アードベッグ 10年 1970年代流通 40%
ARDBEG
Years 10 Old
OLD ISLAY MALT SCOTCH WHISKY
1970's "White Label"
1970's "White Label"
750ml 40%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人所有スペース@NS氏持ち寄りボトル
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(8-9)
味:マイルドだが存在感のある口当たり。麦芽風味はコクと厚みあり、ピーティーでヨードと魚介のニュアンス、ほのかにきび糖のような甘み、ナッツの香ばしさやグレープフルーツのワタに通じるほろ苦さを伴う。
余韻はしっかりとスモーキーだが、角の取れた麦芽風味主体。じんわりと広がって長く続く。
加水と経年でバランス良く整った香り立ちとマイルドな口当たりでありながら、当時のモルトらしい厚みとはっきりとした個性が感じられる、秀逸なシングルモルトウイスキー。是非ストレートで。
アードベッグの1970年代流通オフィシャルボトル。当時のアードベッグはハイラムウォーカー傘下で、ピーテッドモルトの需要増に伴う増産が行われ始めた時期に該当しており、加水でありながら強い個性を感じる仕上がり。今年のアードベッグデーでリリースされたグルーヴスのPRでも、その繁栄ぶりが紹介されています。
他方、その後訪れる1980年代冬の時代についてはここで解説するまでもなく・・・。一時閉鎖を経て大改修工事が行われ、その間の原料の変化と製法も変わったためか、少なくとも当時のような存在感の強い魚介、レザー、土、あるいは消毒液的な要素が合わさったような個性は鳴りを潜めてしまいます。
蒸留所はグレンモーレンジないしディアジオ傘下で安定し、そのブランドを確立して現代に至るわけですが、少なくともそのキャラクターは酒質がクリーンでピートが悪目立ちするオレオレ系。ハイボールにするには美味いものの、当時とはずいぶん異なるように思います。
(ウイスキー仲間との持ち寄り会にて。アードベッグ1980年代流通(左)と、1970年代流通(右)。80年代流通にはグリーントール時代もあり、流通時期で分かれると推測。その他熟成年数のオフィシャルリリース等を見るに、グリーントールのほうが後期だろうか。)
また、近年との比較のみならず、この10年間でもスタイルは異なっているようです。
今回、持ち主のご好意で貴重な飲み比べを経験させていただいたわけですが、80年代流通はスモーキーでありながら麦感伴うどこか素朴なニュアンスを伴うアイラモルトである一方、1970年代流通は香味の厚み、個性の強さ、ピートの存在感共にワンランク上。特に加水でありながら海系のニュアンスの存在感の違いをはっきりと感じます。
蒸留所はグレンモーレンジないしディアジオ傘下で安定し、そのブランドを確立して現代に至るわけですが、少なくともそのキャラクターは酒質がクリーンでピートが悪目立ちするオレオレ系。ハイボールにするには美味いものの、当時とはずいぶん異なるように思います。
(ウイスキー仲間との持ち寄り会にて。アードベッグ1980年代流通(左)と、1970年代流通(右)。80年代流通にはグリーントール時代もあり、流通時期で分かれると推測。その他熟成年数のオフィシャルリリース等を見るに、グリーントールのほうが後期だろうか。)
また、近年との比較のみならず、この10年間でもスタイルは異なっているようです。
今回、持ち主のご好意で貴重な飲み比べを経験させていただいたわけですが、80年代流通はスモーキーでありながら麦感伴うどこか素朴なニュアンスを伴うアイラモルトである一方、1970年代流通は香味の厚み、個性の強さ、ピートの存在感共にワンランク上。特に加水でありながら海系のニュアンスの存在感の違いをはっきりと感じます。
日本のウイスキーが樽の香味を重ね合わせるものとすれば。スコットランドのウイスキーでイメージするのは、アイラに限らず樽は酒質を育てるもので、本質的なところは麦とピートというどこか田舎くさい土着のものにあると思うのです。近年はノンピートやライトピートスタイルが増えているだけでなく、麦系のニュアンスも弱く、どちらかと言うと樽主体の構成が増えていますが、今回のようなオフィシャルボトルを飲むと、その性質の違いによる独自の魅力を改めて感じさせられます。貴重なテイスティングの機会をいただき、感謝です。
コメント
コメント一覧 (3)
学生時代の恩師が大のアイラ好きだったのを思い出します。
確か70年代頃と現在のアードベッグの味の違いはピートが変わったのが原因?だと思います。
恩師曰く現在は乾いたピートを、当時は湿ったピートを採用していた。はずです。(逆だったかもしれません…)
もちろん樽質の差はあれど。
ピートの違いについては色々情報があるのですが、確か70年ごろはアイラ島で干ばつがおこりピートが乾いてしまい、これまでのピートフレーバーをもった原酒が作れなくなった。
その後は製麦工場でのモルティングが一般的となり、ピートが統一されたという話もあるため、ピートがもたらす違いはあるのだと思っています。
現行品でもスプリングバンクは内陸産の乾いたピートと湿ったピートを使い分けていると言いますし、この辺も違いを追うと奥が深いですね。
確かに1976年にイギリス大干ばつがありましたので十分にピートが乾いてます(笑)
それに匹敵した1995年のイギリス大干ばつもピートに影響があるかもしれませんね。
それもまたウイスキーに変化をもたらせていると思うと楽しみです。