若鶴酒造 三郎丸 ブレンダーズトライアル Vol.2 ダブルカスク 40%
WAKATSURU WHISKY
BELNDER'S TRIAL Vol.2
Bottled 2018
Cask type Bourbon & Sherry
300ml 40%
グラス:オープンナップスピリッツ アンビアント(三郎丸蒸留所テイスティンググラス)
時期:開封後1ヶ月以内
場所:自宅
評価:★★★★★(5)
香り: 甘くウッディな香り立ち、キャラメル、ほのかにプルーン。合わせてグレーンを思わせるウェハース、バニラ香。シェリー系の甘みの裏には樹脂っぽさ、オイル、時間経過で針葉樹のようなウッディさもある。
味:少しべたつきのある甘い口当たり。キャラメリゼ、洋菓子、シロップ漬けのチェリー。奥には少しえぐみを伴う鋭角なウッディさ。香り同様甘みのあるシェリー感が全体をマスクするような構成。
余韻はウッディでビター、粘性を伴って長く続く。
甘みのあるシェリー系の原酒が全体的に効いた、モルティなブレンデッド。モルトとグレーンの比率は5:5ないしややモルト強めで、熟成期間は10年程度だろうか。原酒由来と思しき癖はあるが、それも含めてしっかりとしたフレーバーが備わっている。
甘みのあるシェリー系の原酒が全体的に効いた、モルティなブレンデッド。モルトとグレーンの比率は5:5ないしややモルト強めで、熟成期間は10年程度だろうか。原酒由来と思しき癖はあるが、それも含めてしっかりとしたフレーバーが備わっている。
若鶴酒造の三郎丸蒸留所が蒸留所限定でリリースしているウイスキー、ブレンダーズトライアル。先日蒸留所を訪問したウイスキー仲間からお土産として頂きました。(ありがとうございます!)
よくある見学者向けのお土産的なリリースかなぁと、実はあまり期待していなかったのですが、飲んでみると単に量産された記念ウイスキーというだけではない、小規模蒸留所らしい作りが楽しめるウイスキーでした。
同蒸留所はクラウドファンディングによる支援を受けて、2017年7月から改築した建屋と設備で蒸留を開始。蒸留は夏のみで、当時の設備では年2000リットル程度しか仕込めない、日本最小生産規模の蒸留所としても知られています。
一方で、ウイスキー事業そのものは半世紀以上の長い歴史があり。自社蒸留原酒に買い付けて貯蔵したグレーン原酒などをブレンドした、サンシャインウイスキーや、WWAの日本国内審査・カテゴリー別のベストウイスキーを受賞したムーングロウなどがラインナップにあります。
さて、ブレンデッドウイスキーを作っていくと、レシピの関係上原酒の余りがどうしてもでます。
この際、1樽単位に満たない量の原酒が余ることも珍しくないそうですが、生産規模が小さい作り手は余ったから別商品にまわそうとか、あるいは新商品作ろうという訳にもいきません。他に必要となる原酒や、流通までにかかるコスト、市場でのシェア、税金などとの兼ね合いもあって単純な話ではないようです。
そこでそうした余剰原酒を使い、試作的なカスクフィニッシュなど、製品に採用する前の"ブレンダーの試み"を用いるコンセプトで作られるのが、今回のブレンダーズトライアルです。
少量生産品ゆえ、自社のみで販売することで諸々の問題を解決。加えてブレンダーの経験値向上にも一役あることが期待できます。ブレンドにしても料理にしても、なんにしてもそうですが、数作らないと得られない経験ってあるんですよね。
参照:若鶴酒造ムーングロウ10年 43%
今回は通常品や上記ムーングロウ10年を作った際の余剰原酒にあたる、リフィルのPX熟成原酒とバーボン樽熟成原酒のバッティングで、ダブルカスク仕様でリリース(第1作目はワインカスクフィニッシュだったそうです)。
香味はシェリー系のニュアンスが主体的であり、バーボン樽熟成の原酒がベースにあるようなイメージ。ラベルを見るとバーボン樽の方が大きく上側に書かれていますが、これなら逆のほうが香味のイメージ通りかも・・・。
ちょっと荒削りなところはありますが、割と慣れ親しんだシーズニング系のシェリー感がバランスを取っており、奥にはムーングロウでも感じられた針葉樹をイメージするようなウッディーさや、オイルのようなニュアンスも感じられます。
元のリリースと仕上がりのベクトルは全く異なる一方で、同じ原酒の一部と思われる共通項が感じられるのが特徴とも。
同じ蒸留所の原酒を使ったというブレンドリリースは、ウイスキーにおいてある種当たり前の話。ですが、同じロット(樽)の同じ原酒を使って作った兄弟のようなボトルというのは、あまり数はありません。そうした点も含め、ブレンダーズトライアルは、まさに小規模蒸留所ならではのリリースと言えます。
三郎丸蒸留所は先日発酵槽を新調し、蒸留所をさらに改築。もうじき、今年の仕込みの時期を迎えます。
その中で、第3作目はどんな試みを試されるのか。ブレンダーの成長を感じるという点でも、今後のリリースを楽しみにしたいと思いました。
コメント
コメント一覧 (2)
そしたら、大量に売れ残っていたムーングロウが完売し、代わりに三郎丸1990が5本ならんでいました。
ゴールデンウィークの出来事です。
まだ残っているのだろうか?
コメントありがとうございます。
かっこいいグラスですよね。昨年夏に蒸留所を見学した際に入手して、ここの商品をテイスティングするときに使うようにしています。
しかしムーングロウ完売ですか、結構高額なボトルだと思っていましたが。。。1990は個性的な原酒がベースになっていて、かつての若鶴のウイスキーの作りを知ることが出来る、地ウイスキー的1本だと感じています。機会がありましたら飲んでみてください。