グレンドロナック 25年 1968年蒸留 ANA向け 43%
GLENDRONACH
Aged 25 years
Distilled in 1968
For ANA
Cask No,20
750ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1年程度
場所:KuMC@NSさん
評価:★★★★★★★★(8-9)
味:濃厚で芳醇な含み香。スムーズな口当たりから、香り同様にベリー感ある甘酸っぱさとこなれたウッディネス。枝付きレーズン、クランベリーチョコレート、アーモンドのアクセント。余韻はウッディで程よいタンニンを伴いつつ、陶酔感のあるシェリー香が長く続く。
ベリー系オールドシェリーの豊かな香味に、熟れた果実が発する、ある種のフェロモンを含むようなゾクゾクさせる要素を伴う素晴らしいボトル。
加水すると穏やかな飲み口でシェリーオーク由来の豊かな甘みがベリー感と共にさらに広がる。
グレンドロナックのオフィシャル加水リリースの中で、非常に高い評価を受けている一本。1960年代後半から1970年代前半のドロナックに多く見られる、深いコクとベリー感漂うリッチな香味が特徴の、ここ2〜3年以内のリリースではまずお目にかからない、素晴らしいシェリー樽熟成モルトです。
このままウイスキーのシェリーカスク製造方法に革命が起きない限りは、あるいは後述する後天的変化が起きない限りは、将来は伝説的な評価を受ける可能性が高いボトルだと思います。
素性としては、成田−ヒースロー間を就航していた、ANA国際線の機内販売で限定販売されていたというリリースで、総本数は2500本と言われています。自分が機内で買ったら確実に我慢できず、その場で開けますねw
しかしなぜグレンドロナックなのか。マッカランでもフィディックでもボウモアでもなく、なぜANAは日本でほぼ無名とも言うべき蒸留所を選んだのかは疑問が残ります。(スコットランドでも当時第一線というほどではなかったと思います。)
どのくらい無名だったかと言うと、1990年代初頭、当時18年クリアダンピーが売れないからと、1本1000円で社内販売したという噂を。。。聞いた記憶が。日本市場におけるウイスキー冬の時代とバブル崩壊後が極まったようなエピソードが伝えられているほど。(ちくしょう!ケースで欲しい!)
ひょっとするとこのANAドロナックも、そうした過程の中でカスクが払い降ろされて誕生したのではと推察しています。
仕様は43%の加水であるため、バッティングのシングルモルトなのかと思いきや、シングルカスクの加水を複数リリースして計2500本だった模様。背面ラベルには異なるカスクナンバーと、ボトリング本数が記載されています。(確認できる範囲で、一番若いナンバーで3、大きい数字は27。2500本とする場合、6カスク程度あるものと推察。)
他方で、中には全く記載されていないボトルもあり、ひょっとするとバッティングもあったのかもしれません。
なお、グレンドロナックの加水は、このANA向けのような濃厚シェリーであっても後天的にパフュームに変化する可能性を秘めていると考えられます。
以前写真のオフィシャルクリアダンピー18年で該当する香味に変化したボトルを飲んだことがあり、このボトルもひょっとして状態次第で該当する変化が起きないか、極めて心配になってきました。
その意味で、このボトルは本当時良い時期に飲ませてもらえました。中にはこれを御本尊にように飾られているお店もあるようですが、開けたらウボァーってことになっていないことを、祈るばかりです。
コメント
コメント一覧 (2)
ドロナック1968来ましたー🎶
今年6月頃に摩幌美さんで飲ませてもらいましたが、何とも甘美と言うかエロティックな印象で、こんなの飲んでたらダメになっちゃうぞ!!。。。ってくらいちょっと痺れたのを覚えてます。
高プルーフカスクでも無いのに、シェリー&ベリー感といい広がりといい、やっぱ旧ドロナック半端ないって!
摩幌美さんで撮影した写真と、くりりんさんの写真とを比べると、ラベルが若干違い、Distilled in 1968ではなく、1968 VINTAGEとなってました。
販売ルートが違うバージョンだとは思いますが、摩幌美さんでは90年当時普通にキープボトルで販売していて、今でも複数本(ケースかも)在庫を抱えているようです。
安かった当時の仕入れのおかげか、これも格安で提供してもらえるので、今の所焦って飲み尽くさずに済みそうです。(オークションで売ったら◯◯万円だと酋長は笑って言ってましたが)
ううむ、さすが摩幌美さん。いいところをがっつりキープされてますね。
おそらく1968Vintageと書かれているのは、25年熟成で流通時期もほぼ同じという、通常リリースボトルだと思います。
個人的には、ウイスキーのシェリーカスクに求めている香味の理想形の一つであり、オールドシェリーカスクの傾向の一つ。
まさしくエロさを伴う(それも若いピチピチ系ではなく、妖艶な印象の)アロマ、麦の酒とは思えない果実味、ベリー感・・・。以前飲んだ印象ですが、これもANA向け同様、間違いなく伝説になるボトルだと思います。
ちなみにウイスキー側が発信するシェリーカスクに関する情報では、この当時のカスクも輸送用のスパニッシュオークで、今のそれと変わりないとする説明があります。
であれば、なぜ今のカスクではこの香味が出ないのかなど、諸々の状況を加味すると、こうした香味を出している樽こそ、ソレラで何十年も使われ続けた、アメリカンホワイトオークの樽なのではないかと考えています。