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TALISKER 
NEIST POINT
For Travel retail
700ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR飲みなど
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:燻したスモーキーさ、キャラメル、杏ジャムや微かに梅干しを思わせる甘みと酸味。サラミ、胡椒を思わせるアロマ、塩素系のツンとしたニュアンスも感じられる。

味:スムーズでコクがある。燻したピーティーさとオレンジママレード、合わせてスパイシーで焦げたようなオークのニュアンス。
余韻はピリピリとスパイシーな刺激に加え、塩気と染み込むようなピートが長く続く。

タリスカーのオフィシャルらしさを、若さ由来の勢いのある個性と熟成した原酒のコクで全体のバランスとして整えている。これはこれで完成度が高いというか、面白さのあるシングルモルト。
ハイボールはすっきりとした飲み口だが、ややパンチというかボディに欠ける印象もある。ストレートで蒸留所の個性を楽しみたい。


免税店向けにリリースされていた、タリスカーのノンエイジ仕様。Neist pointはスカイ島の最西端にある岬の名前で、スカイ島を象徴する名所の一つのようですね。ラベルにはその緯度経度が書かれています。
リリースは約3年前、日本には2年ほど前から並行品が入ってきていました。自分も何度かテイスティングし、オフィシャル18年とは異なるベクトルで面白さのあるリリースと感じたことから、対抗馬として紹介していたところです。

一方、最近はオフィシャル18年が値上がりしただけでなく、熟成感が減ったというかボディの薄さが目立つようになってきたこと。何より、1万円を下回る並行品(最安税込7k台)が今年の夏頃から某酒販に入ったこともあり、2つの理由でオススメと言えるボトルになってきました。

原酒の構成はNA仕様らしく、若い原酒から熟成したものまで、比較的幅広く使われている印象で、樽構成はオフィシャルスタンダードと同系統。
若いタリスカーのスパイシーさや、存在感のあるピートフレーバーが感じられる一方、それらをコーティングするようにマイルドな酸味、熟成した味わいもある。おそらく、10年弱あたりから20年くらいの間でバッティングされている銘柄なのではないかと推察しています。


先日とあるイベントで、2018年ロットの18年とネイストポイントを改めて飲み比べましたが、ベクトルは違えど見劣りするような構成ではありません。
一方、海外のレビューを見ると結構辛口な評価が目立ちます。
こんなんだったら10年で充分だとか、18年が素晴らしいからそっちをお勧めするとか・・・。先に書いたように、熟成したニュアンスだけでなく、10年程度の熟成を思わせる若さ(といってもニューポッティーなものではなく、香味の勢いや刺激的な意味)も感じられるため、熟成して一体感のある味わいか、様々な要素が主張するキャラクターか、人によって好みが分かれるということなのだと思います。

これが例えばマッカランのようにスムーズな飲み口をキャラクターとする銘柄なら、確かに一体感に欠ける点は弱点であると言えます。しかしタリスカーは荒々しさや、黒胡椒を思わせるスパイシーさをキャラクターとする蒸留所であり、その点を感じさせつつ熟成した香味も備わっているネイストポイントは、自分としては楽しめる要素の多いリリースであると改めて感じました。