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WHITE HEATHER
Deluxe Blended Scotch Whisky
Years 8 old
1970-1980's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★(5ー6)

香り:バニラウェハースやポン菓子、穀物系の乾いたアロマ、ハーブやアロエのようなやや青みがかった甘いニュアンスも感じられる。

味:マイルドでモルティーな甘さから、薄めた蜂蜜、コーンフレーク、軽やかな甘みと香ばしさを感じさせる構成。
余韻はスウィートでドライ、少しのピートフレーバーを伴いほろ苦く長い。

樽感は軽めでプレーンなタイプ。グレーンもそれなりに使われているように感じられるが、モルティーさもあって少量加水で程よく伸びる。


ボトル形状でキーモルトはなんとなくピンときてしまう、ホワイトヘザー。ブランド誕生時作り手であったキャンベル社は、アベラワー蒸留所を所有していたことから、同蒸留所の影響が強くでているブレンドと言われています。
1974年、キャンベル社はアベラワーと共にペルノリカールに買収され、ここから海外市場に積極的に展開されるようになり。特にフランスでの認知度は高かったそうで、日本流通品もこの頃から多く見られるようになります。

当時のラインナップはデラックス表記のNASと、5年、8年の3種類。1980年代に入ると、デラックス品を10年以上の熟成年数表記とするトレンドをとってか、12年、15年がリリースされたようですが、80年代からのスコッチウイスキー冬の時代の影響を大きく受けたのか、1990年代に入ったあたりで終売になったようです。(2000年代流通があるようで、フランス等欧州で限定的には販売継続していた可能性もアリ。)

(ホワイトヘザー1980年代流通の2本。左が760ml、右が750mlの整理で日本市場に流通している。微妙にボトルが異なるが、このロットでは味に大きな違いは見られない。)

(1970年代流通のホワイトヘザー。さらに古いものはキャップがプラスチックヘッドのコルクキャップやショートスクリューに変化する。)

つまるところ現在は国内流通していない銘柄ですが、キーモルトの知名度を受けてか、愛好家の間ではそれなりに知られたブレンデッドです。
今回のボトルは760ml表記。ラベル遍歴や香味の変化を追うところでは、1980年前後、760mlから750mlに容量の整理が変わる末期の流通品と推察します。

香味の変化という点では、1970年代及びそれ以前に流通したホワイトヘザーは、シェリー樽原酒由来と思われるキャラクターが強くでており、リッチで色濃い仕上がりが特徴です。同時期のアベラワーは同様にシェリー樽の効いた構成でしたので、やはり同じ原酒を軸にしているのでしょう。
一方、1980年代にになると上位グレードとの原酒の使い分け、あるいはペルノリカールから他のブレンド向け原酒供給を受けてか、スタンダードクラスからその濃さは消えていくこととなります。

ホワイトヘザー=オールド・アベラワーが軸、という図式からすれば、1980年代流通品は少し寂しい気持ちになる味わいでもあります。しかしそれでも大手メーカーの作。樽感は強くないものの、モルティーなコクが感じられると共に、淡い内陸系のピートフレーバーがホワイトヘザーの名に相応しい。加水しても伸びのある、良質な原酒の一端も感じさせてくれるのです。