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KENZO ESTATE
NAPA VALLEY
Rindo 2014
750ml 15.2%

香り:熟したベリーやカシス、ナパのカベルネらしいふくよかで甘酸っぱい濃厚な果実感。香りに混じる樽香は、カカオを思わせるタンニン、微かにハーブや鉛筆のようなニュアンスも混じる。

味:リッチでフルボディ。注ぎたては特に余韻にかけて若干のアルコール感を伴う強さがあるが、香り同様の果実味はジャムのように柔らかく、程よくウッディでタンニンが染み込むように長く続く。この余韻の強さが、デキャンタや時間経過で開く包容力のある熟した果実の甘みとのバランスをとって、いい仕事をしてくれる。 
評価の高いナパを、じっくり家飲み出来る機会に恵まれました。
カプコンの代表取締役である辻本憲三氏が創業・オーナーを務めるワイナリー"ケンゾー・エステート"。「より多くのお客様に、より最良のワインを」をモットーに、開墾が始まったのが1998年。ファーストリリースが行われる2008年までには10年の歳月を要しましたが、それはその間一度育った全ての葡萄の木を引き抜き、畑をリセットするなど世界最高峰のワインを目指すためのチャレンジ故だったそうです。
掻い摘んで書きましたが、このストーリーだけでもウイスキーにおける竹鶴政孝氏に通じるものがあるというか、読み応えのある内容なので、合わせてメーカーWEBページも参照頂ければと思います。

そのワイナリーのフラグシップブランドが、今回のテイスティングアイテムであるRindo"紫鈴"です。
ぶどう畑に鈴なりに実る、葡萄の紫色をイメージしたとする銘柄は、同ワイナリーで作られる品種を複数用いて収穫からボトリングまで手がけるエステートワイン。2008年のファーストリリースは即完売するなど、高い評価を受けています。

2014年の品種比率は、カベルネソーヴィニョン53%に、メルロー25%、カベルネフラン10%、プティ・ヴェルド10%、マルベック2%。それを20ヶ月の樽熟成の後、1年間の瓶熟。
この中でも主にカベソー由来と感じられる熟した果実味は、濃厚かつ淀みなく丁寧な作りが伺えるだけでなく、余韻にかけてのタンニンがボルドー的な要素を連想させる。樽香もいいアクセントで、端的に言って旨いワインですね。繊細さもありつつ軸はしっかりしてるので、熟成させても面白そう。
また、この日は夏野菜でトマトソースのドリアを作ったのですが、料理との相性もバッチリでレベルの高いワインです。

この熟した果実の香味は、ウイスキー好き並びにワインに馴染みがない方でも琴線があるように感じます。
ただ。。。なんというか旨いは旨いんですが、自分の場合はワインの経験値の少なさも手伝って、違いが感じづらいというか。ナパの基本キャラクター路線故に普及価格帯のコスパの良いものと、ついつい比べられてしまうのが難しいところかなとも感じます。

そう、数々のこだわりと評価故、このワインは結構良いお値段してしまいうのです。
まあウイスキーやその他の酒類においても同様の状況はあるので、ワインに限る話ではないですが。このワインを平常心で飲めるようになる、そんな立ち位置に行けるように仕事を頑張り、最高峰を目指してチャレンジするのが人生の目標の一つになるのかもしれません。