいという場合は、1番入手しやすいところかもしれません。