ミルトンダフ 39年 1969-2008 GM 60.4% 佐藤酒店40周年記念
MILTONDUFF
GORDON & MACPHAIL
RESERVE
Aged 39 years
Distilled 1969
Bottled 2008
Cask type Cream Sherry Butt #15293
For SAKE SHOP SATO
700ml 60.4%
グラス:テイスティンググラス
場所:Bar Main Malt
時期:不明
評価:★★★★★★★★(8)
香り:濃厚でパワフル。熟したベリー系の果実、枝付きレーズン、あるいは皮付きの葡萄。甘酸っぱいアロマにカカオチョコの渋み、奥にはメレンゲクッキーのような甘いアロマ、微かにハーブを伴う。
味:とろりとリッチな口当たり。キャラメリゼしたナッツ、レーズンチョコ、実にふくよかで果実味のあるシェリー樽の甘みが、高い度数も合わせて広がる。合わせてウッディでカカオや濃く入れた紅茶のような渋みとタンニン。序盤の甘みがビターな余韻に収斂する、長いフィニッシュ。
もはやベースが素性の良い何か、という以外区別できないまさに圧殺系。古き良き時代のGMシェリー味で、ベリーや葡萄などの果実味もあり、現行スパニッシュオークの圧殺系とは樽の違いを感じさせる。なお、余韻にかけてはウッディさが強く、この点が評価を分ける印象でもある。
久々のメインモルトさん。「なんか面白いのないっすかね」と言って棚の奥から出てきたボトルが酒ショップSATOさんのミルトンダフ。これは懐かしい!最後に飲んだのは3〜4年前くらいで、勧められるままに注文しました。
ウイスキーを本格的に飲み始めた頃、その当時は1960年代蒸留のリリースは当たり前のようにあったのですが、40年弱の熟成ともなると度数は良くて50度前半。60度台をキープしているものは珍しく、誰かにそういう特別なカスクの存在を聞いて、探していた事があります。
曰く、長期間熟成を経て樽詰め度数から殆ど減らない奇跡のような原酒は味の広がりが違うと。
今にして思えば60%が58%になったからって香味が壊滅するわけじゃないし、むしろ殆ど変わらない。さすがに40%台前半まで下がればボディの弱さを警戒しますが、単にそういう尖った要素に惹かれていたんですよね。いわゆるハイプルーフ至上主義のいち症状と言えるのかもしれません。
そして出会えたのが、このミルトンダフ。大阪、佐藤酒店(SAKE SHOP SATO)さんが40周年を記念してボトリングした1本です。
濃厚で果実味を伴うシェリー感、余韻にかけて歯茎や喉に張り付くタンニン。それでいてカラメル系の独特な甘み。。。今飲んでも美味いモルトであることは間違いないものの、漠然と美味しいとしか思わなかった当時と比べて、樽材のニュアンス、シェリーそのものの香味の系統など、色々な気づきがありますね。
なお、このミルトンダフの樽はクリームシェリーだったそうで、ひょっとしてちょっと前のGM(あとはグレンファークラスの90年代とか)に多かった独特なカラメル系の甘いシェリー感って、クリームシェリー樽によるものなの?と。
シェリーの主力製品の一つはクリームであり、今ほど様々な区分でのリリースがなかった時代に、そうした樽が大量に出回ってもおかしくはありません。
近年はオロロソを中心に、様々な酒精強化ワインをベースに用いたシーズニングがウイスキー業界の中心となっていますが、これは以前お話を伺ったシェリー協会の方によると、熟成していないものを使っているとのこと。
そんな中で、ブレンドしたあとのクリームシェリーでのシーズニングってあまり聞かない・・・。また一つ、確認したいことが増えてしまいました。
コメント
コメント一覧 (4)
そのちょっと前までハーベイズ・ブリストル・ミルクという製品も販売されてました。
後に知ったのですがブリストル・ミルクとは1796年創業のハーベイズ社よりずっと古く、イギリスの港町ブリストル製の銘柄として1600年代前半にはイギリスでとても高名なシェリーだったそうです。
くだって1860年代にハーベイズ社で試飲していた顧客が「こっちがミルクならこれはクリーム」と言ったとかで1882年に商品化されたとか。
もうミルクという銘柄はないんでしょうかね。
ブリストル・クリームは健在とはいえ、もはやブリストルで瓶詰めはできなくなってしまいましたもんねえ。
いつも情報ありがとうございます!
ハーベイズブリストルクリームは、確かにクリームシェリーの中でも代表的な銘柄だったみたいですね。ミルクについては見たことがありませんが・・・おそらく海老沢さんが見ていた「ブリストルクリーム」にかなり近い時期であろう、1970年代流通のものなら1本手元にあります。
最近オールドのクリームシェリーをちょくちょく買う機会があり、何の気なしにブリストルクリームも買っていました。
夏場は飲む気がせず開けませんでしたが、もしこれなら飲めるということでしたら、思い出の品としてお譲りしましょうか?
状態の保証はできませんが・・・。
本筋と無関係のトリビアにおつきあいいただいたばかりか、思いもかげぬお気ずかいいただき恐縮です。
お騒がせしましてなんですが、思い出の品てほどの思い入れはないんですよ、ごめんなさい。
ボトル買いしたシェリーはブリストル・クリームとゴンザレス・ビアス・ティオ・ぺぺをそれぞれ一度だけで、自分一人で飲んじゃっただけでした。
さきほど検索してみたらハーベイズ・ブリストル・ミルクの画像だけでなくゴンザレス・ビアスにもブリストル・ミルクというラベルがあったのがわかって驚きました。
現在クリーム・シェリーという分類名称があるように、ブリストル・ミルク・シェリーという分類があったということなんでしょうね。
ブリストル・ミルク・シェリー・カスクと銘打ったスコッチが出現したりして・・
いえいえ、いつも勉強になるコメントを頂いていますので、もしよければーくらいですから。気になさらないでください。
当時はシェリーの区分が今よりも曖昧で、メーカー毎に結構色々あったようです。他方、残念なことにスコッチ側はそういう経緯をあまり気に留めていなかった節があり(酒精強化は全部シェリー樽やろくらいな勢いで)、その結果、現在昔のシェリー樽に関する情報がほとんど残っていないという事態に陥っており・・・これはこれで困った話なわけです。