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AKKESHI NEW BORN 2018
"PEATED"
FOUNDATIONS 2
Single Malt Spirit
Bourbon Barrel
200ml 58%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後
評価:-

香り:フレッシュな香り立ち。シトラスやレモングラスを思わせる柑橘のアクセント、淡い潮気、酵母香と焼き上げたパイ生地のような香ばしい麦芽香。土っぽいピート香に穏やかなスモーキーさを伴う。

味:香り同様にフレッシュな口当たり、ヒリヒリとした刺激から薄めた蜂蜜の甘み、レモンバウム、香ばしい麦芽風味。中間以降はピートフレーバーが存在感を出してきてほろ苦くスモーキー、塩水のコク、荒い刺激と微かなえぐみを伴うフィニッシュ。

要所要所でバーボン樽由来の淡くオーキーな香味がアクセントになり、甘みや柑橘感など、若いなりに飲めるまとまりのある香味に仕上がっている。加水すると一瞬香り立ちが荒くなるも口当たりのコクと塩気が感じやすく、ハイボールにするとピートフレーバーが引き立つ。スモーキーでソルティー、さっぱりとした味わいを楽しめる。


北海道、厚岸蒸留所のニューボーン第二弾。創業年である2016年と2017年に仕込まれたピーテッド原酒をバッティングしたもので、熟成期間はバーボンオークで7ヶ月から16ヶ月となっています。
発売は8月27日でつい2日前ですが、イベントなどで先行試飲もありましたし、既に飲まれている方は多いかなとも思います。

創業者である堅展実業の樋田社長は、かつてアードベッグ17年に衝撃を受け、アイラモルトのようなウイスキーを日本でも作りたいと、ウイスキーづくりに厚岸の地を選んだ経緯があります。
また、現在は自身が作ったウイスキーを牡蠣にかけて食べるという夢も持たれており、厚岸蒸留所が目指すハウススタイルはこれ以上解説するまでもなく「ピーティーなアイラモルト」なのです。

一方、先日リリースされたニューボーンの第一弾がノンピートだったことは記憶に新しいところ。
これはピートフレーバーは良い意味でも悪い意味でも、酒質のネガティブな部分をマスクするため、まずはノンピートで蒸留所として作り出せる酒質を確立することが重要であるとの考えから。厚岸蒸留所では1年間のスケジュールの中で、まずノンピートを仕込み、得られる酒質の状態を確認・調整した後で、ピーテッドの仕込みに入る流れを採用しています。

つまり我々飲み手側も、ノンピート原酒で素の酒質に触れて、第二弾としていよいよハウススタイルに掲げるピーテッド原酒をテイスティングする準備が整ったというわけです。
どちらもバーボン樽で熟成された原酒が使われており、同じ環境でほぼ同じ熟成期間、ピートの有無による影響の違いを感じやすいリリース順とも言えます。

(厚岸蒸留所のポットスチル(上)は、コントロールしやすさを狙ってラガヴーリン蒸留所(下)と同型のスチルが導入されている。ただラインアームの角度はフォーサイス社曰く水平から少し角度を下げれば皆同じとのことで、ラガヴーリンほどの角度はつけられていない。)

先日更新したニューボーン第一弾の記事では、初年度の試験的なニューメイクの仕込みで熟成に耐えるボディを出すために苦労をしたというエピソードを紹介しました。
そうした試行錯誤を経て仕込まれた2016年のピーテッド原酒は、厚みのあるボディとは行かずとも、クリアで綺麗な酒質にしっかりとしたピートフレーバーが感じられ、イメージとしてはラガヴーリンとキルホーマンを足したような印象。
以前ニューメイク単体をテイスティングし、初年度から洗練された味わいにびっくりしたのを覚えています。

このニューボーンもそうした特性を引き継ぎ、若いながらも樽香をアクセントにして5〜6年熟成くらいのアイラモルトを思わせるような仕上がりを感じます。
ピート由来か熟成場所の関係か、微かな塩気を伴うのも益々アイラらしく、コクがあってハウススタイルとして求める原酒が育っているようです。
いくつか加水のパターンを試したところ、45%くらいまで加水すると、その真価を感じやすいですね。他方、原酒の若さか、樽の処理の関係か、余韻に蓄積するようなえぐみが微かに感じられ、その点が今後熟成が進むことでどうなってくるかは気になる要素でもあります。

現時点ではトライ&エラーで調整する点も多く、仕込む原酒はノンピートの比率が高いそうですが、最終的には1年の仕込みの中で8割以上をピーテッド原酒に切り替えていくだけでなく、麦、ピート、樽、全てが現地産の原酒を仕込む目標も。
今作のニューボーンは、まさに厚岸蒸留所が目指すハウススタイルの産声。可能性を秘めた味わいを、先の姿を思い浮かべながら是非楽しんで欲しいですね。