カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
Distilled 1949
Bottled 1996?
(Metal Screw Cap)
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:持ち寄り会@KuMC
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:存在感のあるピート香、腐葉土、古酒感、焦がしたカルメ焼きやチョコレートマカロンの苦味のある甘さ、奥にはおしろい系の麦芽香も感じられて多層的。芳醇で妖艶さに通じる要素をそなえている。

味:マイルドな飲み口、ややドライな舌触りだが、合わせてコクも感じる。キャラメリゼ、オレンジピールチョコレート、おしろい系の麦芽風味。後半はどっしりと強いピートフレーバーで、燻したアーモンドや香り同様土っぽいアロマが鼻腔に届く。
余韻はスモーキーで微かに焦げたようなピートフレーバー、スイートな麦芽風味を伴って長く続く。

熟成による古酒感、どっしりと存在感のある内陸系ピートと麦芽風味の組み合わせ。熟成期間にしては過熟感はなく、樽はリフィルのアメリカンオークシェリーバットあたりと推察。
ややピートの主張が強い印象を受けるが、少量加水すると香味の良い部分が伸び、奥からトロピカルフレーバー、妖艶な香りが引き立つ。


何種類かリリースが確認されている、GM蒸留所ラベル・ストラスアイラの1949年。今回のボトルはメタルスクリューキャップ仕様で、1980年代から1990年代流通のロットと推測。1980年代のものはラベルの1949表記がもう少しずんぐりしているため、おそらく1990年代でリリースが確認できる1996年ボトリング、46〜47年熟成原酒のシングルモルトと考えられます。

今回のストラスアイラで特筆すべき点は、強く存在感のあるピートフレーバーです。
当時のスペイサイドを含むハイランド地域の蒸留所は、今以上にピートを使っているところが多くありました。しかしその時代背景に加え、50年弱の熟成と加水による度数調整を経てなおこれだけ強いのですから、かなりピートを使っていたのではないかと考えられます。

それはこれまで何度か飲んだ1950年代蒸留のストラスアイラに感じたどれよりも際立っており、先日記事にしたコニッサーズチョイスのストラスアイラ1937同様、この時代の同蒸留所は何か違うのではないかと感じる要素でもあります。
歴史を紐解くと、ストラスアイラはかつてMilltown(ミルタウン)という蒸留所名で、違うオーナーの元操業していましたが1949年に破産。買収を経て、1951年にシーバスブラザーズ社傘下でストラスアイラとして操業しています。
つまり、このボトルは前オーナー時代最後の年の原酒。アメリカに販路を広げていたシーバス社において、仕込みの傾向が変わっていたとしてもおかしくありません。

(記録上は、決して操業等が不安定だったわけではないミルタウン蒸留所。海外サイトにまとめられた情報では、蒸留所オーナーは脱税が原因で破産したという。。。Photo by K67)

さて、近年流通するピーティーなウイスキーは、ピートが「俺が俺が」と強く鋭く自己主張するものが多く見られます。
一方、今回のボトルのような長期熟成の原酒や、オールドボトルなどにあるピートフレーバーは、鋭いタイプではなく、どっしりとして図太い。
ドラマなどに例えると、前者が声高に絡んでくるチンピラ的なキャラクターに対し、後者は吼えることはなく、ワンテンポ置いて威圧感を持って登場するボス的なキャラクターという違いがあります。

なぜこの違いが生まれるのか。ピートを構成する成分の違いもあるかと思いますが、おそらくは熟成や経年変化によって、尖っている部分が削られた結果、土台の部分のどっしりとしたところだけが残るのではないかと推測しています。
か細いピートフレーバーのものは途中でピートそのものが感じられなくなってしまいますが、最初から強いものは土台の"存在感のあるフレーバー"が残る。そしてそれが、シェリー樽などの甘く芳醇な香味と合わさることで、えも言われぬ陶酔感を構成していくのです。

今回のボトルは、このピートフレーバーに加え、樽感がとても50年弱熟成とは思えない自然さ。過度なシェリー感、タンニンや樽由来の苦味がなくまとまっているのも特徴的。うーん、流石1990年代のGM、恐ろしい樽を持ってますね。
果実味豊富というタイプではなく、洋菓子のようなタイプではありますが、上記陶酔感のに通じる要素があり、ボディもしっかりと厚い。水数的少量加水して調整すると見事に花開く時間の贈り物。
充実した1杯を堪能させてもらいました。