カテゴリ:
LAGAVULIN
NATURAL CASK STRENGTH
Aged 12 years
Limited Edition
Bottled in 2017
Cask type Refill American Oak Hogsheads
700ml 56.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:クリアでハイトーン、魚粉や土っぽさを伴うピート香、スモーキーさ。奥には塩素を思わせるニュアンス、徐々に洋梨の果実香も感じられる。

味:オイリーでコクのある口当たり、フルボディ、ピーティーなほろ苦さがスモーキーフレーバーと広がると共に、バニラ、蜂蜜レモン、徐々に乾いた麦芽や干草、松の樹皮のような鮮烈な香気が鼻に抜ける。
余韻はドライでスモーキー。ほのかな灰っぽさ、ピーティーで柑橘系のアクセントを伴いしっかりと長い。

ややクリアで一本調子なアロマだが、味わいはオイリーでピートと麦感の程よくマッチした同蒸留所の王道的味わい。少量加水するとピーティーさが浮ついたようではあるが、樽由来の甘みが開いて崩れることなく楽しめる。


メーカー公式資料によると、ディアジオ・スペシャルリリースの入門編に位置づけられているのが、ラガヴーリン12年カスクストレングスです。

基本的にスペシャルリリースはアメリカンホワイトオークのリフィル系の樽を使った酒質ベースの味わいで、蒸留所の素のキャラクターを延ばすような作りが特徴。このラガヴーリン12年もまさにそうした作りをファーストリリースから10年以上継続しています。
ファーストフィルのこってりとした味わいとは異なる自然な樽感が、このシリーズの魅力であることは今更説明不要でしょうか。

他方、樽由来の香味が控えめであることから、通常の加水版に比べ誤魔化しが効かないのもこのリリースの特徴。ラガヴーリンにおいては、初期の頃のボトルに比べ、特に蒸留が2000年代に入ったあたりからリリースはクリアで荒々しさが目立つ、旨味の少ない方向に振れた印象でした。
しかし200周年に掛かる2015-2016年あたりから歯止めがかかり、口に含むとオイリーさが荒々しさを包んで樽材由来の甘みに繋がるような仕上がりも見られると感じています。

安定のラガヴーリン。個人的にこうした現在のスペシャルリリース・カスクストレングスも悪くないのですが、やはり2000年代流通にあったいい意味での雑味、味の柔らかさが恋しくも。。。
ボウモアやラフロイグなどを見ると、同じ蒸留時期である1990年代前半のビンテージは、当たり年とする高い評価を受けるボトルがあります。
自分が良いと感じた時期のラガヴーリン・カスクストレングスも同じ時期の蒸留で、そこからこれらの蒸留所には、紙っぽさが出たり、味がクリアになったり、樹脂や溶剤感が見られたりするのですが。。。何が影響したのか、というか何が変わってしまったのかは気になるところです。