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TALISKER
Aged 10 years
2010's
750ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR CAPERDONICH
評価:★★★★★★(5-6)

香り:やや荒さはあるが、ドライオレンジピールやハチミツ梅を思わせる酸味、ピーティーで焦げた木材、塩素、微かに魚介粉末のような要素。

味:荒さの残るピーティーさ、香り同様にアプリコットや微かに梅っぽさを含む酸味、とろりとしたコクが舌をコーティングするように感じられる。余韻はドライでビター、ほのかに焦げたようなウッディネス。スモーキーでスパイシー。

突き抜けるわけでも、スケールが大きいわけでもないが、スタンダードグレード枠として見ると中々完成度が高い。特に若さに通じる要素が上手くカバーされており、近年タリスカーの個性を感じ取りやすい。ハイボールも良好。


数年前にラベルチェンジした、旧ラベルのタリスカー。流通時期としては2000年代後半(2006年ごろ)〜2015年の約10年間くらいだったと記憶しています。
さらに旧ラベルの情報をまとめると、
①1990年代後半から2000年代前半
スカイ島の周りに枠が書かれ、印字が濃い。
②1980年代後半から1990年代前半
10年表記でリリース。マップが半分に分割されたようなデザイン。通称マップラベル。グリーンとブラウン、ボトルカラーが前期と後期の流通時期で分かれている。
③1980年代中頃から後半
TDロゴ廃止。ジョニーウォーカーのロゴが入る。
④1970年代から1980年代初頭
エイジングは8年と12年。TDと書かれたロゴが特徴。通称TDラベル。

以上のような遍歴があります。
タリスカーは1990年代、UD社時代の②
ラベルから国内には一定数入ってきていたため、以降の在庫は相応にあると考えられます。
ですが人気の銘柄ということもあり、現行品から見て旧旧ラベルの①ですら、ヤフオク価格で1万円を越えてきている状況。
今回のボトルはまだ当時価格かちょっと高いかくらいですが、②のグリーンカラー時代や③あたりになると、流石に手を出しにくい。勿論美味いボトルであることは間違いないものの、古ければ・・・というような、過剰に高騰してきている感は拭えません。

(2019年時点、現行品のタリスカー。旧ラベルに比べてドライ、コクが薄くなった分樽感や酒質の荒さが強調された印象はあるが、ハイボールで使いやすい。価格良し、個性良し、流通良し。現行品枠の優等生な1本。)
(②と①、1980年代末期から2000年代に前半流通のタリスカー2種。この2本は樽使い違いか、①は現行路線のスパイシーさが、②はマイルドな飲み口の中に麦感と島系の要素。キャラクターに線引きがされている印象。画像引用:https://blogs.yahoo.co.jp/tsuto2106/9515847.html)

前置きが長くなりましたが、この時代のタリスカー10年は、良くも悪くも現行品とフレーバーに大きな違いはない、まさにスタンダードな仕上がりです。
独特な酸味を伴う香味、ピーティーさはまさに近年のタリスカーの特徴。違いは全体のまとまりがいいというか、ボディに多少コクがあり、それがピートやヨードと樽由来のフレーバーを繋いで、バランスのよさに一役買っている。
先に触れたように、現行品はここがドライで、全体的に荒いというか刺々しいですね。

以前MHDの方から、最近はサードフィルあたりの樽で酒質を活かすように熟成した原酒に、ファーストフィルの原酒を加えて香味のバランスを取っているという話を伺ったことがあります。
例えばファーストフィルがかつては2割だったのが、1割になったら、全体のバランスに大きく影響します。
麦や製造行程以外に要因があるならば、このサードフィルやセカンドフィルの比率が増えてきているのかもしれません。