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KIYOSATO FIELD BALLET
29th ANNIVERSARY
Ichiro's Malt & Grain
Japanese Blended Whisky 
Bottle No, 368/403
700ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:豊かな樽香、メープルやキャラメルナッツのような香ばしく甘い香り立ちから、時間経過でドライアプリコットの甘酸っぱさ、シュガースポットの出たバナナ。ほのかにミントの爽やかさも伴う。

味:リッチな樽感を感じる柔らかい口当たり。ウェハスチョコレートやピーナッツの甘みと軽い香ばしさ、濃く入れた紅茶のタンニン、オレンジジャムの甘み。余韻はビターで程よくドライ、微かにハーブや松の樹皮。メローな樽香が鼻腔に抜け、長く続く。

香味ともジャパニーズらしい樽感が主体だが、それが柔らかく多層的にまとまったブレンデッド。熟成した原酒こそのスケール感を感じさせてくれる。
少量加水すると、最初は樽香がギスギスしたような刺激を感じるものの、すぐに穏やかになり、メープルシロップを思わせる熟成したバーボンのような甘い樽香と、ママレードジャムのような甘酸っぱい口当たりも。

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今年もリリースされた、シリーズ第5作目となる清里フィールドバレエ記念ウイスキー。早速テイスティングさせていただきました。
作り手は前作同様、イチローズモルトの肥土伊知郎氏。シリーズ第2作からリリースを継続しているため、イチローズモルトとしては4作目となり、そしてこれが当面最後のリリースとなります。

清里フィールドバレエは、毎年8月に山梨県清里・萌木の村で開催されているバレエの野外公演。
ウイスキーとの関係は特段ありませんでしたが、今から4年前に公演25周年を記念したウイスキーをサントリーの輿水氏が手がけたことから繋がりが生まれ、その後は作り手を変えて1年に1度、公演に合わせた記念ウイスキーのリリースが継続されています。
その中で、伊知郎氏の目標は響30年を越えるウイスキーを作り上げること。フラグシップブランドの如く羽生蒸留所と川崎蒸留所の長期熟成原酒を惜しみなく使い、毎年異なるアプローチを感じさせるブレンドを仕上げていました。

今年はその集大成にして、自信作であるとの話も伺っています。
構成原酒である羽生モルトと川崎グレーンは、熟成期間や環境の関係などから樽感が強く、そのブレンドも基本的には同様のウッディネスとフルボディな構成が軸。
前作、28周年記念はフルーティーさとリッチな樽感に奥行きのバランスが良く、ファーストリリースの25周年とは違うベクトルで完成度の高いウイスキーであったところ。

今作、29周年の基本的な構成は上記の通りなのですが、それが飲み口から余韻にかけて存在感を維持しつつもソフトにまとまって、熟成によって得られた個性が繊細なものまで多層的に楽しめる点に、作り手が目指す形が見えるようです。

(清里フィールドバレエ・アニバーサリー25th、28th、29th。多層的で洗練された美しさを持つ25thに対し、26thからは限られた原酒の中でブレンドとしての完成度を年々上げてきた。)

使われた原酒はモルトが20〜25年熟成、グレーンはより長熟で40年弱といったところでしょうか。樽はホワイトオークの古樽的なウッディネスが強くバーボン、シェリー、プレーン、あるいはコニャックと区別がつきづらいものの、加水が効いてうまくまとまっています。

今回のブレンドを例えるなら、ゆっくりと沈んでゆく夏の夕日のようであり、々しいフィナーレというよりは、 観劇の興奮と終幕の寂しさの中で流れるエンドロールのようでもあります。
原酒のストックが厳しく、既存の組み合わせで作るイチローズモルトのフィールドバレエは今作で最後。ですが、そもそもイチローズモルトのフィールドバレエは26th限りの予定だったところ。リリース後、萌木の村を代表するレストラン・ビール醸造場が火災で全焼する事故が起こり、 しい状況に置かれた萌木の村の活動を後押しするため、27th以降の制作を続け られたというエピソードがあります。

作り手との繋がりを感じるエピソードですが、そのブレンドづくりも今作で区切り。萌木の村としては公演30周年の節目向け、新たな作り手に想いを託してリリースを継続する予定と伺っています。
自分は観客席に身を置き、まさにその観劇を見た心のままに一連の情景を思い返しつつ、また来年の夏の夜の出会いを心待ちにしているのです。