カテゴリ:
IMG_8914
KILCHOMAN
MACHIR BAY
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間以内
場所:自宅
評価:★★★★★ (5-6)

香り:フレッシュな香り立ち。レモンやオレンジピールなどの柑橘、塩素と薬品臭、焦げたようなピート香。少し根菜のような土っぽさの混じる植物感も伴う。

味:若干水っぽさのある口当たりから、蜂蜜レモン、土っぽいピート、乾いた麦芽風味。飲んでいる最中から鼻腔に抜けていくフレッシュなピート香。余韻はほろ苦くスモーキー、焦げたようなピートフレーバーが長く続く。

若いウイスキーらしくピート要素のエッジが立っており、今この瞬間燻したような新鮮さ。合わせてオーク由来の柑橘感がアクセントになって、加水と合わせて上手くまとまっている。まさにピートを味わう酒。ただ酒質は素直ながら少し軽いのか、加水やハイボールではボディが負けてぼやけてしまう。冷凍してハイボールにするとGOOD。
  

2005年に創業したキルホーマン蒸留所のエントリーグレード。昔飲んだ時は若さが結構強かった気がするのですが、今飲むとむしろ良い面も感じます。
パッケージにあるようにバーボン樽を主体に、3~5年熟成の原酒をバッティングして加水調整した若いウイスキーですが、ニューポッティーな雑味的要素はほぼなく、酒質の素直さとピートのフレッシュさがメイン。オーク由来の柑橘系の香味がアクセントになっている、若いなりの良さが感じられる構成です。

ここ最近、キルホーマンのオフィシャルスタンダードを飲む機会が結構ありました。これまでは"まだまだ発展途上"という印象が拭えなかったのですが、リリースされたばかりのバーボンバレル熟成の10年はフルーティーさのはっきり出た美味しいアイラモルトですし、今年の初めに話題になったシェリーカスクも同様。
このエントリーグレードのマキヤーベイにしても、テイスティングの通りフレッシュなピートと柑橘感で、若いなりに良さを感じる味わい。いよいよ蒸留所としてキャラクターが確立してきたなと感じるのです。

DSC08708
(キルホーマン蒸留所所有の麦畑。アイラ島にある自社農場で生産した麦芽を原料の一部としており、アイラ島産のピートで50ppmのヘビーピート仕様に仕上げられる。 Photo by K67)

であれば、そろそろちゃんと飲んでおかねばならないと、家飲み用のヤングアイラ枠に採用してみました。いつ何時キルホーマンをブラインドでぶっこんで来る輩が出てくるか判らないですしね(笑)。
いくつか飲み方を試してみて思うのは、フレッシュなピーティーさを除けば素直な酒質である反面、少々ボディが弱いというか軽い点。10年くらいの熟成までなら樽感を受けとめられるだけの余力は残ると思うのですが、15年、20年と育ったときにどうか・・・はちょっと気になるところ。近年流行りの早熟傾向な酒質ってヤツでしょうか。

まあ神のみぞ知る先の話を心配しても仕方ないのと、そもそも短熟でリリースすることをメインにしていくならこれはこれでアリ。むしろこれがキルホーマンのキャラクターとも評価できます。
同価格帯の他のオフィシャルアイラモルトに比べて突き抜けて旨いというワケではありませんが、今の完成度なら後はユーザーの好みで選べる選択肢の一つであることは、蒸留所としての大きな成長だと思うのです。