カテゴリ:
ARDBEG
RENAISSANCE
Distilled 1998
Bottled 2008
700ml 55.9%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:Y's Land BAR IAN
評価:★★★★★★(6) (!)

香り:角の取れたスモーキーさ、塩素、乾燥した麦芽香は土っぽさを伴って素朴な印象。奥にはヨード、カシューナッツ、蜂蜜レモンのような穏やかな酸味も感じる。

味:コクのある口当たり。塩気のある魚介ダシ、貝殻のようなミネラル、燻したように香ばしさとスモーキーさのある乾燥した麦芽風味。合わせて強いピーティーさと微かな柑橘。余韻はスモーキーで焦げた干し草、パワフルで長く続く。

麦感と黄色い柑橘、そしてアイラ的な要素を伴うピーティーさ。オーソドックスなアードベッグの美味しさをストレートに楽しめる1本。経年でこなれた印象が口当たりにあり、一体感も生まれつつある。オールドボトルとしての伸び代は充分で、さらに10年後が楽しみ。


アードベッグ、"10年熟成への道"の終着点にして、現体制下で蒸留された原酒のうち、最初?の10年熟成が今回の一本。なんだかんだリリースからもう10年経つんですね。 

時は1997年、グレンモーレンジに買収される形で現在の体制に行き着いたアードベッグ蒸留所は、アライド傘下で1989年から1996年まで一定の生産は行われていたものの、それ以前の1980年代の大半は休止状態にあったところ。将来的に10〜15年熟成の原酒が不足することも予想され、如何にオフィシャルスタンダードの原酒を切り替えていくかが現体制が直面した課題の一つでした。

そこで1998年に蒸留された原酒を使い、「新生アードベッグ10年への道」として、熟成年数を段階的にリリースしながら、アードベッグのスタンダードグレードがリリース可能となるまでを辿る企画がスタート。6年ベリーヤング、8年スティルヤング、9年オールモストゼア、そして第4弾にして最終形としてリリースされたのが、10年熟成のルネッサンスです。 

(新生アードベッグのマスコットキャラクター、ショーティー。その美味さに思わず樽に顔を突っ込むほど? それにしても、まさかこれほどアードベッグが受け入れらるとは、当時アライド社は思いもしなかっただろう。Photo by K.67)

ラベルにはDISTILLED 1998 - FINAL RELASE BOTTED 2008として、ルネッサンスがシリーズのラストリリースになることが明記されています。
リリース当時の評判は悪くはなかったようですが、2008年はボトラーズを中心に長熟スコッチが安価にリリースされていた時期。逆にレアリティもあってベリーヤングの方が高評価だったりして、最近のアードベッグデーリリースのように、スポットライトが当たっていたとは言い難い状況だったようです。
(なおあくまで個人的な観点ですが、時同じくブレイクしていた某芸人のネタが、逆にルネッサンスという響きにネガティブな要素を与えた可能性も微レ存・・・。)

そんなリリースを今改めて飲むと、これがしみじみと美味い。変に飾らない樽感、麦感と淡い柑橘、そして角が取れつつあるピーティーさ。決してオールドアイラという感じではないのですが、テイスティングの通りなんともオーソドックスな味わいが琴線に響く。
少なくとも、ここ数年のアードベッグデーの妙な樽感を押し付けられた限定リリースが、総じて悪趣味に感じられるほどには、アードベッグ本来の良さを堪能できるのです。

リリースの多かった一本ですし、例えばちょっと下町のBARとかだと残っているところも多そう。今改めてオススメしたい1本です。